看護学雑誌 61巻7号 (1997年7月)

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はじめに

 厚生省「准看護婦問題調査検討会」は昨年12月20日,「21世紀の早い段階を目途に,看護婦養成制度の統合に努める」ことを提言する報告書を提出した.「看護婦養成制度の統合」が,事実上,准看護婦養成の停止を意味することはもはやいうまでもない.

 今回の「報告書」以降,特に准看学生の就労をめぐる問題に関しては,厚生省もすばやい対応を見せ,この3月24日には,養成機関での就労義務づけを禁止すべく「保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則」の一部改正と,「医療機関への勤務義務づけを禁止する厚生省・局長通知」が行なわれた.これらを真に効力あるものとするためには,今後,看護職者全体が,各地の准看学生の実情をしっかり監視していく必要がある.

「准看養成停止」と求められる看護・看護教育

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はじめに

 当院は,許可病床数328床,看護婦比率84%の総合病院である.

 1994(平成6)年に,閉鎖していた病棟に生活援助中心の「特例許可老人病棟・介護力強化型」42床を開設し,急性期と慢性期の看護を機能分化したケアミックス型医療を展開してきた.

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精神科看護に求められているものは何か看護の役割

 精神科看護では患者とナースの間に医療器材はない.直接,人間対人間の関係からナースは“人”としてその存在を問われる.精神疾患者の中には病識や病感がなく,受療の必要性を認めていないケースがある.そういう患者に対してもナースは患者にもっとも近いポジションにあるところから,患者にとって必要な“人”となることがまず要求される.

 患者のニーズについても,患者にかかわっていく過程で徐々に明確になっていく.ここで要求される看護は,ナースとの対人過程を通して,その人の生活基盤で社会生活ができ得るように,その人のもてる力を引き出し,人として成長できるような援助,言い換えれば,教育的アプローチである.

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 私が看護婦になって,初めて臨床に出たのは,2・8(ニツパチ)体制が敷かれ1人夜勤から2人夜勤になった頃だった.職場の先輩は准看護婦が圧倒的に多く,手とり足とり仕事を教わった.その時代の先輩たちとの思い出は,終生忘れることのできないものとなっている.

 今,「准看養成停止」の方向を示す朗報に,先輩たちへの感謝と,看護婦への移行がスムースに行なわれることを祈って稿を進めたい.

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はじめに

 浪速医療生活協同組合・芦原病院は大阪市の中心部にあり,約40年前,地域の人々が行政にはたらきかけて診療所を作ったのが始まりである.以後,現在まで,市民病院に準ずる総合的な病院として拡大してきた.今年の3月末現在の1日の平均外来患者は650人,平均入院患者は152人,医師23人,歯科医師3人,看護婦65人,准看護婦55人,助産婦7人,看護助手18人である.

 例年3月下旬に病院の新採用の人たちのオリエンテーションが始まる.今年は離職予定の看護職が多く,例年になく多くの看護職員を採用しなければならなかった.4月から准看学校に入学する看護助手9人と,准看護婦3人,そして看護婦3人の新採用者である.このように,当院は約15年前から看護職員の充足のために,准看学校卒業生や進学コースの学生を毎年採用してきた.また,奨学金制度や学生の就労条件を整備しながら,多くの准看護婦や看護婦を育成してきた.私自身,その中で育てられた1人である.

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「准看養成停止」私の受けとめかた

 私は10数年の大学病院勤務を経て,現在,在宅医療を進める開業医である.従って日本医師会会員であるが,ここで述べさせていただくのは一開業医としての個人的な意見であることをおことわりしておく.

 そもそも「准看問題」とは,何を問題としているのであろうか?制度改正について反対,賛成,それぞれの根拠は,個人やある団体の,単に利害で語られていると感じる.日本医師会と日本看護協会では,まったく対立関係にあり,准看養成停止はただちにこの問題の解決にはつながらないと考えている.医師会の立場で述べれば,診療介助などのため,効率よく,合理的に養成しようとしているのであるが,看護協会はこれを安易に養成されるとして問題にしている.養成の目的を考慮せず「安易」が是か否かの戦いになり,基礎学力や養成期間が問題とされている.

なぜ准看護婦から看護婦をめざしたか

学ぶことで成長できた私 金内 節子
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チャンスは誰にでもある

 私は,高校の衛生看護科を卒業後すぐ就職した.進学しなかった理由は,早く働きたい気持ちと,このくらいの知識で働いてゆけるのか試してみようと思ったからだった.

 18歳で就職し,とても仕事は楽しく准看護婦だからというひけめや,仕事がやりにくいと感じたことはなかった.それは,病院のシステムで看護婦と准看護婦の行なう仕事が区別されており,准看護婦として果たすべき役割がわかっていたからだと思う.

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はじめに

 当院はベッド数542床を有する総合病院で看護加算2対1(A),精神科は特Ⅱ類をとっている.

 附属の施設として准看護婦学校をもっていることと,高等学校衛生看護科の実習を受け入れていることから,進学コースを出た看護婦が約半数を占めている.現在17名の婦長と16名の主任看護婦がいるが,おのおの約半数は進学コース出身者である.今回のテーマをいただき,私たち2人はこの4月,婦長に昇格したことを機に,准看護婦時代をふりかえり現在にたどりつくまでの経過や思いを述べてみたいと思う.

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忙しい日々の中で

 今から20数年前,生活の手段として飛び込んだ看護婦の道.その後,結婚,出産,子育てと5年あまりは潜在看護婦であったが,子どもの成長に合わせてパートから常勤へと勤務形態を変え准看護婦として働いた.

 私が常勤として勤め始めた病院は,自宅から10分ほどの所にある,ケアが中心とされる老人病院で,ちょうど開設と同時期だった.

特別記事

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はじめに

 ICUやCCUなど,生命危機状態にある患者を治療・ケアする場においては,24時間患者を観察し,分きざみの治療・処置を遂行する看護婦の責任は大きい.しかし残念ながら日本では,まだこのような看護内容(クリティカルケア看護)を支持する教育や職能団体の活動は系統的に行なわれておらず,それぞれの病院あるいはICUにおいての教育活動のみに限定されている.アメリカでは古くからクリティカルケア看護の独自性が認識され,教育,学会活動,研究などが組織的に行なわれている.

 このたび,アメリカにおけるクリティカルケア看護の実情を,オハイオ州クリーブランドの大学と病院で視察したので,ここに報告する.

連載 カラーグラフ

切手のなかの看護婦たち・19

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1マダガスカル民主共和国 国際協力年を記念して発行された2種切手のうちの1種.(1965.9.20)

2ドイツ連邦共和国 社会福祉切手として発行された4種の切手のうちの1種.(1956.10.1)

なるほど人体—Human Body World・19

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 心臓は,1分間に70回ほど,1日には10万回ほど,そして一生の間には,30億回も拍動します.こんなに規則正しく,休みなく拍動する心臓のリズムのみなもとはどこにあるのでしょうか.ふつうの筋肉は神経の刺激によって収縮しますが,心臓は入ってくる神経をすべて切断しても,拍動を続けます.身体から外に取り出しても拍動します.

 では,心臓のどこに,規則正しくリズムをきざむ時計があるのでしょうか.じつは,心臓の筋細胞の1個1個に,規則正しく収縮する性質が備わっているのです.技術の発達した現在では,心臓から筋細胞を取り出して培養し,その収縮する様子を観察することもできます.

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 昨年暮に起きた在ペルー日本大使公邸人質事件が,武力突入という形で結末を迎えたことは記憶に新しい.大和田さんは,事件発生直後,日本赤十字社から赤十字国際委員会現地代表部に派遣され,救護活動にあたった医療班のメンバーの1人.

 日本では赤十字の活動のイメージといえば,まず医療・看護,そして災害時の救護活動だが,原点には今回のような戦争・紛争の地での救護活動がある.一見平和な日本にいると,地球のどこかでは今なお紛争が起こっていることを忘れてしまいがちだ.大和田さん自身もいつのまにか「平和ボケ」していたことに気づかされた経験だったという.

連載 看護を支えるもう1つの“知” 現象学と状況論的認知・1【新連載】

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 私は,救急医学を専門としています.救急医学は,救急医療の実践を支える実学として確立されるべきものです.看護学が同じように実学を目指すものならば,共有した問題が多くあるように思います.以前,「救急医学とは何か」という考察を試み,実学としての医学にかかわる問題がおそろしく深い地層にまで至っていることを知りました.“深い地層に至っている”とは,この問題が単に医学のレベルにとどまらず,“学問”と言われる人間の知的活動の本質にかかわるものであるということです.そこでこの根を少し掘り起こしてみようと,私の場合,まず認知科学からアプローチを始め,その後,現象学といわれる領域にも関心を広げました.その過程でベナーの看護論の存在を知りました.ベナー教授はドレイファスを介しハイデッガーの現象学を基礎として看護論を展開されています.したがって,ベナーの看護論を理解するには,ドレイファスやハイデッガーという人々の考え方の基本を知ることが必要です.この基底部分の理解なしにベナーの看護論を実学としてとらえた場合,現場に混乱をもたらす危険があるように思います.

 このシリーズは看護論そのものを語るものではありません.現象学や認知科学に興味のある人,また,今後ベナーの看護論を読んでみようと思う人の参考になればと思い書き連ねてみました.そこでこの第1回では,私たちが“知っている”ということを考えてみたいと思います.

連載 H・I・V—AIDS看護はいま・1【新連載】

変わるHIV/AIDSの常識 折津 礼子
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連載に先立ちミニ知識を少々…

HIV感染,AIDSとは

 HIVは,本来ならウイルス感染を防ぐはずのCD 4 T細胞におもに感染し,また貪食(殺菌)細胞であるマクロファージなどにも能動的にあるいは受動的に取り込まれ,その中で免疫系から逃れて増殖する.またHIVは骨髄や脳細胞にも感染する.

連載 ケアって何だろう・7

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 本連載の第4回からターミナルケアについて論じてきた.今回は,いったんそのまとめとして,筆者らが昨年から今年にかけて行なった国内の特別養護老人ホームにおけるターミナルケアの実態調査の紹介と,「政策としてのターミナルケア」という課題について考えてみよう.

連載 道拓かれて—戦後看護史に見る人・技術・制度・7

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 保助看法の二大看護業務の1つである「療養上の世話」の大切さを説く看護婦は多い.だが,現実の臨床場面でこの領域での責務をきちんと果たしているであろうか.一応,日課としての位置づけはされていても,それが専門職として誇れる内容になっているかどうかはきわめて疑問である.いったいいつ頃から「療養上の世話」に関する仕事が十分果たされなくなったのであろうか.こうした疑問自体が適切ではないという人もいる.昔から看護婦は医師のアシスタントで,患者の療養上の世話は二の次であったというのだ.確かに,その施設のヒューマンパワー事情をはじめ,付添依存や幹部のフィロソフィーによっても,様相を異にしていたであろうから一概には言えない面もある.

 だが,戦後50年の歩みのなかで,筆者自身も,看護自体が後退しつつあることを実感した時期があったことを記憶している.それは,医療技術・疾病構造の面での,戦前との大きな差異が生じた時期,すなわち1950年代後半,である.「ペニシリンの登場に始まる抗生物質,抗結核剤の開発・普及により急性伝染病や結核が克服され,副腎皮質ホルモンや利尿剤の開発,同時に麻酔技術,大量輸血,補液技術の導入・普及は外科手術の安全性を高めた」1).この過程と平行して社会的には「医療保障の拡大政策,高度経済成長政策が始まり,医薬品産業の企業活動も営利性がより加速」1)した.

連載 臨床で研究に親しむ・7

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 この連載も半年を過ぎました.読者の中には,臨床で今年度,初めて看護研究を行なうことを予定されている方もいらっしゃることでしょう.そして,来年の1月か2月には院内発表会での報告を予定されていて,今からそれまでにまとめることができるのかと心配しておられるかもしれません.この連載に沿って実践されますと,今年度の発表会までに,研究としての基本的プロセスはある程度おさえることができるはずです.

 前回は,研究論文の読み方について解説しました.探し出した文献は,本とか雑誌の研究論文や解説文・紹介文などさまざまであったことでしょう.それでは,今回は今まで探し出した文献を整理してみましょう.

連載 Bonjour! パリの看護婦さん・7

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 日米のシステムとは異なりフランスでは,患者を手術室で眠らせてから,蘇生室で目を覚まさせるまでの行程を麻酔医とともに補助をする看護婦(士)には,一般看護婦(士)とは別のカテゴリーの専門看護の免許が必要です.今回は,この専門看護資格を持つアンヌ=マリー・ゴンザレスさんにうかがってみました.

 パリからノルマンディー方面に車で1時間ほどの郊外にある,白雪姫と7人の小人が出てきそうな田舎屋風の造りのお家で,約束の時間より早めに着いた私を迎えてくれたのは,お庭にある桜の木の上から飛び降りてきた5歳のカミーユ君でした.木登りしていたことは内緒にする約束を条件に,乗馬レッスン中のお姉ちゃまに付き添って裏庭に出ているアンヌ=マリーのところまでつれて行ってくれました.

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治せないことに対して医療者が感じている「フラストレーション」の危険性についてもっと真剣に考えよう

 正直に言って,この本のタイトルからはあまりおもしろそうな印象を受けなかった.だが,予想に反して読んでみると結構おもしろかった.

 まず,ともすると重く暗くなりそうな「障害者の人権」「医の倫理」というテーマを,研究者である著者が歴史的事実に基づいて客観的に淡々と記述している点である.

連載 プッツン看護婦物語・83

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 細かい人。

 いい人か悪い人かは別にして、世の中には細かい人と、大ざっぱな人がいるわよね。

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 近年,医療を受ける人の意識は大きく変わっている.従来のような「おまかせ医療」に満足する人は少なく,権利意識をもって医療者と向き合い,支払った額に値するサービスを受けることを要求する人が増えている.では,具体的にどうすれば質の高い医療サービスが提供できるのだろうか.考え方はさまざまであろうが,1つの実践例を,亀田クリニックに取材した.

 亀田クニリックは1995年4月千葉県鴨川市にオープンした外来専門の有床診療所(標榜診療科30科,診察室約100室).同じ法人の亀田総合病院(784床)に隣接し,組織・経営的には独立している.開設にあたっては,質の高い医療サービスを提供する観点から,さまざまな新しい試みが導入された.たとえば「アート・イン・ホスピタル」概念を導入した快適な院内環境,電子カルテ,予約診療システムなどである.そうした取り組みの一環に,スタッフの患者接遇の重視がある.

基本情報

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看護学雑誌
61巻7号 (1997年7月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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