トピックス 耳小骨連鎖再建術
自家骨・自家軟骨による耳小骨連鎖形成術
湯浅 涼
1
1東北労災病院耳鼻咽喉科
pp.589-594
発行日 1992年8月20日
Published Date 1992/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902680
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はじめに
鼓室形成術が導入されてすでに30余年が経過し,その間に多くの臨床経験から技術的ノウハウを学び,また,新材料の開発などハード面の進歩により鼓室形成術の成績は向上してきた。特に,耳小骨連鎖形成術は鼓室形成術の開発以来,多くの術者により開発,工夫,改良されてきた,いわば鼓室形成術の技術的変遷そのものともいえる1)。すなわち,Wullsteinの原法では残存耳小骨をそのまま利用して伝音系の修復を計っているが,その後多くの術者によりさまざまな材料,方法を用いて積極的に連鎖を形成する万法が開発され今日に至っている。
材料として摘出耳小骨(ツチ骨頭,キヌタ骨など),乳突骨片,耳介軟骨,耳珠軟骨などの自家材料autograft,保存耳小骨,保存軟骨などの同種材料homograft,キールボーンなど異種材料heterograft,金属ワイヤー,ポリエチレン,テフロン,セラミックス,アパタイトなど人工材料artificial ossicleなど多岐にわたる材料が用いられてきた。このうち現在最も普遍的に用いられている耳小骨連鎖形成材料は耳小骨,耳珠(耳介)軟骨などの自家材料とセラミックス,アパタイトなどの新素材の人工耳小骨で,術者の好みにより使い分けされているのが現状である。
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