胃と腸 27巻9号 (1992年9月)

今月の主題 逆流性食道炎を見直す

序説

逆流性食道炎の診断を考える 吉田 操
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 食道炎の原因は多彩であるが,とりわけ消化液の逆流が引き起こす食道粘膜の消化性損傷は,食道炎の中でも頻度が高い.慢性に経過し,重篤なものでは,食道壁の線維化や狭窄,潰瘍からの出血,更にBarrett上皮化を生じることがある.これまで本邦においては,頻度が低く,重篤例は少ないとされていたが,食餌や生活環境,体型の変化などにより逆流性食道炎の頻度,重症度も変化しつつあり,無視できないものになった.世界にその例をみない急速な高齢化を背景に,この疾患の重要性は今後ますます増大すると考えられる.

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要旨 1973年,食道疾患研究会から「Endoscopic Classification of the Reflux Esophagitis」が発刊された.本分類ではdiscoloring type,erosive and/or ulcerative type, uneven typeの3タイプに分類されている.その後,食道内視鏡検査が普及するにつれ,逆流性食道炎の病変の主体であるerosionやulcerationを詳細に識別する必要性が出てきた.その背景には食道内視鏡検査の増加からくる新しい知見の出現や,治療法の選択基準,治療効果の判定の必要性がある.そして逆流性食道炎を長期的にみた場合Barrett食道の出現がある.このような観点から,筆者らは以下の重症度分類を提言する.GradeⅠ:ヨード染色で初めて認識できる線条の不染帯,GradeⅡ:色調変化(白色混濁,発赤)・隆起・肥厚,GradeⅢ:線条びらん,GradeⅣ:樹枝状・地図状びらん,GradeⅤ:粘膜移行部の明らかな潰瘍・狭窄,GradeⅥ:Barrett食道(全周性・局所性).そして,炎症の長さが5cm未満をa,5cm以上をbと付記する.したがって,樹枝状びらんが7cmの長さにわたって存在するような症例はGrade Ⅳbと表現する.これからも増加してくるであろう本疾患を論じるとき,統一の基盤,基準が必要であり,筆者らの考えから逆流性食道炎の重症度分類として1つの案を提示した.

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要旨 逆流性食道炎の重症度をX線像から検討した.1度:粗糙~微細顆粒像を呈するもので,多くは粘膜面の白色肥厚を呈する程度の症例.2度:食道胃接合部に沿って,あるいは縦走する淡いバリウム模様を呈し,発赤,びらんの存在する症例である.3度:広範囲に不整バリウム模様と活動期のびらんが存在する症例.4度:大きな深い陥凹像を呈し,活動期の潰瘍が存在する症例.5度:狭窄像を呈するもので,楔状の長い狭小化像は広範囲のびらんの存在した症例.短いが高度の狭窄像は輪状潰瘍・大潰瘍の存在した終末像と位置づけることができる.現在どの程度の炎症所見が存在するかは狭窄像の有無のみからは判定できない.

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要旨 逆流性食道炎の内視鏡的重症度と病態生理学的重症度との関連性について比較検討した.胃食道逆流現象(GER)は食道内24時間pHモニターにより,その回数と停滞時間を測定した.食道運動機能はinfused catheter法にて,第一次蠕動波高とLESPを測定し,acid clearing testも実施した.Savary&Miller(S&M)分類のstageⅠからⅢについては病態生理学的重症度とよく合致していたが,ⅣはⅢに比し病態生理学的にはむしろ軽症であった.色調変化型食道炎はS&M分類のⅠに近い病態であったが,両者を比較すると前者はGERの頻度が高く,後者はGERの停滞時間が延長していた.以上の結果をもとに機能面からみた逆流性食道炎の重症度分類を呈示した.

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要旨 逆流性食道炎は臨床の場でよく遭遇する疾患であるが,ヨード染色やトルイジンブルー染色による色素内視鏡検査を行って詳細を検討する向きは少ない.ヨード染色による再生上皮の診断,食道びらん・潰瘍の良悪性の鑑別診断,食道炎の既往診断,トルイジンブルー染色による深達度診断,びらんと再生上皮の鑑別診断,トルイジンブルー・ヨード二重染色による逆流性食道炎の内視鏡所見について述べた.更に,逆流性食道炎の病期分類について崎田・三輪の胃潰瘍の病期分類に準じて作成した私案を呈示した.また,その病期分類の臨床応用上の問題点につき検討し,逆流性食道炎の記載基準についても言及した.

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要旨 逆流性食道炎の内視鏡分類はSavary&Millerの分類が多く用いられているが,若干の問題点が指摘されており,われわれは拡がりに関するgrade分類と,個々のびらん・潰瘍そのものの治癒の過程を表示するstage分類とを併用している.幕内らはstageを急性期,治癒期,瘢痕期に分類しており,われわれの検討でもH2ブロッカーによる治療にて急性期,治癒期,瘢痕期と治癒が進むことが確認された.電子スコープにて再生上皮の表面微細構造を観察すると,H1からH2ではやや大きい桿状の微細紋様,H2からS1では中心に向かって線状に配列する細く境界の明瞭な紋様,S2では柵状の配列や周囲と類似した紋様がみられた.今回の検討にて,gradeは変化しないがstageは変化する症例が多く,その逆は少ないことより,両者を併用することの有用性が示唆された.

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要旨 逆流性食道炎10例における食道壁の変化を超音波内視鏡(EUS)を用いて観察した.その変化は主として第3層,第4層における層構造の異常所見として捉えられ,これは切除例における粘膜下層,固有筋層の線維化と一致していた.特に高度狭窄例においては,第3層,第4層の肥厚,エコーレベルの均一化として描出され,その内部エコーはhomogenousであった.狭窄のない症例では第3層の一部に限局したエコーレベルの低下と肥厚,粗糙化を認める症例,および全くEUSの所見として捉えられない症例との2種類があり,高度狭窄例を含め逆流性食道炎における超音波内視鏡所見は3段階に分類することが可能であった.

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 神津 皆さんお忙しい中をお集まりいただき,ありがとうございます.本日は「逆流性食道炎を見直す」というテーマで座談会を開かせていただきます.

 逆流性食道炎は,「胃と腸」では約10年前の第18巻第11号で主題として取り上げられましたが,それ以降は特集されておりません.この間に症例数の増加もありますし,診断や治療法も変わってきました.また,食道疾患研究会,あるいは国際食道疾患会議日本部会などでもワーキング・グループができて,逆流性食道炎の分類をもう1回見直そうという動きが出てきています.今日は,このような時代的背景もあり,最近の10年間の進歩をみて,逆流性食道炎を共通の所見で,何とか共通の言語で捉えることができないか,そのようなことを討論していきたいと思います.

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 〔患者〕53歳,男性.主訴:下腹部痛,血便,便柱細小化.現病歴:1989年11月より上記主訴が出現したため翌年1月近医を受診し,当科紹介となる.

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 〔患者〕48歳,男性.1989年6月無症状であったが,定期検診にて初めて十二指腸第2部に隆起性病変を指摘され,精査目的で当科入院となった.既往歴・家族歴に特記すべきことなし.また,理学的所見,血液生化学に異常なし.

用語の使い方・使われ方

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 食道の小白斑は従来,広範な種類の病変を含んでいた.最近の臨床診断の精密化と共に,多くの疾患が分離され,基本的には良性の粘膜上皮の肥厚性変化に対して使用されているが,一部に肉眼所見上も,組織学的にも鑑別し難いものが存在する.

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 悪性腫瘍が脈管性(多くは血行性)に,消化管の壁に転移して粘膜面に隆起を形成し,その中央部に陥凹を伴った場合,ちょうど牛の眼(Fig.1)に似た像を呈することから牛眼像と名付けられている.ドイツの成書「Handbuch der medizinischen Radiologie Bd. 11, TeilⅠ」(1969)をみると,Bullaugen Symptomとは,周囲より明らかに隆起した限局性のこぶ状の腫瘤で,しばしば中央部にデレや潰瘍形成を伴うと記載されている.

 牛眼像の表現は,最初に悪性黒色腫で使われたごとく,黒色腫が消化管に転移した例で典型的に認められる.Fig.2は悪性黒色腫が小腸に転移したもので,牛眼像を呈している.しかし,他の悪性腫瘍が脈管性に転移した場合でも,この像を呈する.Fig.3は卵巣癌が大腸に転移した例である.また,Fig.4は耳下腺癌が胃に転移した例で,多発性に牛眼像が認められる.

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要旨 患者は43歳,女性.胃集検にて胃のポリポーシスを指摘され来院.消化管検査にて食道から大腸までの全消化管にポリポーシスを認めた.病理組織学的に検索された病変はいずれも過形成性変化を主体としたものであった.顔面,四肢の角化性小丘疹,口腔粘膜の乳頭腫症などの特徴的所見から,典型的なCowden病と診断した.本症例には腺腫様甲状腺腫,胆囊ポリープ,肝血管腫,脂肪腫(四肢)も合併していた.本例では特にCowden病の小腸病変を明瞭に描出できたので報告する.

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要旨 下咽頭の“いわゆる癌肉腫”を合併した食道多発表在癌の1例を経験し,報告した,患者は51歳,男性,主訴は嚥下困難.下咽頭腫瘤と診断され当院耳鼻科にて腫瘤摘出術を施行した.組織診断は“いわゆる癌肉腫”であった.腫瘤摘出後に施行した食道透視で食道全体に多発する粘膜不整像を認め,内視鏡で多発性の食道粘膜粗糙,表在性凹凸不整像を認めた.生検で中分化扁平上皮癌と診断し,咽頭・喉頭・食道全摘,後縦隔経路咽頭胃吻合術を施行した.食道は粘膜内癌が多発しており,一部粘膜下層への浸潤を認めた.下咽頭の“いわゆる癌肉腫”は粘膜下層まで浸潤していた.食道および下咽頭に癌肉腫と癌が重複することはまれで文献的考察を加え報告した.

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要旨 過敏性腸症候群(以下,IBS)と診断され治療を受けたが,症状改善のみられないまま7年経過後,直腸粘膜脱症候群(以下,MPS)を来しsalazosulfapyridine(以下,SASP)を含む内科的治療が有効であったと思われた1例を報告した.患者は17歳,男性.主訴はテネスムス,粘血便で,注腸造影,大腸内視鏡,超音波内視鏡検査,生検等よりMPSと診断された.治療として息み,排便回数を控えるよう心療内科的面接治療も行いつつ,緩下剤およびSASPの投与を行った.投薬開始1か月後に粘血便は消失し,2か月後には形態的にも著明な改善がみられた.MPSには長期のIBSの経過中にMPSを合併する例が含まれることが証明された症例と考える.

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要旨 患者は51歳,男性で,憩室症を伴うS状結腸に5個のポリープ様病変が認められた.手術標本では,発赤し周囲粘膜との境界が不明瞭な径17×9mm,20×15mmの2個の大きなポリープ様病変のほかに,3個の小隆起の存在が確認された.大きなポリープ様病変は組織学的には表層のびらん,腺管の増生・分岐・拡張,粘膜固有層における毛細血管の増生・拡張と共に線維筋症がみられ,粘膜下層には血管の壁肥厚・内腔狭小化が認められた.他の3個の小病変のうち1個では軽度の線維筋症が観察されたが,残りの病変では腺管の軽度の過形成が認められたのみであった.これらの組織学的所見は直腸粘膜脱症候群にみられる所見に類似しており,憩室症腸管において粘膜脱症候群と同様の機序により発生したポリープ様病変である可能性が示唆された.

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要旨 患者は56歳,女性.排便時の便表面への血液の付着を主訴として入院.大腸内視鏡検査にて直腸前壁に表面平滑で,血管透見像を有する山田Ⅱ型の中央に陥凹を伴う隆起病変を認めた.病変からの生検標本の組織学的検索の結果,良性リンパ濾胞性ポリープと診断され,経肛門的腫瘍摘出術を施行した.切除標本の病理組織学的検索では,病変は胚中心を有する正常なリンパ濾胞の増殖により形成されており,良性リンパ濾胞性ポリープと診断された.術前の超音波内視鏡検査では,病変は第2,第3層に均一な低エコー領域として描出され,エコー上からは悪性リンパ腫との鑑別は困難であった.直腸の良性リンパ濾胞性ポリープは本邦ではまれであり,自験例は15例目であった.

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要旨 下血を主訴とする6歳,男児の下行結腸にみられた単発性有茎性病変に対しポリペクトミーを行い,組織学的にsm印環細胞癌と診断されたため,左半結腸切除,R3郭清を行った(P0,H0,sm,ly1(+),v0,n1(+),StageⅢ).術後7年再発なく長期生存が得られたので報告すると共に,自験例を含めた本邦小児結腸癌報告例57例を集計し,臨床的検討を加えた.組織学的に,約50%が粘液癌・印環細胞癌で,自験例のごとく有茎性の発育を示した印環細胞癌は認められず非常にまれであった.予後は成人に比し不良で,5年以上の生存例は自験例を含めわずか6例にすぎない.その要因として,小児結腸癌はまれな疾患で症状発現に乏しく,組織学的悪性度が極めて高いことが挙げられる.

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要旨 患者は43歳,女性.健康診断の超音波検査で胆囊頸部に13×14mmの隆起性病変が発見された.hyperechoicな腫瘤が胆囊壁から内腔に突出してみられ,基底部には更にhyperechoicな部分が同定された.手術材料では胆囊頸部に,頂部が陥凹した15×13mmの半球状の腫瘤がみられた.病理組織学的には,(A)腫瘤の周辺部の胚中心を伴ったリンパ濾胞の増生,膠原線維の増生,形質細胞の浸潤を伴ったreactive lymphoid hyperplasia(RLH)の組織像に類似した部分,(B)腫瘤の中心部のリンパ濾胞の消失した部分,(C)腫瘤の頂部を中心とした異型リンパ球様細胞の増生した部分,から成っていた.RLHの悪性化の可能性を考えるうえで興味ある症例である.

早期胃癌研究会

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 1992年6月度の早期胃癌研究会は,6月17日,飯田(九大2内),八尾(福岡大筑紫病院内科)の司会で開催された.

 〔第1例〕61歳,男性.0-Ⅱc型食道表在癌(深達度mm1)(症例提示:岐阜大学放射線科 鈴木雅雄).

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欧文目次

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 超音波内視鏡検査(以下EUSと略す)は,過去10年間に登場した消化器診療の新手技の中で,最も重要なものの1つであろう.消化器診断学におけるEUSの有用性に関しては,既に内外の学会等で意見の一致をみているが,装置さえあれば誰もがすぐに使いこなせるという,簡便な手技ではないことも確かである.現時点での評価を支えているのは,開発当初よりこの手技を手掛けてきたエキスパート達の手になるEUSであり,未だ普遍性を持つには至っていない.EUSが本当の意味で市民権を獲得できるかは,これからこの手技を学び,行うであろう多くの内視鏡医達が,どこまでこのレベルに迫れるかにかかっている.

 このように新しい診療手技が普及していくプロセスをdiffusionと称しているが,一般にわが国の医学は,新しい手技の開発においては手際の良さを見せる一方,diffusionはあまり上手ではない.新手技について十分に学び,理解を深めようとはせず,先達の技術を見様見真似で行っていることが多いのが一因と思われる.海外の内視鏡医達が,時間と経費を惜しまず,系統だった講習を受け,短期間に大勢が一定のレベルに達している現状を知らねばならない.

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 1週間前,『狐の書評』という本が出た.日刊ゲンダイの,「タバコの箱を二つ並べたほどのスペース」(あとがき)の書評ページに書いた,〈狐〉氏の「匿名書評の集大成」だそうだ.出版社は,[本の雑誌社]だ.こうなると,出版元まで,〈狐〉に縁があるのかと惑う.更に,ここに取り上げられた本を,ほとんど読んでい

ないことに,やや愕然としている.

 辛うじて,私が読んだ本として,『中国の鬼』(筑摩書房)があって,この書評の枕に,「エッセイストという肩書の値打ちが落ちている.自称・他称の『エッセイスト』が低コストで量産されているからだろう.エッセーとは,似而非のことかとも思う」(30頁)とあった.

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 本誌の年間最優秀論文に与えられる村上記念「胃と腸」賞の贈呈式が,去る7月15日,文京区小石川のエーザイ本社ホールで開かれた早期胃癌研究会例会の症例検討の合間を縫って行われた.司会の神津照雄氏(千葉大学第2外科)から,17回目を迎える同賞の今回の受賞者八尾恒良氏(福岡大学筑紫病院内科・消化器科)とその受賞論文「X線・内視鏡所見からみたCrohn病の術後経過」(胃と腸 26:627-642)が紹介され,「胃と腸」編集委員会代表の白壁彦夫氏から賞状と賞牌が,医学書院社長金原優より賞金が,会場を埋めた諸先生の大きな拍手のなか,八尾恒良氏に贈られた.

 続いて祝辞と選考経過の説明に立った西俣寛人氏(鹿児島大学第2内科)は同論文について,「外科的手術の行われたCrohn病の多数例に術中内視鏡を行い,残存腸管の病変を確認して術後の再発形式を検討し,日常臨床で問題になるCrohn病における腸管の切除範囲の決定に具体的な数値を挙げて結論を示した点,また,Crohn病の発生・進展形式を推測するうえで極めて有用なデータを呈示された点で,今後Crohn病を研究する者にとって必ず参考にしなければならない論文となるだろう」と述べ,「こうした研究が.更に発展して,Crohn病の治療方針が確立することを希望する」と祝辞を結んだ.

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 Gastrointestinal malignant lymphomas of the mucosa-associated lymphoid tissue: Factors relevant to prognosis: Radasxkiewicz T, et al (Gastroenterology 102: 1628-1638, 1992)

 近年,消化管原発のリンパ腫を理解するうえで粘膜関連リンパ装置(mucosa-associated lymphoid tissue)の概念が導入された.これに由来するリンパ腫はその組織像,生物学的態度,予後などに特徴的な所見を有すると報告されている.

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 Immunoglobulin G (ⅠgG), ⅠgGl, and ⅠgG2 determinations from endoscopic biopsy specimens in control, Crohn's disease, and ulcerative colitis subjects: Rüthlein J, et al (Gut 33: 507-512, 1992)

 慢性の炎症性腸疾患の急性増悪では粘膜内のlgG陽性細胞の数が増加することが特徴的であるが,炎症性腸疾患における非炎症性粘膜では増加しても中等度か,全く増加しないかである.

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 誠に気のきいた小冊子が出たものである.

 この本は,筑波大学の臨床医学系・放射線科の講師斎田幸久博士と,角田博子博士との共著である.

 わずか116頁の中に消化管造影検査の最も良いと思われる方法だけが,過剰な説明や理論などは省かれて,淡々と書かれてある.全体の約半分は胃,あとの半分で注腸,小腸,食道の造影について,と並んでいるが,ここに書いてある順に行動していれば,自然と良い写真が撮れるようになっている.これこそが“マニュアル”というものだろう.

編集後記 岩下 明徳
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 胃・十二指腸液の逆流が主因で起こる逆流性食道炎は,欧米に比較し,わが国においてはその頻度が低く,かつ重篤例が少ないこともあって,これまでそれほど脚光を浴びることはなかった.このことは,過去の「胃と腸」誌の歴史の中でも逆流性食道炎が特集(18巻11号)で組まれたのはわずかに1回だけであるという事実からも理解できる.

 ところが,最近では食餌を含む生活様式の欧米化,高齢化社会などにより,逆流性食道炎の頻度や重症度も変化(増加)しつつあるとされ,また,色素内視鏡検査法や病態生理学的検査法などの診断法の進歩・普及に伴って,本症の診断もより容易になってきており,本症は次第に無視できない注目すべき疾患になってきた.このような背景下に本特集号が組まれたわけである.

基本情報

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胃と腸
27巻9号 (1992年9月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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