看護学雑誌 25巻5号 (1961年5月)

とびら

かたづけ 金子 光
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 五月の声をきいただけでも,心の中にさわやかな緑の風が通りすぎるような思いがしますし,明るい光が家の内の隅々にまで輝やきわたる感じです。1年中で最もみんなに愛され,よろこばれる季節でしよう。外が明るくなると,家の内の汚れや雑物が目立つてくるといわれることは自然なことで,冬の間の寒さと暗さに不精を許されていたことが,急にうとましくなつてきます。家の内を整とんして,住みよい,暮しやすい生活をととのえる必要は,みた目や住まう気持のよさばかりでなく,能率的で,合理的です。私の友人に『あんまり家の内がキチンと片づいていて,チリ一つ落ちていないのは,とても冷い感じがする』『家庭は子供がいて,ちらかしてあるところにほのぼのとしたあたたかさを感じるものなのだ』という人があつて,意見のいい合いをすることがありますが,そのことはよく理解できます。ただ,子供がいて家の内がちらかつていることと,必要なものを整理されていることとは別なので,やつぱりできるはずですし,子供には,遊んだあとの片づけを教育する必要があるはずです。それは『しつけ』という言葉で表現されているかもしれませんが,要するに生活教育だと思います。整とんするとか,片づけるということは,やつたことに対する単なる後始末だけの意味ではなく,目的は次の機会に備えてのむしろ準備であるわけです。

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Ⅰ.目的

 癌および腫瘍発見の補助診断

Ⅱ.検査前の注意

 患者の一般状態の良好なことをよく確かめておく.検査当日は朝禁食.義歯は取り外しておく.

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 ささやかな工夫でも意外に大きな医療の進歩を招くことがある。従来のウエスター・グレイン法の原理をそこなうことなく,血液を口で吸いあげるかわりにゴム・キャップを用いた,この実験は,いつたいどんな利点をもち,簡便性をかちとつたのであろうか。

連載 限りある命をおしんで・1【新連載】

散りゆく花 工藤 良子
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現世のはかなさをおもふあわれさやたそがるる夕に花の散りゆく良子

連載 詩人の話・1【新連載】

古きをたずねて 山田 岩三郎
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 人を訪問するのはたのしいことです。もつとも獅子舞の如く,門付僧の如く,またはセールス・マンのように,戸毎家毎みだりに門を叩き,招かざる客として遇し遇されることは,相方にとつてこころよいものではありません。私も若き日には,ことさらの用件もないのに,なれなれしく他家の扉を叩く不用意なことをしばしばおこないました。それは若さのもつ特権のようなものでもありました。ことに私は詩人でありたい,詩人として生活もたててゆきたいと思つた時に,斯界の先輩格にあたる東京在住の多くの詩人の家居を訪ずれました。同じ道をゆく後輩としてのエチケットでもあろうと思つていたからです。昨今のことは知りませんが,昭和10年代には,官庁や機構の大きな会社などに就職すると,拝命の辞令を受けた当日,その辞令用紙を持って,各部各課の机の間を挨拶をしてまわる習わしがありました。先進の詩人を訪問することは,ちようどそれと同じ当然の礼儀のように私は心得ていたのでした。

 こうして歴訪した詩人のなかには,私の方だけで勝手にいだいていた親愛感や,どれほどその詩人の作品に心酔しているかなどと,先方では御存知ない故に,まるで獅子舞か門付のようにあしらう人もありました。勝手に不意に他家を襲つて,そのようにあしらわれたからとて文句のいえる筋あいではないのです。

ナースの意見

親せつな心 小林 芳江
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 ナースという職業に就いてまだ浅い私は白衣の天使に憧れたわけでなく,幼い時代に弱い体であつたためである。病気に対しての恐怖の中に十分の理解といたわりが欲しかつただけである。桜の花のほころび始める4月に私は家族と汽車の窓で涙で別れ,「しつかりやるんだよ」,「体に気をつけてネ」,親のはげましの言葉に私は涙が出るほどうれしかつた。煙に消えたはげましの言葉は私を1人ぼつちにさせてしまつた。初めて1人旅をする私にはさびしさの中に何か胸のふくらむ思を抱いたが,私にはそれだけの才能があるかどうか心配だつた。「3年間一生懸命にやつていけるかしら」自覚して入学したにしろ一応心配であつた。桑畑を両側にはさんだ汽車は長く長く感じられた。下車したときには同じ学院に入る人でにぎわつていた。数分後に市内を走るバスが来て目的の病院前で止つた。貴女達の先輩よと温かく迎えてくれた上級生の顔は親切心と笑顔で大変ほほえましく,明るかつた。さすがに白衣の天使といわれるのもまんざらウソでないことを痛切に感じた。消毒液の匂つた長い廊下をきよろきよろしながら寄宿舎へと案内され,重いスーツケースも上級生の手で運ばれた。私達は急にさびしさから抜け出し安心感を抱き,このすばらしい上級生の下に勉強実習出来るかと思うとうれしくておちつけなかつた。

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 進学コースの学校も今では数を増し待望の学舎へ入学出来る人の数も年毎に増して来たということは看護のレベルを高める上から見ても大切であり,喜ばしいことである。しかし陰に隠れている問題をどうして解決するか,この難問は准看である私達の願いを結集し声を大きくして行動と共に問題点を明らかにして先輩の力を借りよき指導のもとに道を開いて解決して行く他にないと思い,小さな力を倍にしてここでナースおよび関係者の皆様に告げるのであります。

 准看学院でそれぞれまちまちの時間数で別々の教養科目を勉強する。卒業して3年間,黙々と勤務し交通の便悪きため夜学へ通えない。このような人が自分の出来る限りの力で独学し進学コースの学院へパスされ無事2年終了し国家試験もパスした。やれやれ次は保健婦助産婦と向学心があつたとする。しかしこの人は高校卒業の証明なきため上へ進めない。その時初めて准看を卒業して進学コースへパスするまでの3年間の勉強の仕方に腹を立ててもすぎし年は取り戻すことは出来ないのです。

ナースの作文

1年前の事 荒木 ミツ子
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 1年前の今頃私はまだ高校生でした。親友は大学進学受験勉強に,私は看護学校受験勉強に励んでいました。

 真剣に勉強に打ち込んでいる時私達の心は幸福な充実感がある一面,一方には必ず何か不安な寂しい孤独感が伴うのです。—この孤独感は別の言葉で言えば人なつかしさであり,こういう感情をもつのは群生動物である人間として当然の事で意志の強さとか弱さという事とは無関係な事であると何かの本に書いてありましたが—。中学から高校へ,高校から看護学校へと進む時,毎晩1時過ぎまで粘り続けた苦しい受験勉強の体験は今となつては,私にとつて何より楽しい思い出なのですがとかく暗くなりがちな毎日の生活の中でとりわけ印象深くいつまでも忘れられない事があるのです。それはよいの口から机の前にすわり,かなりの疲れを覚える10時頃,私と一緒に起きていてくれた母が毎晩運んでくれた熱いおうどんと牛乳の味なのです。私はそのおうどんをすすり,牛乳をのみながら成果を母に語り,母の励ましと慰めの言葉を聞きながら,新しい元気を得て頑張るのでした。母はおそらく私があの時その様な感情を得た事は知らないでしよう。母としては親の自然の情として毎晩私に運んでくれたにすぎなかつたでしようから。私の胸に暖かい記憶としていつまで消えない。人間にとつて何より大切なのは強固な意志と努力ですがそれは周囲の暖かいささえがある時,一層強く一層長続きするのです。

随筆

礼状 富川 篤郎
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 桜の花もあわただしく散つて,周囲の緑の山々にかこまれたこの三重県の盆地美杉村にも,取り残こされることなく蝶が舞い,山ホトトギスが鳴き,早,初夏の風が吹くようになつていた。

 午後ギリギリ一杯かかつた往診を済ませ,夕食をとり,帰宅しようかとホツとくつろいでいた時,あわただしく急患が担ぎ込まれた。

附録 看護手順・4

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 2月号から附録として「看護手順」をつけています。

○ 1枚1枚切りはなしてカードにして使ってください。毎号4頁,合計4枚のカードになるようにできています。

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肝臓の疾患 武内 重五郎
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 肝臓の病気として内科の領域で扱うものはきわめてたくさんありますが,ここでその全部をとりあげてお話することはとうていできません。そこで私は数多い肝臓病の中からビールス性肝炎・脂肪肝・肝硬変の三つをとりあげてお話したいと思います。肝臓の病気を考えるのには,この三つはとくに重要な意味をもつているからです。

肝疾患の看護 早川 かつ
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I.はじめに

 近時肝の機能の病態生理に関する研究が進み,また肝疾患の診断法が極めて多角的となり,肝機能検査,肝生検法などの有力な診断法が行なわれるようになつた。さらに治療に用いられる薬剤の進歩も目ざましいものがある。しかし一方,ここ十数年の死因統計によると,癌の増加は著しいものがあり,これは全癌の30〜40%を占める肝臓癌の増加をも意味している。戦後は流行性肝炎が多くなり,また肝硬変症も戦前に比し,戦後15年間に40〜50%の増加を示している。そしてこれらの疾患は臨床上,病院管理上,さらに公衆衛生の立場から重要視されているものである。

Ⅱ.肝臓の庇護

 これは障害されている肝臓の負荷になる事項を除くことで,この目的のためには,①安静,②食餌療法,③便通の調整,の3項目が挙げられる。

リウマチ 大島 良雄
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リウマチとは何か?

 広い意味では筋肉骨骼系のどこかに痛みや硬ばりがある病状に対し,リウマチ性疾患という名前が使われているが,そうなると病気の成因も現状もさまざまな疾患群を,ただひとつの独立した疾患であるかのように誤解されるおそれがあるので,筆者はあまり賛成したくない。広義のリウマチ性疾患中で,病変の主座が関節にあるとみなされる際には関節炎(退行性病変の際には関節症)と呼ばれ,筋または腱,関節の周囲などの結合織に病変の主座がある際には,線維炎(結合織炎,Fibrositis)という名が英米で使われている。後者の中に神経痛を含めている成書もあるが,神経痛は症状の名称であつて,その原因は軟部結合織病変にのみあるわけではないから,これも誤解される懸念の多い分類である。

 New Yorkリウマチ協会では関節疾患を次のように分類している。

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はじめに

 欧米諸国においては,もともとリウマチ性疾患がはなはだ多く,身体障害者の大きな部分をしめる。わが国においても結核と同じように社会問題となつている。したがつて当科における年間の患者のうち1/3がリウマチと診断され,治療をつづけているわけである。

 患者の気持ちをよく理解し,どのようにしたら少しでも苦痛をやわらげてあげられるか,私たちはしんけんに考えなければならない。そこで当科で行なつていること,その他,今後このようにしたら—と思うことがらをまとめてみた。しかし紙面の関係上,リウマチ疾患のそれぞれについてくわしく書けなかつたことをご承知おきいただきたい。

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まえがき

 小児麻痺(ポリオ)は相当古くからあつた病気のようで,西暦紀元前からすでに存在していたというものもあるが,その明確な臨床報告は,英国で1795年,イタリーで1813年,印度で1823年等であつて,今からせいぜい百数十年前のことである。また1836年にはセントヘレナ島に本症の流行があつたと記されているが,その後1905〜6年および1911〜13年のスカンジナビアの大流行をはじめとし,ヨーロッパ,北米の各地に流行をくりかえしている。わが国でも明治の終りごろには京阪,中国,九州等に少数例の発生が報告されているが,昭和13年関西地方にやや大きな流行をみ,また最近では毎年のように各地に地方的流行を起すようになつた。昨昭和35年には北海道に患者実数1588名(そのうち死亡106名)という大流行をみたことは御承知のとおりである。

小児麻痺の後療法 橋倉 一裕
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 ここにいう小児麻痺は脊髄性小児麻痺,すなわち急性灰白髄炎のことであつて,以下ポリオと省略して呼ぶことにする。

 ポリオは昨夏,北海道に局地的な大流行をもたらして「鉄の肺」とともにクローズアップされ,ソーク・ワクチンやソ連の新薬といわれるガランタミン等,新しい問題がポリオの医療の面を賑わしたことは衆知のことと思われる。

五臓六腑とリズム 定 豊治
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 昔から「夢は五臓の疲れ」と申しておりますし,酒呑みがグットー杯飲んで「五臓六腑にしみわたるなあ」などと申します。では今言った五臓とか五臓六腑とは一体何なのでしようか,その意味を御存知でしようか。

 まず五臓の方からお話をいたしましよう。臓という字のつくものには,心臓,脾臓,肝臓,膵臓,腎臓(腎臓は二つありますが,臓という字では一つですから一つとします),それに肺臓があります(これも左右二つあるのですが,一つとします)。数えて御覧なさい,五臓でなく六臓あるのです。これは不思議ではありませんか。どなたか御気付きでしようか。この種あかしをするには臓とは何か,腑とは何かをまず説明しなければなりません。

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1.現リウマチ病棟について

 私共病院は温泉治療患者を取り扱う関係上,リウマチ患者を多数収容して来ましたが,とくに昭和32年4月厚生省のリウマチセンターに指定され,昭和33年よりその業務を始めました。リウマチと申しましても,慢性関節リウマチ(リウマチ様関節炎)が大部分で,少数の筋肉リウマチや変形性関節症,強直性脊椎炎を含んでいます。今日までに取り扱つた数は第1表のようで,1日の在院患者の1/3以上のリウマチ患者を常時収容しています。患者は女子の方が多いのですが,とくに主婦である患者は立場上思いきつた治療ができないため,10年以上の病歴を持つた方が多いのです。リウマチ長期療養患者はしばしば再燃をくりかえし,精神的苦痛,全身に衰弱.貧血などをきたし,関節部腫張,変形運動障害のため日常生活もひどく制限され,ある程度の身体障害者となつてしまつているのですが,このような患者の看護面には,いろいろな問題が出てくるわけです。これらの患者の取り扱い上,私共は慢性期のものを一箇病棟にまとめ,これをリウマチ病棟と呼んでいます。

 その他急性症状が強いものは内科病棟に,手術の必要な場合は外科・整形外科にうつしています。まずその病棟は昭和14年創立当時の木造2階建で,和室をベッドに改造した廊下の狭いものです。東南向きの通風で採光は十分で丘上にあるのでよく乾燥しています。

臨床検査とその介助

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I.はじめに

 近年医学の長足の進歩とともにあらゆる疾患の診断,治療に対しての臨床検査の知識と手技が医療にたずさわるものの必要欠くべからざるものとなつてきたことはいうまでもない。紙数の関係で産婦人科の臨床検査のすべてを詳述することができないので,日常頻繁に行なわれる検査項目と思われるものに限局してその概略を述べることにする。

Ⅱ.試験室での心得と注意

 A.被検物その他を捨てる場合

 一般に被検物を捨てる時には,もう一度それが不要な物であるかどうかを十分確めて捨てることが肝要である。その他汚物缶,屑箱には前に何か捨ててあるか分らないから,不要意にある種の薬物を捨てると,前に捨ててあつた物質と反応を起して発火したり,また爆発したりして火災を起したり,あるいはおもわぬ怪我をすることがある。例えば火のついたマッチの燃残りや燐などは室内の屑箱へ決して捨ててはならないようにするだけではなく,不要になつた試薬類は室外の溝へ流すように心掛けねばならない。

看護サービス・5

ことばづかい① 永井 敏枝
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よい接遇の仕方

 これから私達の役割の一つであり,看護サービスの本髄でもあるよい接遇について考えてみます。私たち人間を相手にしての仕事をする接遇者にとつて最も大事なことはどんなことかと考えてみると,ことばずかい,態度,身だしなみなどがあげられましよう。そこでこれらの一つ一つについて少し堀り下げてみます。

 ことばつかいのむつかしさ

 ことばつかいはその人の態度や身だしなみとともに,自分の気持を端的に現わすものです。その一言一句がどんなに相手や周囲の人の心に影響するかは想像以上のものであります。自分の不用意な一言が,相手を非常に不快にし,また心のこもつた一言によつて相手を喜ばせ,収拾のつかなかつた事態であつても,たちまち円満に解決することなど,私たちが日常経験するところです。ことばつかいのよしあしが,その人の人柄や教養の程度を現わすものです。前にのべたよい人間関係をつくつていくのも,またそれを悪い状態に導いていくのもことばつかいによつて左右されましよう。昔から口は「禍いのもと」ということばがありますが,これは人間の生活においてことばつかいがいかに大切であるかを意味しているものでしよう。

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白衣着る春着を壁にかけおきて

 〔評〕 生活旬として成功しています。

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M喫茶店にて

 こおりついた咽に熱い紅茶を流す

 氷のベールで閉ざされた記憶の花びらがはらはらとひざに散つたもみ消された煙草のすいがらから一条の白い煙がシックなムードで踊つていた

基本情報

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看護学雑誌
25巻5号 (1961年5月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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