特集 視神経炎最前線
企画にあたって
稲谷 大
1
1福井大学医学部眼科学教室
pp.1651
発行日 2017年11月15日
Published Date 2017/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212491
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これまで視神経炎といえば,いわゆる特発性視神経炎に行うステロイドパルスが治療の主流として用いられてきたが,たとえステロイド治療を行わなくても6か月後の視力予後には差がないというOptic Neuritis Treatment Trialの結果がよく知られてきたため,以前は視神経炎の患者に対して治療をせずにのんびり様子をみていたこともしばしばであった。その後,抗AQP4抗体陽性視神経炎の概念が登場し,重篤な視力低下をきたしている視神経炎に対しては,抗AQP4抗体陽性の症例が多数含まれており,早急にステロイドパルス治療を開始すべきという考えに移ってきている。さらに最近では,抗MOG抗体陽性視神経炎も発見され,これらの視神経炎に関連するグリア細胞や免疫細胞が明らかになってきており,学術的にも大変興味深い展開になってきている。
視神経炎にもOCTが診断に活用されるようになり,鑑別や重症度の評価にOCTが有用であることがわかってきた。また,OCT angiographyでは,網膜の微小血管や脈絡膜の血管の様子も無侵襲で観察できるようになり,前部虚血性視神経症(AION)と緑内障視神経症との血管障害の違いがわかり,これまで鑑別が困難であった緑内障視神経症とを明確に区別できる可能性が広がってきている。
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