看護研究 49巻5号 (2016年8月)

特集 介入研究をどう進めるか

『看護研究』編集室
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 EBP(evidence based practice)の確立がめざされる中,まず本誌49巻3号ではシステマティックレビューについて取り上げました。本号では,介入研究について考えます。EBPの機運の一層の高まりと,それに伴う「アウトカム」創出の重要性から,現在,介入研究へのニーズと期待は非常に大きくなっているといえます。そしてそれは同時に,看護研究における「エビデンス」とは何かを考える契機でもあると思われます。

 そこで本特集では,あらためていま,介入研究をどのように進めていくべきか,そしてどのような介入研究が求められているかを考えながら,今後の展望を探っていきたいと思います。

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 看護学の目的は,病とともに生きる人々や,健康の保持増進を望む人々を支援するための知を蓄積することである。この目的のためには,対象とする人々になんらかの支援を提供し,その効果を検証することを目的とした介入研究が,看護学の研究において重要な位置づけにあることはいうまでもないだろう。より現実的な観点としては,超高齢社会の到来により看護職が果たすべき役割はますます大きくなり,さらに診療報酬改定において「アウトカム重視」がキーワードとされた。これらのことから,患者アウトカムの向上につながる看護のエビデンスが医療全体に与える影響は大きいといえ,看護の介入研究によるエビデンスの蓄積が期待される。

 このようなニーズの高まりの中で,いま看護学研究者に求められる介入研究のリテラシーは何か。本稿では,まず看護における介入研究のこれまでについて振り返り,その重要性と問題点を確認したい。次に,介入研究をデザイン・実施する上で整備すべき基盤について総論的に示したのちに,最後に看護学領域の研究の動向を踏まえて,介入研究の展望に関する意見を述べる。

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無作為化比較試験とは

 無作為化比較試験(randomized controlled trial;RCT)とは,調査参加者を登録した後に,参加者を実験的介入あるいは対照的介入を受ける群などの2群以上に無作為に割り付け,一定期間の後にアウトカムを測定する前向き研究を意味する(図1)。RCTの研究目的により,優越性試験,非劣性試験,同等性試験の3種類に大別される(Lesaffre, 2008)。

 優越性試験とは,実験的介入が対照的介入と比べて優れていると示すことを意図した試験を意味する。非劣性試験とは,実験的介入が対照的介入と比べて劣っていないと示すことを意図した試験を意味する。同等性試験とは,実験的介入が対照的介入と同等であると示すことを意図した試験を意味する。RCTのシェアの大部分は優越性試験が占めており,非劣性試験は同等性試験と比較して多い。本稿では,RCTの中でも,主に優越性試験における研究計画立案のポイントを概説する。

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研究の計画・実施に必要な準備

 さぁ,これから介入研究をやってみよう,と思ったときに,すべきこととして何が思い浮かぶだろうか。「研究計画の立案」や「研究計画書の作成」をしなければならない,ということがもっとも思いつきやすいことだと思われる。もちろん,研究計画書が非常に重要であることはいうまでもない。われわれ疫学者も必ず研究計画書を書くし,研究倫理委員会からの承認を得るためにも,研究を適切に遂行するためにも研究計画書の作成は必須だといえる。

 一方で,介入研究には「ロジスティクスの構築」が必要になる,ということが頭をよぎる人は非常に少ないのではないだろうか。そもそも,災害医療や施設の管理職でもない限り,「ロジスティクス」という単語自体,耳慣れない言葉かもしれない。この「ロジスティクスの構築」は,研究計画の立案と複雑に絡み合っており,研究実施の両輪もしくは,研究計画書という骨組みに「ロジスティクス」という肉づけをする,といったような関係性ともいえる。つまり,それぐらい「ロジスティクス」は研究の準備および実施段階における根幹に位置づけられるものなのである。

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 本稿では,筆者が現在携わっている介入研究について,その発案から臨床応用までの道のりを具体的に述べることとする。本特集で掲載されている奥村氏や竹原氏の介入研究に対する基礎知識が,実際にどのような形で研究に用いられているかを理解する一助になれば幸いである。主に,背面開放座位とアロマセラピーに関する筆者の2つの研究を紹介する。

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看護研究者からみたAMED

 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED;Japan Agency for Medical Research and Development,以下,AMED)は,医療分野の研究開発およびその環境整備の実施や助成などを行なうことを目的として,2015年4月に設立され,1年余りが経過した。

 昨年度,看護大学などでAMEDを紹介する講演を行なう機会を何度かいただいた。参加した研究者からは,「AMEDは医療機器や医薬品の開発支援しかやっていないと思っていた」「医師以外の職種の医療技術の開発に関する公募はないと思っていた」といった感想をいただいた。一方で,AMED研究費獲得に向けたさまざまな活動を早くから行なっている学会もあり,業界による温度差を感じずにはいられなかった。

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はじめに

 第1回では,「研究対象者に対する倫理的配慮の問題点」として,フィールドで頻発しているエピソードとともに,誰のための研究かということ,さらに,研究者と研究対象者との間のズレの正体についてせまってみた。

 本稿では,第1回の論点を踏まえて,研究を進める上で何が欠如しているのか,そして,研究計画上,なおざりにされている可能性がある点について考えてみたい。

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 介護老人保健施設(以下,老健)の看護活動では,包括的に高齢者を把握するためのアセスメント技術を習得することが必要である。また,一般病院において病気の治療を目的とするアセスメント技術を老健でそのまま適用することは困難であり,かつ支障をきたす。本研究ではこのようなことから,老健に勤務する看護師が重要と認識するアセスメント技術を明らかにすることを目的とした。

 研究方法は,老健で勤続年数5年以上の看護師に半構成的面接法を用いて面接調査を実施した。その結果,老健における看護活動には,高齢者の標準的な状態や在り方,機能レベルやそれに応じたケア内容を体系的に捉えるアセスメント技術が必要であった。また,高齢者のニードだけでなく,心情や人間性,趣も含めた内面的な事柄や,施設内・外における生活環境や生活状況,そして生全般における背景や家庭関係などを捉え,【個々の高齢者固有のさまざなま事柄,主に身体的特性を把握する】ためのアセスメント技術が必要であった。老健では個々の高齢者の一面的な身体機能や身体状態を捉えるだけでなく,さまざまな生活文脈や生活推移を常時観点とすることや,高齢者のさまざまな角度や側面から捉えることが必要不可欠であった。また,継続的な経過観察を実施することや,親密な関係性を気づいていくことで効果的なアセスメントが行なえることが明らかになった。

連載 英語論文を書くということ・6

論文を出版するまでの過程 余 善愛
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 前回まで,研究成果の発表,または学位取得のために書いた論文(博士論文や修士論文)を,英文誌に受け入れられる論文にブラッシュアップしていくために必要な知識について述べてきました。今回は「書く」ことから少し視点を変えて,論文をどうやって出版につなげるかという点について述べたいと思います。

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欧文目次

INFORMATION

今月の本

基本情報

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看護研究
49巻5号 (2016年8月)
電子版ISSN:1882-1405 印刷版ISSN:0022-8370 医学書院

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