臨床整形外科 31巻3号 (1996年3月)

視座

X線診断と病理組織像 松野 丈夫
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 整形外科領域で最も重要な診断法は単純X線写真による診断であり,外来患者の約80%は単純X線写真において最終診断が付けられていると言っても過言ではない.しかし,私自身最近の若い研修医のX線所見の読影法には若干の疑問を感じている.例えばX線写真を前にして,“これは腫瘍(例えば骨嚢腫)の写真ですが…”,“この変形性膝関節症の患者は…”などの唐突な表現が目立つ.少なくとも電話の向こうの相手に通じる様な表現をするべきと思う.即ち,まずそのX線写真が何歳の男性(女性)のどこの部位の正面(あるいは側面)写真であるという表現で始まり,ついで形態の異常,位置関係の異常,骨破壊などの部位・程度などの表現を行い,考えられ得る鑑別診断をすべてあげた上で,最終X線診断を下すべきである.また,鑑別診断に関しても,我々は単純X線写真の検討から導かれた最終診断以外のいかなる疾患とも鑑別診断を行うことが出来るべきであると思う.即ち,症例が仮にX線学的に典型的な骨肉腫だとしても,“もし問われれば”良性および悪性骨腫瘍を含むすべての骨疾患との鑑別点を擧げることが可能であるべきである.若い研修医の先生方には日頃からX線写真を前にして出来るだけ多くの鑑別疾患を思い浮かべる訓練をしてほしいものである.

 我々は単純X線写真の中に病理組織像を見なくてはならないと思う.X線像には細胞による骨形成,骨破壊等が影として表れているからである.

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 抄録:高速spin echo (Fast SE)法の3次元撮像化が可能になり,さらに脊髄のT2強調像が脊髄造影効果(myelogram effect)を有することから,脊髄のT2強調像を3次元再構成することで立体的なMRによる脊髄造影像(以下MR-myelo)が得られる.今回われわれは腕神経叢損傷患者のMR-myelo撮像を行い,その有用性について検討した.腕神経叢損傷患者6例を対象とし,4例は全型損傷例であり,2例は上位型損傷例であった.全型損傷例ではpseudo-meningoceleがMR-myeloで明瞭に確認できた.上位型損傷例ではC6神経根,神経根嚢像の異常を認め,pseudo-meningoceleは認めなかった.MR-myeloは無侵襲で,比較的短時間で撮像可能な検査であり,その描出能は脊髄造影と遜色ない.さらに,造影剤を使用しないこと,3次元画像で任意の方向から観察できるなどから,今後の腕神経叢損傷診断への応用が期待できる.

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 抄録:定量的筋電図法であるmacro EMGを用いて,不全麻痺筋の運動単位電位(MUPs)を測定し,機能的電気刺激(FES)で問題となる脱神経筋の混在について検討した、対象は正常成人41例と疾患群として脊椎損傷9例(胸腰椎移行部損傷6例),脳血管障害3例の計12例である.Stålbergの手技に準じ,前𦙾骨筋,外側広筋,内側広筋で運動単位活動電位(MUPs)を計測し,正常群の測定値から正常範囲を求め,疾患群のMUPパラメータ値を評価した.脱神経筋の混在している可能性が高い胸腰椎移行部損傷群でのみパラメータ値は増加し,28筋のうち25筋が脱神経と判定された.25筋のうち8筋は普通針筋電図検査では判定しがたく,macro EMGによってのみ判定できた.これらの筋では,電気刺激に対する筋収縮反応も不良であった.macro EMGは,不全麻痺患者の脱神経筋をより厳密に評価することが可能で,FESにおける適応の決定や効果の予測を行う上で有用である.

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 抄録:25例の脊髄症状を示す頚椎後縦靱帯骨化症に対しヘルニア摘出,骨化巣非摘出前方椎間固定術を行った.平均年齢52.7歳平均追跡期間145.5カ月(120-202カ月).椎間固定は手指のシビレから判断した責任椎間,ヘルニア椎間を主として行った.連続・混合型10例(2椎間固定4例,3椎間固定5例,4椎間固定1例)分節型15例(1椎間固定8例,2椎間固定7例)ヘルニア合併は連続・混合型6例,分節型12例であった.ヘルニア椎間,責任椎間の診断が確実であれば骨化巣非摘出前方椎間固定術は充分に長期予後に耐えうる.調査時までに8例に追加手術が行われた.追加手術例より連続・混合型では機能撮影上動きのある椎間の固定と上位胸椎に後縦靱帯骨化を伴えば下位頚椎椎間の固定を要すことが判った.ヘルニア合併例と非合併例では術後改善率に有意の差はない.骨化巣頭尾方向進展と肥厚は術後改善率に影響しなかった.

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 抄録:腰椎変性すべり症でAWGCスペーサーを用いて腰椎椎体間固定(PLIF)を行った例の臨床症状,就業状況を検討した.対象は31例(男5例,女26例)で,手術時年齢は平均60.6歳,経過観察期間は平均1年8カ月で,全例に骨癒合が得られている.術前有職者は25例で,そのうち重労働者は17例である.結果は疼痛なしが14例,時々あるが治療不要が13例,中等度で時々要治療だが仕事に支障なしが4例であった.就業は重労働に完全復帰が13例,仕事を加減が5例,転職が2例.仕事不能が5例であった.軽作業復帰までの期間は平均4.1カ月,重労働復帰は平均6.2カ月であった.本法は重労働への復帰率も高く,かつ復帰の時期も早期で,良好な成績といえる.社会.経済上早期に仕事復帰を要する例では移植骨圧潰予防のためAWGC併用のPLIFは有用な方法である.

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 抄録:clear cell sarcoma (CCS)4例の治療経験から,CCSの治療上の問題点を考察した.症例は男性2例,女性2例,年齢は34歳から72歳であり,発生部位は足部3例,手関節部1例であった.これらの症例は皮膚病変がなく,S-100蛋白とmalignant melanomaに特異的なHMB-45が陽性であり,CCSに特徴的な組織像を示した.経過観察期間は28~53カ月であり,無病生存中3例,死亡1例であった.3例にリンパ節郭清が行われたが,1例に既にリンパ節転移を認め,本例は多発転移のため死亡した.残りの2例は局所再発も転移も認めていない,初回手術時にリンパ節郭清を行わなかった足部発生の1例にリンパ節転移を生じ,二次的にリンパ節郭清を行ったが,2年1カ月後に胃壁転移を認めた.化学療法の効果判定はできなかった.CCSの治療では他の軟部肉腫と異なり,腫瘍の広範切除に加えて系統的予防的リンパ節郭清が重要であることが示唆された.

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 抄録:1960年から92年までに経験した53例の軟骨肉腫の治療成績を分析し予後因子と至適治療法について検討した.全症例(M0, M1)の15年生存率は59%であった.発育形態,大きさ,臨床検査所見は予後と相関を認めなかった.組織学的grade別15年生存率をみると,grade Iは82%,grade IIは36%grade IIIは0%(全例5年以内に死亡),15年非転移率はgrade Iは80%,grade IIは53%,grade IIIは0%(全例2年以内に転移出現)と明らかな差が認められた.またM0例の局所再発の有無と15年生存率をみると非再発群85%,再発群は17%,また非転移率は非再発群79%,再発群は38%と,局所再発と予後,転移率との間にも明らかな相関がみられた.

 これらのことから組織学的gradeと局所根治性の二つが重要な予後因子と考えられた.

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 抄録:当科において初回再建術を行い10年以上経過した母指多指症21例22手の内,直接経過観察し得た症例16例17手(follow-up率77%)につき検討した.手術時期は生後6カ月以内を原則とし再建術は関節軟骨のshavingによる関節形成とligamentous periosteal flapによる関節支持機構再建,筋,腱移行による関節,指軸の保持を行い一次的にKirschner-wireで固定し,骨切術は行わない.初回再建術により14手(77%)に良好な結果をえた,成績不良の原因は変形と可動域制限の残存である.2例は変形,1例は皮膚膨隆変形のために再手術を行った.生後6カ月以内に初回再建術を行うことにより良好な結果をえるが術前X線写真にて骨軸偏位のあるtypeは成長に伴い変形が増悪する例があり目立つ様であれば5~6歳頃二次再建術を行う.

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 抄録:人工股関節置換術や再置換術に際して高度に破壊された臼蓋に対する再建法には種々の方法が提唱されている.われわれはKerboull十字プレートとKTプレートを用い,骨欠損に対して自家骨移植と人工骨移植を行い,臼蓋コンポーネントをセメント固定する再建法を行ってきた.Kerboull十字プレートは閉鎖孔に掛けるフックと腸骨にスクリュー固定するパレットを有する十字形のプレートで,原臼位設置を行い,KTプレートは若干の高位設置を許容する型を有する.術後1年以上経過した17関節を対象として臨床的,X線的に調査し,短期であるが良好な結果を得た.これらのプレートの特長,使用の際の注意点,下肢長差補正の工夫について検討を加えた.原臼位再建,移植骨の保持と固定,脆弱化した骨性臼蓋の補強等のプレートの役割により安定した臼蓋の再建が達成されると考えられる.若干の臼蓋高位を必要とする場合にはKTプレートを用いて対処し得た.

基礎知識/知ってるつもり

スワンネック変形 高山 真一郎
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 手指の屈伸運動は指伸筋,指屈筋ならびに骨間筋,虫様筋により形成された巧妙な筋力バランスの上に成り立っている,様々な原因により,この平衡に破綻が生じると正常な屈伸運動が阻害され,変形,拘縮が引き起こされることになる.スワンネック変形は,ボタンホール変形と並び固有指部の代表的な変形として良く知られているが,MP関節屈曲位,PIP関節過伸展位,DIP関節屈曲位の形を呈し、この形が白鳥の頚に似ていることがその語源となっている.

整形外科英語ア・ラ・カルト・42

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●decubitus ulcer(デキュビタス・アルサー)

 これは“褥瘡”のことであり,普通の言葉では“bed―sore”(ベッドソア)や“pressure sore”(プレッシャー・ソア)という.“sore”は,痛みや潰瘍のことである.

 私が医者になった頃(昭和39年)は,日本ではまだ大腿骨頚部骨折の治療は牽引療法が主であった.長期臥床のため患者の殿部に褥瘡が発生し,痴呆も問題であり,また死亡率も高かった.

整形外科philosophy

先天性股関節脱臼と共に 田辺 剛造
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終戦後第1回目のインターンを経て                 一般外科5年

 岡山大学医学部に整形外科学教室が開講されたのは昭和29年(1954)でした.私は昭和22年9月岡山医科大学を卒業しました.何故9月卒業かと言いますと.第二次世界大戦の為旧制高等学校を半年繰上げで大学に入学し,そのままであれば大学の就学年限も更に短縮されていたのでしょうが,昭和20年(1945)敗戦となり,既に基礎医学の教科を終え,戦場で役に立ちそうな臨床系の講義が始まり,急造の医師として戦場に駆り出される予定であったのが,正規の4年制の教課にもどされた為でした.そして私達の予定にはなかったインターンを1年してから,第5回医師国家試験に合格しました.そのインターンも,敗戦の傷未だ癒されない,組織された教育環境は到底期待しようもないものでした.それでも多くの患者の治療に責任を持たされ,若さの故の行動力で少しずつですが,医療技術を身につけて行きました.国試の発表は12月にあったのですが,外科医になる気持は決めており,大学の教室に入れば当分遊べないと2カ月間ぶらぶらして,昭和24年3月同大学第二外科教室に入局,医師として第一歩を踏み出したのです.

 ですから5年間は一般外科医(第二外科は腹部内臓器が専門でした)として研修を受け,小手術であれば一人でやれる位にはなっていました.

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 抄録:肩鎖関節の関節症性変化を呈した鎖骨遠位端骨融解の1例を報告する.症例は58歳,男性,大工で,約3mの足場より転落し右肩を強打した.近医受診し,単純X線では明らかな骨傷はなく,3週後職場に復帰するも右肩鎖関節部運動時痛が増悪するため当科を受診した.単純X線では鎖骨遠位端部に約1cmの骨融解を認めた。肩鎖関節への水平屈曲強制により.鎖骨遠位は後上方に転位した.骨シンチグラムでは肩鎖関節部への集積の亢進があり,MRIではT2強調画像にて高信号域を認めた,穿刺吸引した肩鎖関節液の細菌培養は陰性で,異型細胞も認めなかった.手術にて鎖骨遠位端と肉芽組織を切除し,術後1年の現在疼痛は軽快,原職に復帰している.

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 抄録:症例は56歳男性で血液透析歴7年である,両側大腿四頭筋腱同時断裂をきたし,3年後に左アキレス腱断裂を生じた.以上の腱断裂に対し,それぞれの受傷後,当科にて腱の端端縫合と人工靱帯を用いた補強手術を施行した.術後経過は良好で,ADL上の問題もない.血液検査ではPTHの上昇と手指X線像での骨膜下骨吸収が認められ,二次性副甲状線機能亢進症と思われた.また術中所見と病理組織所見より断裂は付着部の骨組織を伴った裂離骨折であり,二次性副甲状線機能亢進症による腱付着部の骨の脆弱化が原因と考えられた.自家組織の脆弱な血液透析患者には,人工靱帯での補強は合理的かつ有用であるが,異物反応や組織間強度の差異による障害などが今後の問題と思われる.以上の症例に対し若干の文献的考察を加えて報告した.

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 抄録:post-poliomyelitis progressive muscular atrophy(以下,PPMAと略す)にflexion myelopathyを合併した一例を報告する,右上肢近位の著明な筋萎縮と頚部前屈時に増強する両手のしびれと左下肢の脱力があった.神経学的には,主にC5~7の灰白質(特に前角)の障害が認められた,頚椎X線像でC4, C5椎体を頂点とした角状後弯を認め,ミエロCTでは前屈位で前方subdural spaceの消失を認めた.ポリオ罹患の既往がありPPMAにflexion myelopathyの合併例と診断した.flexion myelopathyの治療目的で頚椎前後同時固定術を施行し頚椎の適正なアライメントと良好な臨床結果を得た.本邦において,PPMAにflexion myelopathyを合併し手術により加療した症例は報告例がなく,極めて稀な症例と思われた.PPMAは,疫学的にも今後増加してくる可能性があり,その診断・治療にあたってmyelopathyの合併を念頭に置く必要がある.

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 抄録:われわれは1982(昭和57)年から1992(平成4)年までに10カ月以上経過観察,あるいは手術を要したneuralgic amyotrophyの症例を11例経験した.発症年齢は30歳から70歳で平均39歳,男5人,女6人であった.本疾患は肩甲帯,上肢の神経疾患で,疼痛と筋の萎縮,麻痺を特徴とする.筋の萎縮の部位により肩甲上肢帯型,肩甲上肢・前腕型,前腕型と3つに分けられる,肩甲上肢帯型は頻度が高いが予後がよく,6カ月未満で軽快することが多い.これら短期間に治癒した症例は今回の症例のなかには含まれていない.長い治療期間を要した症例には前腕型が多かった.観血的治療は腱移行術が主体であるが,発症より半年以上の症例で,麻痺筋の機能が改善せず患者が強く希望する場合に行った.病因は不明だが,手術,過労,感染等の様な抵抗力が低下した時に発症するという説が有力である.

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 抄録:Os odontoideumに対する環軸椎固定の10年後に頚椎後縦靱帯骨化(以下OPLL)による頚髄症が発症し,除圧術を要した1例を報告する.症例は29歳男性である,18歳時にOs odontoideumによる頚髄症を発症し,Brooks法による環軸椎固定術を施行した.症状は軽快したが,10年後に再び頚髄症が出現し,C3からC5にかけて初回手術時にはなかったOPLLによる脊髄圧迫を認めた.C3からC5の脊柱管拡大術(桐田―宮崎法)を行い,症状は軽快した.本症例のOPLL発生には,固定椎隣接椎間への応力増大による後縦靱帯への反復負荷が,局所因子として関与したと考える.

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 抄録:近年,MRSA感染症が問題とされ,多くの報告があるが,骨・軟部悪性腫瘍に対する全身化学療法後の骨髄抑制に合併したMRSA感染症の報告は,本邦においては認められない.今回,われわれは,滑膜肉腫に対する術後全身化学療法(lfosfamide大量療法12g/m2)により骨髄抑制(白血球数800/μl)を来し,MRSA敗血症,DICを合併した1例を経験した.VCMを中心とした高感受性抗生剤の短期併用投与,IVHカテーテル,人工手術材料の除去および徹底した全身管理により救命し得たので報告する.全身化学療法に伴う骨髄抑制は不可避であるが,骨髄抑制に合併したMRSA感染症はしばしば重篤化するため,化学療法施行前後の感染には,十分な注意が必要と考えた.

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 抄録:当科における肘関節脱臼を伴った上腕骨内側上顆骨折(Watson-Jones-IV型)症例を調査したので報告する.対象は女性4例,受傷時年齢平均12歳であった.治療方法は,3例については脱臼整復操作にて骨片が整復され保存的に治療し,徒手的に整復できなかった1例に対し観血的治療を行った.調査方法は,日整会肘機能評価法に基づき,X線学的に骨癒合・変形の有無について調査した.術後追跡調査期間は平均4年5カ月であった,

 結果は,臨床的には平均97.8点であり,X線学的に1例に線維性癒合をみたが,外反動揺性はなかった.上腕骨内側上顆骨折の手術適応について,一般にWatson-Jones分類II度以上の転位例に手術適応があるとされるが,肘関節外側脱臼を伴うIV型については,脱臼整復操作で骨片も整復され,不安定性がなければ観血的治療は不要と考えられた.

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 抄録:股関節に発生した色素性絨毛結節性滑膜炎の1症例を経験した.症例は42歳の男性で,骨破壊の程度は中等度であり関節軟骨はよく保たれていた.病巣掻爬を行って関節機能を温存する術式を選択した.寛骨臼窩・円靱帯付着部等を含めて病巣掻爬を完全に行うために大腿骨頭を脱臼させた.その際,大腿骨頭の阻血性壊死を防ぐ目的で大腿骨頭回転骨切り術に準じた進入法を用いた.この方法により大腿骨頭の栄養血管を温存しつつ,直視下に寛骨臼および大腿骨頭の病巣掻爬を行うことが可能であった.現在,術後5年を経過しているが再発は生じていない.侵襲自体は比較的大きいが股関節の温存という点から考えれば本法は有用な進入法と考える.

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 抄録:神経根分岐異常を伴い,診断に難渋した骨盤腔内神経鞘腫の1例を経験した.一般に,下肢の疼痛や麻痺症状を呈する症例の診断にあたっては,脊柱管内の病変を疑って,脊髄腔造影やMRIによる検索がなされるのが一般的である.しかし,その起因病変が脊柱管外に存在する可能性を常に念頭に置くべきである.今回筆者らが経験した骨盤腔内に発生した神経鞘腫もその1例であるが,それ自体が稀であり,臨床症状として下肢痛・下肢知覚障害のような神経症状を呈する例も多くないため,整形外科領域での報告は極めて少ないが,鑑別診断として十分考慮すべきものである.諸々の理由はあったにせよ,自らが診断難渋の原因を作ったともいえる反省例として報告した.

基本情報

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臨床整形外科
31巻3号 (1996年3月)
電子版ISSN:1882-1286 印刷版ISSN:0557-0433 医学書院

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