科学的看護への基礎ノート・6
癌をめぐる臨床心理
杉村 春三
1,2
1慈愛園・老人ホーム
2熊本大学高看学院
pp.48-51
発行日 1971年9月1日
Published Date 1971/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916121
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
癌恐怖についての調査
Josephine K. Craytor:The Nurse and TheCancer Patient. A Programmed Textbook. 1970. J. B Lippincott Company. はナースのために書かれた資料として注目に価する。癌患者の臨床看護場面は生やさしいものではなく,むしろ患者の疾病心理などを検討しようとすること自体に,かなりの抵抗を感ずるというのが,端的にいって現場の声だと思う。つまり生体的事実としての癌に取り組むだけでも大変なのだという声もかなり強い。
癌についての疾病観調査は昭和27年に一度試みたことがあるが,それは「癌恐怖〜Karzinophobie」を調べる目的でなされた。つまり一定の地域社会に一定の類型の癌恐怖があるのか,かりにあるとすれば,いかなる機制によるものかを調査するのが目的であった。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.