シンポジウム 変形性膝関節症の病態からみた治療法の選択
緒言:変形性膝関節症の治療方針
守屋 秀繁
1
1千葉大学医学部整形外科
pp.114-116
発行日 2000年2月25日
Published Date 2000/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908364
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
■病理および病態
変形性膝関節症のうち最も多いのは内側型である.内側型変形性膝関節症では,𦙾骨の前内側部に軟骨および軟骨下骨に変性性変化が起こり,大腿骨内顆では立脚期に荷重される屈曲15~40°で接する部分の軟骨が摩耗する.さらに,病期が進行すると,𦙾骨関節面の病変は前内側部から後方に進展し内反変形が増強し,しばしば膝蓋大腿関節にも変性変化は波及する.内側半月板も変性し,徐々に種々の程度の変性断裂を呈してくる.顆間部や𦙾骨,および大腿骨の内側辺縁に骨棘が形成され,内側側副靭帯および内側関節包に拘縮および癒着が生じてくるとともに,伸展障害,屈曲障害が生じてくる.𦙾骨の顆間隆起前方に骨棘が形成されると伸展制限は確固たるものとなる.顆間部の骨棘により前十字靱帯が擦り切れることもあるが,それによる前方動揺性が問題となることはない.内側部の変性変化が進行し,膝蓋大腿関節および外側コンパートメントも含む三コンパートメントに病変が及ぶと内反変形はさらに増強し,外側の支持機構が伸ばされてしまい,いわゆるthrustが生じるようになる.これらの変化は加齢とともに進行し,大腿四頭筋筋力低下や肥満は悪化因子となる.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.