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特集 今が旬! アレルギー性結膜炎
スギ花粉結膜炎に対する治療方針
The thrapeutic strategy for allergic conjunctivitis induced by cedar pollen
深川 和己
1,2
Kazumi Fukagawa
1,2
1両国眼科クリニック
2慶應義塾大学医学部眼科学教室
pp.42-46
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213013
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はじめに
スギ花粉結膜炎はスギ花粉に対するアレルギー性結膜炎であり,非増殖型の季節性アレルギー性結膜炎(seasonal allergic conjunctivitis:SAC)に分類される1)。日本眼科アレルギー学会の調査では有病率が37%と報告される2)など,患者数の増加が社会問題となっている。その治療の基本は抗原回避である。イネ科やヨモギ(キク科)などの雑草花粉は数十mしか飛散しないのに対して,スギやヒノキなど樹木系花粉は風に巻き上げられて数十km以上飛散して都市部に降り注ぐ。このような飛散形態の特徴を考慮した抗原回避方法が推奨される。そのうえでメディカルケアを行う。痒み,充血,浮腫などの急性炎症が治療のターゲットである。
治療薬として,メディエーター遊離抑制点眼薬と抗ヒスタミン点眼薬があるが,「痒み」に対して「早く」効いてほしいという患者ニーズが高く3),抗ヒスタミン点眼薬が使用されることが多くなってきている。特に都市部で上から降り注ぐように飛散するスギ花粉に対しては,初期治療が有効である4)。インバースアゴニスト効果のある抗ヒスタミン点眼薬は,組織中のヒスタミン受容体を減少させることから,より効果的であると考えられる5)。また,免疫療法も継続的な医療機関での注射が必要なものや,患者が自宅でできる舌下免疫療法(sublingual immunotherapy:SLIT)が開発された6)。一方,眼科領域ではまだ実用化されていないため,今後の検討が期待される。
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