看護教育 33巻11号 (1992年11月)

特集 進学コースの現状と将来

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 現在日本における看護婦等の全就業者数は78万人余であり,その内約57万人が中・小規模を含む病院に就業し,17万人が診療所に就業している.少し具体的に言えば,医療法人,個人に代表される民間医療機関における看護の支え手の多くが看護婦(士)学校養成所(2年課程)の卒業者及び准看護婦である.今,医療制度は大きく変わり,医療機能の果たし方が問われ始めている.そして,当然のことながら看護の役割も多様化し,より専門性が求められる時代がきた.この2つの事実を私たちはどのように見ていったらよいであろうか.

 私は地域医師会経営下にある看護婦養成校に籍を置く者として,地域住民に最も近い位置で看護を担当していく看護者の育成に意義を感じている.特に看護の質的向上を考える時,進学コースにおける教育の使命,役割の重要性を再認識しているところである.

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 はじめに,教育現場での私の背景を紹介させていただきます.教育を行なうようになってから20年.この間,最初は3年課程で10年,複数課程のある学校で主に保健婦教育を4年,2年課程で5年,そこで現在3年課程で2年目を迎えています.

 今回,原稿執筆を機会に,今まであわただしく過ごしてきたが過去を振り返り,5年間行なってきた進学コースでの教育をレギュラーコースでの教育と比較しながら考え直そうと思います.

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 准看護婦(士)(以下,准看)制度の廃止が叫ばれて久しく,大学レベルの看護教育も着実に増えてはいるが,それでも准看によって支えられている医療の部分もまだ多い.その准看の中には,医療の多様化に対応できるように,そしてより良い看護のあり方を求めて進学を希望する者がたくさんいる.

 当学院は,1972年9月全日制の進学コースとして入学定員40名で発足した.進学してくる学生の内,発足当時は准看学校養成所の出身者が圧倒的に多かったが,現在は高等学校衛生看護科出身者が総入学者数の30%位までに増加してきている.

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わが校の状況

 本校が2年課程昼間定時制のコースを設置したのは1974(昭和49)年であった.学校長によると,質のよい看護を地域に提供するという目的で,1971(昭和46)年4月に3年課程の看護学校を設立したが,その時病院で働く准看護婦から「我々も勉強したい」という強い要望があり,それに応えるべく併設に踏み切ったとのことである.

 さて,本校の状況を説明するために,10年前,即ち1982年から現在まで振り返って,表にまとめてみた.この10年間の延べ入学者は343名.その内高校衛生看護科卒業者は48名(13.9%)で,残りはすべて准看護婦学校卒業者である.また経験年数で言うと,1年未満が146名(42.5%),1年以上3年未満が126名(36.7%),3年以上が71名(20.4%)となり,今回のテーマである年配進学者が,飛び抜けて多いというわけではない.ちなみに10年以上経験がある学生は11名(3.2%)で,最長は21年である.また基礎学歴は,中卒後家庭に入り,離婚後准看学校に入学した者1名を除き,全員が高卒になる.

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はじめに

 本校の教育目的は「看護婦(士)として必要な知識および技術を教授するとともに,豊かな人間性を養い,人格の陶冶を図り,以って社会福祉に貢献しうる有能な人材を育成すること」とある.

 教育目的にかかげる以上,その評価を行ない,到達度を確認し,学生の実態に即した教育をすすめていく必要性はいうまでもない.しかし,態度の熟成には長い年月を要するものも多く,必ずしも観察可能なものばかりではない.そのため学生の態度に関する問題点をしばしば耳にするにもかかわらず,現実にはほとんどの学校が具体的な到達目標もなく,育成のための意図的・系統的な教育プログラムも明確にはしていない.

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 我が国の近代看護の養成を語るうえにおいては4つの流れがある.

 第1に,慈恵病院(有志共立東京病院看護婦教育所,1884)に見られるように,上流裕福階級の要求にそって家庭看護を目指した派出看護制度が深く根をおろしたもの.

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 授業(疾患をもつ患者の看護)の構成を考える時,健康問題の側面についての教授内容は疾患,病態,治療,検査などの理解,健康段階ごとの看護の特殊性の学び,疾患に伴う看護技術,健康障害に伴う人間の心理,教育的援助(患者指導,家族指導,集団指導)等である.方法は講義形式がおおかたを占め,その評価は質問紙試験実施により専門的知識,技術の達成状況を測定している.

 看護状況における患者への対応は接する援助者が患者を知的側面,感情的側面,行動的側面1)から理解するよう心がけ,人間関係能力を発揮しながら専門的看護知識や技術を応用し,評価しながら健康維持,回復への援助を展開させていくものと考える.

特別講義

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COMLについて

 医療を消費者の目で捉え,患者中心の開かれた医療の実現を目指して1990年9月に活動をスタートしました.COMLは私たちの造語で<コムル>と読みます.いのちの主人公,からだの責任者である患者・市民中心のグループです.

 COMLでは「賢い患者になりましょう」を合言葉に患者の主体的な医療参加を呼び掛けています.患者と医療従事者が,対話と交流する中から互いに気づき合い,歩み寄ることのできる関係づくりを願っています.

連載 ナイチンゲールゆかりの地を訪ねて・II・1 [新連載]

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バベルの塔

 1991年6月,日本とトルコを結ぶ直行便が就航した.8月15日,まだ観光客も少ないトルコ航空TK593便に一行23人は塔乗した.講師に小玉香津子先生をお招きして.

 モスクワ経由のこの飛行機は,モスクワで1時間30分給油のため飛行機の中で足止めされた.その5日後にソ連邦でクーデターが起こることを暗示していたかのように.

連載 ことば

患者 都留 春夫
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 病いに罹り,それを患って医者にかかっている人のことを患者という.患はわずらうとも読める字だが,貫の原字である母と心との組合せになっている.母は複数の貨幣(貝)をくしでつらぬく様を示した象形文字で,患は病者がこころを刺し通されるように苦しむことを指している.

 わずらうということばは,病むという意味の他に,思いわずらう(煩う―燃えている火を熱く感じるように頭がいらいらする意)のように,悩み,苦しみ,心配する意味にもなり,言いわずらうのように,気になるために,そのことがなかなかできず,よどみ,ためらう意味に使われることもある.

連載 往復書簡 東京と小樽を結んで・23

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 ボンジュール! 小樽の皆様,お元気ですか.

 森先生の「小樽―わが街」……表題をみて思わず微笑しました.

連載 看護学生解体新書・11

信じること 加藤 光宝 , 藤田 悌子
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 良薬口に苦し.でも,できるだけ薬のお世話にはなりたくない.

 病院の薬局から出て来る患者さんは,皆大きな袋を抱えている.薬嫌いの人だったら拷問のように思えるだろう.しかし,その薬のおかげで病気が良くなるのなら,それはありがたいことである.

連載 1つの看護教育史 1946~53 東京看護教育模範学院で学んだ人々・11

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はじめに

 前号の卒業生の動向調査の結果に続いて,彼女らが,当時受けた教育の中で何を学んだかに光を当ててみようと思う.前にも述べたので多少重複するが,国土の荒廃と物資の極端な欠乏という社会状況を背景に,伝染性疾患,急性疾患を中心とした疾病構造と,深刻なベッド不足,そして今とは全く質の異なる看護ヒューマンパワーの不足を思い出していただきたい.

 この時期,高等教育を受けた保健専門職を世に送り出すことは,単に人々の健康レベルの向上だけではなく,敗戦で虚脱状態となっていた人心の安定をはかり,占領政策を遂行する上で,占領軍にとっても,急務を要する課題であったに違いない.

連載 看護史研究を志す人のために・2

歴史研究とその方法 亀山 美知子
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 前回は,歴史と歴史研究について概説した.今回は,歴史研究に焦点を絞り,具体的な例を挙げながら研究の方法について述べよう.

 それに先立ち,まず何かの研究に取り組むにあたっては,何らかの事象に対する関心を持つこと(研究動機)から始まる.しかし,その関心が単なる興味にとどまれば,研究へと発展はし難い.関心を持った事象について,より詳しく知ることが求められ,知ることによって,その事象に対する問題意識が明確になる時,そこから研究の第一歩が始まる.

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 論説「『我々は○○を知っている』―日々の生活における自明の理と会話を遮るもの(“We All Know That…” Truisms and Other Conversation-Stoppers in our Everyday Lives),3号」の中で,編集長のTanner, C. A. は,本稿でも紹介するPederson, C. の論文を例にあげ,「このような論文の価値は,具体的な教授方略を提案することのみでなく,教師としての我々自身に実践を省みるよう刺激することである」と評している.

 今回は9編の論文を紹介するが,それらは,看護学教育の現状を探求したもの,新たな教授方略の開発に挑戦したもの等であり,看護学教育においてよりよい実践を求めようとする教師たちの熱意にあふれていた.1つひとつの研究の積み重ねは,看護婦,看護学教師を啓発し,その総和以上の力で,看護教育学の発展と看護学教育の改善に寄与するに違いない.

昌子の英会話ワンポイントレッスン・8

Putの語感 横山 昌子
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 putは「置く」という意味であるが,身体の上に衣類を置くと着るという動作をあらわし,皮膚の上に軟膏を置けば塗ることになり,車の中に荷物を置けば積むことになる等,様々な日本語になる.

 病院で日常よく使う例をあげてみるので,putという語感を理解して使いこなして頂きたい.

基本情報

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看護教育
33巻11号 (1992年11月)
電子版ISSN:1882-1391 印刷版ISSN:0047-1895 医学書院

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