整形・災害外科 59巻7号 (2016年6月)

特集 骨粗鬆症性椎体骨折 −治療の現状と問題点

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中山間地域に住む50歳以上の運動器検診受診者を対象に、脊柱アライメントほか、椎体骨折とロコモティブシンドローム(ロコモ)との関連について調査した。その結果、1)椎体骨折はロコモ25と強い相関を認めなかったが、矢状アライメント、特にSVAと強い相関が認められた。2)質問項目ごとにSVAとの相関を検討すると、SVAは歩行の質問項目と有意な相関が認められた。また、Schwab分類のModifierごとに評価すると矢状アライメントが不良になるほどロコモ25の悪化が示された。3)2012年と2014年の結果を比較すると、新規椎体骨折群に比べ既存骨折群はロコモ25が悪く、経年的な悪化がみられた。

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1997年より2年おきに行っている旧・宮川村(現 大台町)の住民コホート調査データを用いて椎体骨折の追跡調査を行い、胸椎・腰椎側面単純X線像による半定量的評価法に基づき形態骨折の継時的変化について検討した。その結果、平均8年間の経過観察期間で、既存骨折の約25%は椎体変形が進行し、椎体骨折後に椎体アライメントの不均衡が進行する可能性が示唆された。特に中下位腰痛に発生したbiconcave型椎体骨折は椎体変形が進行しやすい傾向にあり、骨粗鬆症治療のもと慎重な経過観察が必要と考えられた。

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骨粗鬆症性椎体骨折のうち、受傷後早期の単純X線側面像で椎体高が80%以上残存した110例122椎体を対象に、保存治療の違いによる治療成績を骨折型別(全体隆起型、一部隆起型、終板ずれ型、終板圧潰型)に検討した。治療法は軟性コルセットで固定したA群、体幹ギプス固定を行ったB群に分けた。3ヵ月後の単純X線像を評価すると、全体隆起型は、A群では全例圧潰し、66.7%に椎体内cleftを認め、B群では73.3%が圧潰し、26.7%に骨癒合が得られていた。一部隆起型は、A群では85.7%が圧潰したのに対し、B群では77.8%で骨癒合がみられた。終板ずれ型は、A群では95.8%が圧潰し、54.1%に椎体内cleftを認め、B群では53.3%に骨癒合が得られたが、46.7%は圧潰していた。尚、終板圧潰型は、A群、B群ともに骨癒合良好であった。

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骨粗鬆症性椎体骨折に対し経皮的椎体形成術(BKP)を施行後、地域連携パスを用いて1年以上経過観察を行っている42例を対象に中期成績を検討した。BKP後は骨粗鬆症治療の第一選択薬としてテリパラチド(PTH)週1回製剤を選択した。その結果、1)VAS値、EQ-5DはいずれもBKP前と比べ1週間後に有意な改善を認め、その治療効果は3ヵ月後、2年後も継続していた。2)PTH週1製剤は28例で導入し、うち19例(67.9%)は72週まで継続することができた。3)再骨折は全体の11例(26.2%)、PTH週1製剤を72週継続した症例の4例(21.1%)で認められた。4)骨粗鬆症性椎体骨折に対して、病院でBKPを施行後、PTH週1製剤などの骨粗鬆症治療を開始し、地域連携パスを導入することで、地域全体で連携して継続治療を行うことが可能であり、その治療成績も良好であることが確認された。

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局所後彎を伴う骨粗鬆症性椎体圧潰に対し後方進入椎体骨切り再建術を行った20例(後方VCR群)の手術成績を、前後方合併再建術を行った33例(前後方手術群)の成績と比較検討した。その結果、1)術後JOAスコアは両群とも良好に改善し、改善率は同等であった。2)手術時間は後方VCR群が有意に短かった一方、術中出血量は多かった。しかし、術後の局所後彎の改善は後方VCR群で優れる結果となっていた。3)周術期合併症は前後方手術群で多く、特に前方アプローチに伴うものが多かった。4)術後新規椎体骨折は後方VCR群で5例、前後方手術群で7例と同程度に認められた。尚、術後経過中、後方VCR群で固定下位の骨折、後彎化に対して3例に固定延長が必要になった。

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著者らの開発した簡易型脛骨前方移動量測定装置(KMI)の有用性について、膝前十字靱帯(ACL)損傷患者および再建術後患者67例134膝を対象に検討した。その結果、KMIとKT-1000sの脛骨前方移動量(ATT)測定値、患健側差には有意差を認めず、高い相関が示された。また、検者間で高い再現性が得られた。以上の結果から、KMIはKT-1000sと同様にACL損傷の診断、術後の評価に有用であると考えられた。

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39歳女性。右肩甲骨の出っ張り感を主訴に受診となった。所見では上肢下垂時に肩甲骨全体が浮き上がり、上肢前方挙上時には増強する翼状肩甲が認められた。また、右上肢の筋力低下、右握力の低下、右上下肢の感覚低下、右Chaddock反射陽性も認められた。以上、これらの所見を踏まえて、MRIとCT所見より、本症例はC5/6高位の頸椎椎間板ヘルニアによる右C6 radiculopathy、およびC7以下右優位のmyelopathyと診断された。以後、治療として同部位の前方固定術を行った結果、翼状肩甲以外の症状は術後速やかに改善、術後6ヵ月現在、翼状肩甲は改善傾向にある。

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74歳女性。第6胸椎圧迫骨折に対する胸椎ダーメンコルセットによる保存加療中に誘因なく前胸部痛が出現したため、1ヵ月後に前医へ入院となった。前医では神経学的異常は認められなかったが、単純X線で胸骨体部に横骨折が認められた。保存的加療の継続で対処するも前胸部痛は改善せず、更に偽関節を生じたため、手術加療目的で患者は発症後7ヵ月目に著者らの施設へ紹介となった。以後、臨床経過および画像所見より、胸骨骨折後の偽関節と診断され、発症後9ヵ月目に胸腔鏡併用下偽関節手術が施行された。その結果、術後34ヵ月現在、骨癒合が得られ、前胸部痛も消失した。

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21歳男性。1年前より誘因なく歩行時と夜間の右足関節痛を自覚し近医を受診、NSAIDsの処方で疼痛は一時軽快したが、内服中止に伴い疼痛が再発、MRIにて異常所見を認めたため、精査加療目的で著者らの施設へ紹介となった。CT所見より右足関節近傍の脛骨遠位端に発生した類骨骨腫と診断され、関節鏡下に病変部を切除した。その結果、術直後より疼痛は消失し、目下、術後1年経過で再発や変形性関節症変化などの所見は認められていない。

基本情報

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整形・災害外科
59巻7号 (2016年6月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0387-4095 金原出版

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