視・聴・画
〈ピンク映画〉の暗闇,他
松田 政男
1
1映画批評
pp.124-125
発行日 1971年9月1日
Published Date 1971/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916137
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若松孝二という映画監督の名前をご存知だろうか。現在,若松孝二は,小川紳介や大島渚と並んで若者たちの人気を三分している作家だから,あるいは,どこかの大学祭などでその作品をご覧になったかたがいらっしゃるかもしれないが,そのかたでも,若松映画を街の映画館で見たことは,まずないのではなかろうか。それも,小川映画のように自主製作=自主上映方式を堅持しているせいで,なかなか見がたいのかといえば,さにあらず,若松映画は大島映画と同じく,どこの映画館でもやっているのである。いや,もしかすると,若松映画のほうが大島映画よりも上映される度合は多いかもしれない。
それなのに,なぜ,読者諸姉にとって若松映画が見がたい存在なのかというと,読者諸姉がオンナでありかつ若松映画は主としてピンク映画館で上映されているという単純明快な理由があるからである。そう,若松孝二とは〈ピンク映画〉の作家なのである。
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