Nursing Study
交換輸血の体験/講評 研究論文にはほど遠い
小野田 清乃
1
1小倉記念病院手術室
pp.92-97
発行日 1971年9月1日
Published Date 1971/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916129
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はじめに
医学の進歩とともに,新生児重症黄疸として不明のうちに取り扱われていた疾患も,Rh因子の発見,さらにABO式血液型不適合による溶血性黄疸の存在も明らかになった。最近核黄疸の危険が認識されるに従って,交換輸血への関心が高まっており,今では症例数は少ないが,今後ますます増加をたどるものと考えられる。
厚生省では,5年に1度の身体障害者実態調査(昭和40年)で,重症心身障害児は17,300人で,発生原因をみると,脳性小児麻痺に起因するものが13,100人で,全体の75.5%を占めている。このような障害児の原因は,出生時または新生児期にあるものが多いといわれている。すなわち,(1)未熟児によるもの,(2)無酸素症によるもの,(3)新生児重症黄疸によるものがある。このうちで,適切な処置をほどこすことによって,発生を0にすることができるのが,(3)の新生児重症黄疸によるものであり,この新生児重症黄疸の最もよい治療とされているのが,交換輸血である。私は当病院における昭和44年1月から12月までの1年間,出生数814名中,13症例の交換輸血術介助を経験し,それを素材とし,まとめてみた。
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