臨床整形外科 35巻3号 (2000年2月)

シンポジウム 変形性膝関節症の病態からみた治療法の選択

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病理および病態

 変形性膝関節症のうち最も多いのは内側型である.内側型変形性膝関節症では,𦙾骨の前内側部に軟骨および軟骨下骨に変性性変化が起こり,大腿骨内顆では立脚期に荷重される屈曲15~40°で接する部分の軟骨が摩耗する.さらに,病期が進行すると,𦙾骨関節面の病変は前内側部から後方に進展し内反変形が増強し,しばしば膝蓋大腿関節にも変性変化は波及する.内側半月板も変性し,徐々に種々の程度の変性断裂を呈してくる.顆間部や𦙾骨,および大腿骨の内側辺縁に骨棘が形成され,内側側副靭帯および内側関節包に拘縮および癒着が生じてくるとともに,伸展障害,屈曲障害が生じてくる.𦙾骨の顆間隆起前方に骨棘が形成されると伸展制限は確固たるものとなる.顆間部の骨棘により前十字靱帯が擦り切れることもあるが,それによる前方動揺性が問題となることはない.内側部の変性変化が進行し,膝蓋大腿関節および外側コンパートメントも含む三コンパートメントに病変が及ぶと内反変形はさらに増強し,外側の支持機構が伸ばされてしまい,いわゆるthrustが生じるようになる.これらの変化は加齢とともに進行し,大腿四頭筋筋力低下や肥満は悪化因子となる.

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 わが国においては一次性の内反変形に伴う内側型が最も多く,人口の高齢化とともに増加している.14年間で3回にわたる疫学調査の結果,加齢,女性,肥満が悪化要因で,内反変形や関節弛緩性が悪化に関与していることが判明した.これら悪化要因と進行過程の関連は,生体力学的検討から立脚時の運動の破綻として理解できる.変形性膝関節症に対する治療法の選択は,X線上の進行度,症状の強さや年齢等の要素のみではできない.患者の大多数が対象となる保存療法は減量,筋力強化や装具療法において,その意義を悪化要因との関連で説明し,患者に理解させることが重要である.

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 変形性関節症(OA)では関節軟骨の変性・破壊に伴い,その基質成分であるプロテオグリカン(PG)やコラーゲンの分解産物あるいはフィブロネクチンフラグメントの関節腔内への遊離が起こり,二次性滑膜炎を引き起こす.ここで産生された各種蛋白分解酵素やサイトカインは関節液を介して,さらに軟骨破壊を進展させる一方で,血液―滑膜関門の破綻を招来し,関節水症の原因となる.従って,OAへの対応は軟骨変性,滑膜炎の両者に対して払われるべきであり,個々の軟骨細胞の基質代謝,あるいは滑膜炎の病態を理解した上で,関節の全体的な生理機構を改善することを目標とすべきである.

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 変形性膝関節症に対する鏡視下手術のある程度の有用性は認められているところである.本論文は異なった病態についての成績を明らかにすることを目的とした.また,屈曲拘縮を伴った高度変形性膝関節症に対する新しい鏡視下手術の術式として,従来のデブリードマンに加えて,𦙾骨上端後内側の関節包を含む軟部組織の剥離術を加える方法を開発し,その術後成績も提示した.JOAスコア平均では,内側半月板変性断裂が主病態であった症例に対するデブリードマンは術前66.3点が術後87.3点に,鏡視下内後側解離術では術前56.0点が術後71.2点に,外側型変形性膝関節症に対するデブリードマンでは術前72.2点が術後85.5点に改善した.PF型は4症例であり成績は一定しなかった.変形性膝関節症に対する鏡視下手術の成績は人工関節置換術に及ぶものではないが,諸条件によっては選んで良い一つの術式である.

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 変形性膝関節症では膝関節の変形はX線学的進行および軟骨変性破壊と相関し,その病勢と深く関係する.目標角度に矯正し膝関節を動的に安定させる高位𦙾骨骨切り術の臨床成績は長期的に良好である.変形性膝関節症は数十年を経過し発症する.その病態には関節包を含めた軟部組織の拘縮も関与する.関節包の縦切開や内側側副靱帯を含めた鵞足部の骨膜下剥離など軟部組織処置の併用は屈曲拘縮の除去ばかりでなく,関節包の緊張を取り除き,術後の除痛効果と直接関連し手術手技上重要である.術後の関節内変化を関節液分析,DXA法による大腿骨遠位関節近傍の骨密度測定,滑膜組織所見から検討すると,軟骨破壊の防止,骨棘形成や軟骨下骨硬化の抑制,滑膜炎症の沈静化を認め変形性膝関節症の進行の防止を示した.これらの生物学的改変の誘導により治療効果が発現し,一度獲得された効果は長期にわたり維持され,外科的治療において障害のないcompartmentはできる限り温存すべきであることを強調した.

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 1988年2月から1994年10月までに人工膝単顆置換(UKA)手術を施行した59例83膝全例の術後経過と成績を検討した.術後5~12年の経過で,最終調査時の生存例は52例73膝(88%),5年以上生存し,かつUKAの機能を評価可能だったのは52例73膝であった.経過中に破綻をきたしたのは1例で,術後6年6カ月で𦙾骨部品の前方沈み込みを起こしていた.術後臨床成績はJOA scoreで術前平均47±8.6点が,術後5年で平均91±5.6点,術後7~12年で91±5.0点と有意に向上し,満足すべきものであった.特に,可動域では最大屈曲角度では平均137°であり,しかも術前より改善した角度が得られていた.非置換部位のうち,大腿𦙾骨外側関節での関節症変化の進行は約10%で見られたが,術後経過期間5~12年では臨床成績に関係していなかった.UKAは生命予後を考慮した手術適応と,手術年齢を選択すれば大変有用な治療手段と考える.

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 通常の変形膝に対する人工関節置換術は,手術手技上大きな問題はない.しかし,変形が高度となると,靱帯バランスを獲得するための手術手技が煩雑となり,トータルな靱帯バランスを得ることは大変である.

 内反変形,屈曲変形,外反変形と大きく分類されており,内反変形はFTAが195°以上,屈曲変形は45°以上,外反変形はFTAが165°以下の時には,十分な術前の手術プランニングを行い,適切なインプラントを準備し手術を行うべきである.特にPCLの追加剥離が必要となることから,posterior stabi―lized implantの必要性が生じることがあり常時使用可能な準備が必要である.あくまでも通常の手術手技の延長にあることから,内外,前後,回旋のバランスを獲得することが優れた臨床成績に結びつくものと考えている.

視座

社会変革と整形外科 勝呂 徹
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 1990年初めまでの日本経済バブルにより伝統的な日本社会の良さが失われつつあります.古き日本の社会習慣は,まず人の心を大切にすることと思いますが,どうやらまず自分を大切にという社会になってしまったようです.経済社会ではバブルのつけはかなり解消の方向へと結論が出つつあります.たとえば,経済の根幹をなす銀行間の合併などが代表です.これは経済的規模を追求したのでなく,経済的効率性を追求し,責任を明らかにする21世紀の経営体質へと変化を期待してとのことであります.

 一方,医学界は社会経済の変化とは全く別の世界と以前からいい,独自の行動を続けてきております.それ故,優れた業績が多数輩出したことも事実です.しかし,過去を振り返ると種痘を初めすべてが社会の問題と対峙し,それを解決するためにエネルギーが使われてきました.昔から医療は不況に強いなど,正当な理由がありません.医療界では1970年代に多数の新設医科大学が創設され,大量の医師が世に送り出され続けております.これらの功績により人生百歳までと言われるまでになりましたが,一方では新たなる問題をもたらしております.医師過剰状態は,経済性を追求し,本来不必要な行動も要求されます.

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抄録: 頚椎部脊髄症に対する片開き式脊柱管拡大術の術後成績は長期的にも安定して良好であるが,多数の手術例の中には改善率の悪い成績不良例が存在する.なかでも退行変性として捉えられる頚椎症性脊髄症で,その比率は高いとの印象がある.われわれは多椎間罹患の頚椎症性脊髄症を対象とし,改善率60%以上の成績良好群と30%以下の成績不良群を比較することにより,年齢,罹病期間,術前JOAスコア,術前MRIによる髄内T2高輝度(塩田分類とその広がり),術前頚椎弯曲指数らの術前から既知の因子について検討した.手術時年齢が高く,術前にMRI T2高輝度を髄内に認め,塩田の分類でP群,頭尾側方向の広がりの大きいものが術後成績不良であった.われわれの検討では,MRIでのT2高輝度は術後成績を予測する上で重要であり,今後もその詳細な質的,量的(空間的広がり)アプローチにより術後成績をさらに正確に予測できるものと思われる.

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抄録: 腰痛の鍼灸治療の現状を職業別・アジアの国別に検討した.

 日本では工場職員1,840名,病院職員487名,および主婦492名を,アジアでは看護職員(韓国:N=235,台湾:N=288,タイ:N=308)を対象とし,腰痛の既往,程度,頻度および治療方法についてアンケート調査した.

 アンケートの回収率は工場職員74%,病院職員93%,主婦100%,韓国75%,台湾88%,タイ94%であった.腰痛治療歴がある例のなかで鍼灸治療を受けたことのある例は,工場職員17%,病院職員12%,主婦26%,韓国19%,台湾9%,タイ5%であった.日本の例で鍼灸治療歴のある例(N=221)の特徴を検討してみると,その50.2%が医療機関も受診したことがあり,鍼灸治療歴のない例より,女性に多く,やや高齢で,腰痛の程度と頻度が高く,多くの種類の治療を受療していた.

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抄録: われわれは,従来の距骨頚部骨折や体部骨折以外で距骨下関節面に骨折線が及ぶ距骨骨折を距骨下部骨折と定義した.距骨下部骨折は単純X線写真や断層X線写真だけでは正確な診断が困難で,見逃されることが多い.1989年から1997年までの9年間に,距骨下部骨折の診断に対して水平面・前額面の2方向のCT撮影が有用であった12例12足を経験した.12例および過去の報告例をもとにCT所見で8型に分類した.距骨外側突起骨折は従来報告された受傷機転とは違い,足関節に過度の外反力が加わり腓骨と踵骨とに外側突起が挟まれて骨折が生じるものと思われる.また,われわれは後内側結節の前方部分で踵骨載距突起に対する距骨部分を距骨内側結節とした.内側結節骨折も足関節の内反強制によって内果先端が衝突して載距突起との間で内側結節が挟まれて生じると思われる.距骨下部粉砕骨折は種々の外力に軸圧が加わって生じると思われる.

整形外科英語ア・ラ・カルト・85

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今回は“R”の項の第3回目である.

 rhabdomyoma (ゥラブドマィオゥマ) これは勿論,横紋筋腫のことであるが,この語源(etymology―エティモロジィ)は,ギリシャ語の“竿”や“細い棒”を意味する“rhabdos”と,筋肉を意味する“myos”,さらに腫瘍の語尾“―oma”の合成語である.

 この悪性の横紋筋腫(肉腫)を“malignant rhabdomy―oma”や“rhabdomyosarcoma”(ウラブド・マイオ・サーコゥマ)という.肉腫“sarcoma”はギリシャ語の肉を意味する“sarx”を語幹とする.

ついである記・43

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栄光の帝都であったベルリン

 ベルリンという地名は,13世紀の初めシュプレー川の東岸にできたBerlinという名の小さな漁村に由来するといわれている.この漁村はその後,シュプレー川の水運を利用した商業都市となり,14世紀には都市権を獲得してハンザ同盟に加わって急速に発展し,15世紀にはブランデンブルグ選帝候国の首都となり,さらに18世紀に到ってプロイセン王国の首都となった.ベルリン市街の中心地に立っている有名なブランデンブルグ門もプロイセン王国の凱旋門で,1788年から3年がかりで完成したものである.その後,1871年にビスマルクによるドイツ第二帝国が成立すると,ベルリンはその帝都となり,ヨーロッパ最大の都市として繁栄を極めたといわれる.森鴎外が23歳で衛生学研究のためベルリンに留学したのは1884年であるが,後に森鴎外の小説「舞姫」の舞台ともなったベルリンは,その当時,文化的にもレベルの高い栄光の都であったものと想像される.しかし,その後ドイツは第一次世界大戦に敗れて苦難の時代に入るが,ベルリンは拡大を続け,ヒットラーによるドイツ第三帝国の時代にはベルリン・オリンピック(1936年)の会場ともなり,再びヨーロッパの中心都市としての繁栄と栄光を回復したかにみえた.

整形外科philosophy

先天性内反足と共に 吉川 靖三
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 若い学徒の方の励ましとなるようなmedical essayということで何を書いたらよいのか迷ったのですが,本シリーズの第5回目に田辺剛造先生が先天股脱との関わりを書いておられるので,それにならって私と先天性内反足とのかかわりを振り返ってお話することに致します.

 私も若い頃から先天性内反足の診療に携わり,東京大学で内反足診療班を初め,私の臨床の時間の最も多くをその診療に費やしてきました.驚くほどに広がった現在の整形外科の領域の中で,症例数からは比較的小さな領域にはなりましたが,重要な領域であることに変わりありません.以前に先天性内反足が治せなければ整形外科医は一人前ではないと言われたのは,その治療のプリンシプルに整形外科の中核となるものがあるからと思います.個人的な話になりますが,若い方々が何かを汲み取って頂ければ幸いです.

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症例:52歳,女性(図1)

 主訴:歩行障害

 現病歴:1年前位より,特に誘因なく両上肢にしびれ感を自覚するようになったが放置していた.半年ぐらい前より次第に上肢のしびれ感が増強し,同時に箸や鉛筆が持ちにくいと自覚するようになった.さらに最近,歩行障害や下肢のしびれ感も自覚するようになり当院を受診した.

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抄録: 頚椎椎弓根スクリュー固定が有効であった頚椎多数回手術の1例を経験したので報告する.症例は49歳,男性.主訴は四肢・体幹のしびれと痛みである.頚椎椎弓切除術(C3-7)を施行されたが,後弯変形が生じたためプレートを用いた頚椎前方固定術(C4-6)が行われた.しかし,プレートが脱転したため,プレートを抜去し,その後,後弯変形がさらに進行したため,腓骨を用いた頚椎前方固定術(C2-7)を施行した.しかし,前方固定の頭側が偽関節を呈し局所後弯が残存した.そこで椎弓根スクリューを用いた頚椎後方固定術(C2-5)を施行した.術後4カ月で骨癒合が得られ,アライメントも改善し,四肢・体幹の異常知覚はほぼ消失した.頚椎椎弓根スクリュー固定はその高い固定性により外傷,頚椎破壊性病変,前方固定術後の偽関節などに適応があるが,椎骨動脈,神経根,脊髄の損傷の危険性が高く,手術手技が困難である.しかし,今回の症例のように後方要素が著しく破壊された症例や,整復や矯正の必要な症例においては非常に有効である.

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抄録: 潰瘍性大腸炎に破壊性の股関節炎を合併した1例を経験した.症例は33歳の女性で,12歳時より腹痛と下痢を主訴に潰瘍性大腸炎の診断にて加療を受けていたが,翌年より腹部症状の増悪時には膝,肘および股関節の移動性,一過性の疼痛を自覚していた.31歳時より右股関節痛が増強し,保存的治療を受けたが症状の軽快はなく,X線像上も関節破壊の進行を認めたため,右股関節に対して双極性人工骨頭置換術を施行した.術後経過は良好で疼痛は消失している.

 潰瘍性大腸炎では種々の腸管外合併症が認められているが,その中でも脊椎および関節症状は血清反応陰性脊椎関節症の範疇に属している.その特徴は急性に発症し,一過性,移動性に生じるびらん性変化を伴わない非破壊性の関節炎とされている.自験例では破壊性の股関節炎を合併し,観血的治療にまで至った稀な1例であり,人工骨頭置換術を施行し良好な結果を得た.

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抄録: 第1胸髄神経根から発生し胸腔内に大きく進展した砂時計腫に対して前方後方合併手術による腫瘍摘出術を施行し良好な結果を得たので報告する.症例は39歳,男性.主訴は歩行障害.単純X線上,左肺尖部に境界明瞭なcoin lesionを呈し,MRI,CTMではC7~T2にかけて左側より脊髄を圧迫し肺尖部へ広がるEden分類type Ⅱの砂時計腫であった.手術は最初に,C7~T2の左片側椎弓切除術を行い,T1/2の椎間孔より前方へ突出している腫瘍をT1根部を含めて切離し後方部を摘出した.次に左開胸により腕神経叢に進展癒着していた胸腔内腫瘍を摘出した.病理診断は神経鞘腫であった.術後T1神経脱落症状が出現したが,下肢症状は改善し良好に経過している.本症例のように,第1胸髄神経根より発生し胸腔内に大きく進展し,腕神経叢に癒着している砂時計腫には前方後方合併手術が有用である.

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 抄録:人工股関節の臼蓋再置換術において,十字プレート(KerboullおよびKT)は原臼位臼蓋再建のための有効なプレートとして徐々に認められつつある.初回人工股関節置換術においても骨破壊のある4症例に対して,これらの十字プレートを使用した経験を述べる.症例は慢性関節リウマチ(RA),急速破壊型股関節症(RDC),変形性股関節症(OA),股関節放射線障害(lrradiated Hip)各1例で,全例2~7年の経過観察を行った.全例疼痛なく機能的には良好であった.RDC例とOA例ではX線像上のゆるみの所見を認めなかったが,RA (Protrusio acetabuli)例は術後5年で臼蓋側の移動とスクリュー1本の折損を認め,放射線障害股においてもスクリュー折損を認めた.RA例では技術的反省点(プレート固定の際に閉鎖孔フックの掛りが不十分であったこと)と移植自家骨の質的量的問題を,後者では病変自体の問題点を認識したが,RDC例のような臼蓋破壊例の初回THAに際しては,原臼位再建を行う場合に十字プレートは極めて有効な器具であると考えられた.臼蓋再置換術と同様にプレートサイズの選択,的確な設置固定,量的にも質的にも充分な移植骨は当然のことながら強調されるべきである.

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抄録: 鎖骨・頭蓋骨異形成症cleidocranial dysplasia (以下CCD)は,cleidocranial dysostosis,dysostosis generalisata,osteo-dental dysplasia,mutational dysostosisと同義であり,1979年先天性骨系統疾患国際命名法にてこの名称が採用されている.CCDは,1)鎖骨の欠損または形成不全,2)頭蓋骨骨化不全,3)歯牙の発育不全,4)遺伝性を特徴とする疾患である.今回われわれは,CCDの生後2カ月女児例を経験した.家系調査の結果,4代,10例の罹患を示し,常染色体優性遺伝を示唆する1家系と判明したので,若干の文献的考察を加えて報告した.幼小児期における骨化不全は高度,広範囲である.特に頭蓋骨では頭頂骨に著明であり,外傷に注意を要すると思われた.

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 抄録:症例は9歳の男児で,左下腿遠位部の腫瘤を主訴に当科を受診した.単純X線像で𦙾・腓骨間に内部に環状の骨化像を有する腫瘍陰影を認めた.CTやMRIなどの所見より,良性軟骨腫瘍を疑い摘出術を行った.腫瘍は𦙾・腓骨の骨膜および骨間膜に接していたが,強い癒着や連続性はなかった.摘出術に加え,圧痕のある𦙾・腓骨の骨膜を可及的に掻爬し,腫瘍に接する骨間膜を切除した.組織学的には成熟した軟骨組織が主体であり,内部に内軟骨性骨化巣を伴っていた.核の異型性や分裂像はなかった.以上の所見より,骨外性軟骨腫と診断した.骨外性軟骨腫は骨外の組織に発生する良性軟骨腫瘍で,過去の報告例では大部分が四肢,特に手指に発生している.われわれの渉猟し得た限りでは271例の報告があり,下腿発生例は自験例を含めて2例と稀であった.術後6カ月の現在,再発はなく経過観察中である.

基本情報

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臨床整形外科
35巻3号 (2000年2月)
電子版ISSN:1882-1286 印刷版ISSN:0557-0433 医学書院

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