焦点 看護学におけるケアリングの現在
Watsonによるヒューマン・ケアリング理論の発展と意義
江本 リナ
1
1日本赤十字看護大学
キーワード:
理論
,
ヒューマン・ケアリング
,
Watson
Keyword:
理論
,
ヒューマン・ケアリング
,
Watson
pp.149-158
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100506
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はじめに
近年,人の心に触れる癒しやスピリチュアルといった言葉が流行していることからも想像できるように,現代の社会において多くの人々の心は閉塞的な状況にあると思われ,そこからの解放を求めているかのようである。看護の世界も同様に,看護人員は密なケア度に見合わないものになっていたり,高度先進医療の一層の発展に伴って倫理的に難しい局面に立たされたり,看護業務が複雑で過密なことから患者や家族に寄り添う時間がないと感じたりなど,ケアが提供される場において看護師が疲弊しているのが現状である。
このような状況のなか,看護におけるケアリング概念やケアリング実践によって,患者のみならず家族や看護師自身にもケアリングがもたらされると提唱するのが,看護をケアリング科学(caring science)と位置づけるWatsonである。
本稿では,Watsonのヒューマン・ケアリング理論を取り上げ,その理論的背景,要素,ヒューマン・ケアリング理論の発展を紹介し,理論の応用性について考えたいと思う。
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