視座
社会変革と整形外科
勝呂 徹
1
1東邦大学医学部整形外科
pp.113
発行日 2000年2月25日
Published Date 2000/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908363
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1990年初めまでの日本経済バブルにより伝統的な日本社会の良さが失われつつあります.古き日本の社会習慣は,まず人の心を大切にすることと思いますが,どうやらまず自分を大切にという社会になってしまったようです.経済社会ではバブルのつけはかなり解消の方向へと結論が出つつあります.たとえば,経済の根幹をなす銀行間の合併などが代表です.これは経済的規模を追求したのでなく,経済的効率性を追求し,責任を明らかにする21世紀の経営体質へと変化を期待してとのことであります.
一方,医学界は社会経済の変化とは全く別の世界と以前からいい,独自の行動を続けてきております.それ故,優れた業績が多数輩出したことも事実です.しかし,過去を振り返ると種痘を初めすべてが社会の問題と対峙し,それを解決するためにエネルギーが使われてきました.昔から医療は不況に強いなど,正当な理由がありません.医療界では1970年代に多数の新設医科大学が創設され,大量の医師が世に送り出され続けております.これらの功績により人生百歳までと言われるまでになりましたが,一方では新たなる問題をもたらしております.医師過剰状態は,経済性を追求し,本来不必要な行動も要求されます.
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