看護学雑誌 35巻9号 (1971年9月)

特集 看護婦の職業病

  • 文献概要を表示

 日に日に複雑化する医療,慢性的な看護婦不足による労働密度の高まりは,患者サービスの低下をまねくばかりか,看護婦自身の健康にもいろいろな影響があらわれている。

 腰痛症,貧血,椎間板ヘルニア,生理不順,そして異常産,慢性疲労症……など。

  • 文献概要を表示

 私は2年前に思いがけない病気—腱鞘炎と頸腕症候群—にかかってしまった。キーパンチャーや事務職員によくおこる病気である。6年前から耳鼻科に勤務し,仕事はすっかり馴れていたのだが,看護助手が次々とやめたため,綿棒をまく本数がぐんとふえたのである。そのため,私をはじめ,職場の人が次々と6人も発病してしまった。私も最初はこの病気がこんなに長く続くものとは思わなかった。

 最初の担当医はなかなか休むようにとはいわず,箱崎町の木下先生のところに行ったら,重症であるといわれ診断書をいただいた。自分でも綿棒まきのせいではないかと考えていたのだけれど,いざ“職業に起因するもの”という診断書をみた時は本当にショックだった。

<資料>決定書 金子 正己
  • 文献概要を表示

決定書

審査請求人の住所及び氏名

東京都世田谷区世田ケ谷1-14-18秋野建男方  後藤 敏子

  • 文献概要を表示

私自身が障害者になる!

 「深夜勤のときは,看護記録をつけるのがつらくてね。助手さん,保母さんに手つだってもらうんですよ」

 東京・府中にある都立の障害者療育センターで,A看護婦が腕をさすりながら語りだす。

  • 文献概要を表示

 消化器性疾患の精神身体医学的な面での多くの議論はその感情的あるいは肉体的病因というものを証明するか,証明することができないかにかかっているようです。この論文において,われわれは感情面の治療というものに重点をおいてみたいと思います。

話し合い ほんやく「消化性潰瘍と潰瘍性大腸炎の精神面の治療」を読んで

  • 文献概要を表示

 高階 いままでは,藤本さんが「AMERICAN JOU-RNAL OF NURSING」の一節の翻訳をして,それに関してわれわれがどういった日本的な解釈をするか,どういった応用面があるかといったことについて,話をしてきたわけなんですけれども,今月は少し趣向を変えて,「Post Graduate Medicine」というドクターのための卒後研修を目的とした雑誌のなかで,これはおもしろいと思ったものがあったので,それについて編集部の方もまじえて話していこうというわけです。

 いわゆる消化性潰瘍,あるいは潰瘍性大腸炎といった消化器系統のサイコソマティック・ディスオーダーといったことを話していこうと思います。ご承知のように,日本は急性の胃炎から胃癌に至るまで,世界で一番消化器病が多い国です。そのための薬というのも,世界のトップをいくほど種類が多いし,また利用度も多い。そうなりますと,消化性潰瘍というのはただ内科医が漫然と「ここに潰瘍があったからすぐお薬を飲みなさい」といった形でほおっておくより,さらにつっ込んで患者さんの病気のなりたちというものを,親身に考えてあげる必要があるんじゃないか。そんな意味で,私はこの論文はおもしろいと思うんです。

  • 文献概要を表示

はじめに

 かつては准看護婦が,自らの権利・要求を掲げて,一人の人間として登場する場所はなかった。看護婦の職能団体としての日本看護協会に対して,准看護婦は,現状とこれからの脱却を「どうにかしてください」と訴えることをくり返すだけであり,また看護協会は,「准看護婦は看護婦と違う。補助者である。だから補助会員だ」との対応に如実に表出している如く,この対応そのものの存在としてしか,自他ともに認識せざるを得ないのが実情であった。

 准看は,自らの要求は自ら闘いとらなければならないということで,10年以上前から大阪を中心に大阪准看護婦部会が組織されてきている。前島昭子氏を中心としたその「准看の集い」が実を結び,今年の看護協会総会の前日,5月8日,大阪において,「全国准看護婦の集い」が開催されたのであった。

  • 文献概要を表示

1.はじめに

 近年,リハビリテーションが臨床各科で強調されており,精神科においても治療・看護の中心はリハビリテーションであるといわれている。だが精神科においてリハビリテーションは,分裂病患者に焦点をあわせて考えられており,脳卒中後遺症,CO中毒後遺症などリハビリテーションの対象となるべき脳器質疾患の患者はきわめて多いにもかかわらず,この面の研究がすすんでいるとはいいがたい。

 最近私たちは,ある脳低酸素症後遺症の患者の看護経験から脳器質疾患患者の機能回復の本態およびそのための看護のあり方について多くの教訓を与えられたので,その経験を報告したい。

カラーグラビア 彩色医療図絵

日本最初の解剖図 石原 明
  • 文献概要を表示

 わが国ではじめて医学研究の目的で人体解剖が行なわれたのは宝歴4年(1754)、今から217年前のことである。宮中の医官でもあった山脇東洋(1705〜1762)が門人らとともに京部の六角刑場で実視した時門人が描いて東洋自ら説明を加えたのがこの図で、解剖記録とともに5年後に出版された。東洋はこの解剖の時オランダの解剖図と見くらべ、実証の尊さを痛感した。半年後、この解剖に立会った小杉玄適が江戸に行き、友人の杉川玄白にその模様を語ったのが「解体新書」翻訳のきっかけとなった。

カラーグラビア メディカル・ハイライト

  • 文献概要を表示

ICUもCCUも現代医学の最先端技術を駆使しての最大のホットコーナーといわれるが、そこに思いがけない伏兵があらわれた。それは臨床医学がかつて経験したことのなかった患者への心理的影響である。たとえばある患者はICUに収容された翌日から精神的に不安定となり、たえずイライラして不眠を訴えはじめた。CCUについても各種機械類やコード類が患者のまわりに多くなればなるほど心理的に強く圧迫され、自分が重篤な状態になっているという自己暗示におちいってゆき、不安になるのである。それにしてもいつまたどんな伏兵にあうかもわからぬということを教えた意味で興味深い。

カラーグラビア 職場から生まれたユニホーム

  • 文献概要を表示

 残暑の庭に珍しく赤トンボがとんでいます。秋に出産をひかえ公私ともに忙しい日々を送っていますので、休憩時間はできるだけ戸外でいこうことにしています。

 デザインは見た目に大きさや重さを感じないよう、後姿をほっそりと、前はプリーツを深くとってすっきりした感じを出しました。

ずいひつ—夏の海 柏原 兵三
  • 文献概要を表示

 日本海で7月の末家族と共に数日泳いで来た。ここ数年夏は外国旅行に出ていたので子供と一緒に泳いだことがない。それで子供は夏休みになるとこの日が来るのを楽しみにしていた。

 新潟の海なのだが、特急を利用すると上野から4時間足らずで行けるので驚いてしまった。ここ数年忙しくて余り国内を旅行して歩かないせいもあるが、頭がその点古いのか、国内の旅行時間を昔の通念でどうしても考えてしまう。新潟の海だったら7、8時間はかかるに違いない、と思つてしまうのである。

ごぶさたしてます
  • 文献概要を表示

梅木 サト

大正14年岩手県で出生。昭和16年横浜中央看護婦学校卒業後、横浜中央病院に勤務。19年岩手県湯口村に保健婦として赴任。26年7月保健婦制度10周年記念式典において、厚生大臣から表彰される。29年から花巻市の保健婦となり、現在にいたる。

海外ニュースサロン

バーナード博士の新しい話題,他
  • 文献概要を表示

 クリスチャン・バーナード博士といえば,3年半前,世界で最初の心臓移植手術をしたことで有名であるが,このほどまた新しい話題を提供している。

 博士は先頃ケープタウン病院でそこの有色人種であるアドリアンハーバートさんに対して,心臓と両方の肺を移植した。この種の手術は,人間に対してこれまで2度しか行なわれていない。

第18回医学書院看護学セミナー講演録

  • 文献概要を表示

 きょうは,特に最近強く問題になっている「医の倫理」といわれるものは,いったいなんなのかということを,医学者でない,いわば医療についてはしろうとである私が,ひとりの思想家として,何をその中で考えているかということをお話し申し上げ,それによってみなさん自身の頭で,看護婦はどのようでなくてはならないかというむずかしい問題を,お考えいただきたいと思うのであります。

 私はもともと法律における過失が専門ですか,專門の話はべつにする機会もありますし,また過失について少しでもわかっていただくには,一度千葉の裁判を傍聴にいらしていただけば,私が自分の専門をかけて,何をあの中で主張しようとしているか,おわかりいただけると思います。

グラフ

看護史跡をたずねて 檜垣 日出男
  • 文献概要を表示

暑い盛りの8月10日,神奈川県下の看護史跡めぐりがあった。昭和48年春完成をめざして工事が進められている神奈川障害者福祉センター(厚木市七沢・ベッド数710)のPRをかねて,同センターの事務局が行なったもの。当日は,全国から15名の看護婦さんが参加し,横浜市大講師の石原明先生のガイドで,横浜・金沢文庫・鎌倉の史跡を,冷房つきのバスでまわった。そして翌日は,厚木の同センターの建設現場を見学に行った。

看声医語

棒が歩く 宇治 正美
  • 文献概要を表示

きょう,わたしの講義は「集中」についてである。一人の生徒を座席から呼び出す。

「皆の見ている前を歩いてごらん」 彼女はいぶかし気な顔つきで,しかし,モジモジと歩く。

科学的看護への基礎ノート・6

癌をめぐる臨床心理 杉村 春三
  • 文献概要を表示

癌恐怖についての調査

 Josephine K. Craytor:The Nurse and TheCancer Patient. A Programmed Textbook. 1970. J. B Lippincott Company. はナースのために書かれた資料として注目に価する。癌患者の臨床看護場面は生やさしいものではなく,むしろ患者の疾病心理などを検討しようとすること自体に,かなりの抵抗を感ずるというのが,端的にいって現場の声だと思う。つまり生体的事実としての癌に取り組むだけでも大変なのだという声もかなり強い。

 癌についての疾病観調査は昭和27年に一度試みたことがあるが,それは「癌恐怖〜Karzinophobie」を調べる目的でなされた。つまり一定の地域社会に一定の類型の癌恐怖があるのか,かりにあるとすれば,いかなる機制によるものかを調査するのが目的であった。

抵抗の女(ひと)・イーディス・キャベル

孤高の人 高見 安規子
  • 文献概要を表示

■看護学校開校

 1907年10月1日,看護学校エコール・ベルジュは開校した。ブリュッセルの南エクセルのクルチュール通りに面した4軒の家が,その建物としてあてられ,1階と地階に連絡通路ができて,診療所付きの看護学校の体裁が整えられたのである。第1の家には,1階にイーディスのオフィスと居間と寝室,2階と3階に学生たちの寝室。第2の家には,1階に学生たちの居間と食堂,2階に病室,3階に手術室と消毒室。あとの2軒の家には病室,患者待合室,医師たちの会議室などが配置された。

 イーディスの仕事は,なによりもよい生徒を集めることだった。先にものべたように,「看護婦」というものに対する当時のベルギーの人びとの認識は,イギリスでいえば100年ほど前のそれにも等しいものだったから,イーディスの苦労はひととおりではなかった。彼女は,宗教的献身からではなく,独立した職業としてやる気のある良家の子女を望んでいた。志望者が少ないからといって,けっして程度を下げてはならない,と彼女は心に決めていた。その結果5人の生徒が入学を許され,25人の患者が収容されたのである。

看護風土記

福井/兵庫 橋本 圭子
  • 文献概要を表示

「古事記」に神功皇后が若狭の国を経て高志前(こしのみちのくち)の角鹿(つぬが,敦賀)に仮宮を造るとあるのが,若狭国・越前国の文献上の初見である。

人口約74万人の福井県は,敦賀東方の木の芽山嶺を境として嶺北と嶺南に分かれる。嶺北は穀倉地帯,人絹,合繊織物,嶺南は敦賀港を擁して,工業部門のめざましい発展と原子力発電所が建設され,小浜,三方は景勝地として,特に夏は多くの観光客が訪れる。

Medical Topics

排卵誘発剤とその問題点,他 E.M.
  • 文献概要を表示

 最近オーストラリアで九つ子が生まれ,全世界の話題となった。これを産んだ母親は排卵誘発剤を使用して妊娠したものであると報じられている。この薬はしばしば多胎妊娠をひき起こすことが知られており,その結果として当然早産,未熟児,新生児死亡が多くなる。そのために英国の議会で,ある議員がこのような危険な薬の使用を禁止するべきだという発言をしたことも報ぜられた。事実,今回のケースでも最初から2人は死産であり,生まれた子もその後次々とみな死亡してしまった。

 最近開発された薬剤のなかでも,すぐれたものの一つにこの排卵誘発剤がある。従来女性不妊のなかでも無排卵のものに対する有効な薬剤が乏しかったが,この種の薬剤が出現するに及んで,よく妊娠するようになった。この薬剤の一つは下垂体前葉ホルモンである卵胞刺激ホルモン(FSH)の製剤であり,更年期婦人の尿より抽出する。実際にはこれと絨毛性ゴナドトロピン(HCG)とを併用する。もう一つは抗エストロゲン作用のある化学物質で,ホルモン剤ではなく,その代表的なものはクロミフェンである。これらの薬剤はききすぎると一度に多数の卵を排出させるため,多胎妊娠を起こす原因となる。したがってせっかく妊娠しても,胎児の数が多ければ多いほど,そのほとんどを失うことになる。

  • 文献概要を表示

はじめに

 医学の進歩とともに,新生児重症黄疸として不明のうちに取り扱われていた疾患も,Rh因子の発見,さらにABO式血液型不適合による溶血性黄疸の存在も明らかになった。最近核黄疸の危険が認識されるに従って,交換輸血への関心が高まっており,今では症例数は少ないが,今後ますます増加をたどるものと考えられる。

 厚生省では,5年に1度の身体障害者実態調査(昭和40年)で,重症心身障害児は17,300人で,発生原因をみると,脳性小児麻痺に起因するものが13,100人で,全体の75.5%を占めている。このような障害児の原因は,出生時または新生児期にあるものが多いといわれている。すなわち,(1)未熟児によるもの,(2)無酸素症によるもの,(3)新生児重症黄疸によるものがある。このうちで,適切な処置をほどこすことによって,発生を0にすることができるのが,(3)の新生児重症黄疸によるものであり,この新生児重症黄疸の最もよい治療とされているのが,交換輸血である。私は当病院における昭和44年1月から12月までの1年間,出生数814名中,13症例の交換輸血術介助を経験し,それを素材とし,まとめてみた。

研究グループめぐりある記

  • 文献概要を表示

 ユニークな看護管理を行ない,看護用具や記録のアィディア開発に活発なこの大森日赤病院には,安田千代子看護部長が胸をはって自慢する研究グループがある。その名を「業務改善に関する研究委員会」という。業務・用具・記録・教育・災害・図書の六つの研究グループと一つの諮問委員会があり,各病棟婦長が2名ずつリーダーになっている。

 今回,そのどれか一つをとりあげてご紹介しようと思い,看護部長にお願いしたところ,こういわれてしまった。「うちのこの委員会は,それぞれがほぼ同時に発足し,同じように苦労を重ねながらどうにか形をととのえてきています。だからここで,そのどれか一つだけピックアップすること,それだけ特別扱いすることはできません」

生活と意見の広場

  • 文献概要を表示

古くて新しい寮制度の問題は変化しているというものの理想にはほど遠い。今回は寮生活を送っておられる4人の方々にその問題点を語っていただいた。

ごぶさたしてます

  • 文献概要を表示

 病院での臨床看護業務のなかで,回復後の患者と家族への患者管理についての指導,社会復帰と衛生教育の必要性などを地域保健看護活動の目的として,昭和19年より地域住民に接してきました。

 当時は,開放性患者を入所させた家族に対する病気の知識,急性伝染病に対する知識の普及のため,日夜をすごしたものです。その当時いっしょに勤務した,現在東北大学病院に勤務している小田島カッエさんとのなつかしい思い出がいっぱいです。その後,東北大学病院にもどられ,看護業務に専念しておられることと思います。すっかりごぶさたいたしております。

世相カセット

知床ノオト 大原 麗子
  • 文献概要を表示

 旅に出る。東京を離れる。生活のさまざまなかたちが遠のく。知らない土地,知らない海。毎日の行動を支配するのは,仕事のスケジュールだけ。1週間,生活という母船から切り離された仕事カプセルの人間になってみると,普段は知らない自分の顔もちょっぴりみえたりする。

 “知床の旅”という番組の中継VTRどりに夏の知床半島にでかけ,45分の番組に6時間のVTRがまわった。編集され電波にのってオンエアされると,もう何の空間も持たないテレビジョンの宿命ではありながらも,放送というフィルターを通してなおも私の中に定着しているもの,それは旅に出た一人の人間の個人的な記憶である。

視・聴・画

  • 文献概要を表示

 若松孝二という映画監督の名前をご存知だろうか。現在,若松孝二は,小川紳介や大島渚と並んで若者たちの人気を三分している作家だから,あるいは,どこかの大学祭などでその作品をご覧になったかたがいらっしゃるかもしれないが,そのかたでも,若松映画を街の映画館で見たことは,まずないのではなかろうか。それも,小川映画のように自主製作=自主上映方式を堅持しているせいで,なかなか見がたいのかといえば,さにあらず,若松映画は大島映画と同じく,どこの映画館でもやっているのである。いや,もしかすると,若松映画のほうが大島映画よりも上映される度合は多いかもしれない。

 それなのに,なぜ,読者諸姉にとって若松映画が見がたい存在なのかというと,読者諸姉がオンナでありかつ若松映画は主としてピンク映画館で上映されているという単純明快な理由があるからである。そう,若松孝二とは〈ピンク映画〉の作家なのである。

Nonの世界

新黒猫物語 伊東 守男 , 高千穂 正信
  • 文献概要を表示

 猫を拾った。

 かわいい猫だった。

  • 文献概要を表示

磯の香をふふむひじきを洗い居り海には遠き我れの日々にて

〔評〕静かな調の中に,現在の生活をうべない,明日へつづく時間を貴重なものとしてうけとめている作者の心がひそんでいる。

付録

  • 文献概要を表示

免許(つづき)

免許取得の要件

積極的要件

基本情報

03869830.35.9.jpg
看護学雑誌
35巻9号 (1971年9月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

文献閲覧数ランキング(
9月14日~9月20日
)