特集 理論をつくる・つかう・つたえる—実践にいきる理論構築に向けて
セッションC「つくる」—概念をつくる・理論をつくる
【事例(概念分析)】看護師が実践する呼吸器ケアについての概念分析—人工呼吸器管理を必要とする患者へのケアに焦点を当てて
築田 誠
1
,
伊東 由康
1
1兵庫県立大学看護学部
pp.46-51
発行日 2022年2月15日
Published Date 2022/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201958
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背景
「呼吸器ケア」という用語は,さまざまな医療現場や文献において,さまざまな医療従事者が使用している。例えば呼吸リハビリテーション学会では,「呼吸関連の疾病・異常に対する治療・予防,さらには在宅医療や社会生活の維持など呼吸に関わるすべての事象に対する包括的な医療・看護・介護・社会的支援とされ,主に急性期・集中治療における人工呼吸管理と,集学的な知識と技術を駆使した亜急性期以降につなぐ診療分野と医療」と定義されている註。しかし,看護専門職者が実践する呼吸器ケアに関しては,明確に定義されていない。特に,人工呼吸器装着患者に対する呼吸器ケアは,看護基礎教育では扱われておらず,OJTによる臨床での教育が主流である。その内容は,機械の安全管理のための確認内容や,合併症予防のためのケア方法が解説されていることがほとんどである。
昨今,人工呼吸器を装着した患者の増加や,在宅医療での人工呼吸器装着患者のケアの必要性から,人工呼吸器装着患者への呼吸器ケアの教育プログラム構築や質の評価,測定ツールの開発研究が求められている。効果的な教育プログラムの構築や評価尺度の開発には,人工呼吸器装着患者へのさまざまな看護実践に包含される呼吸器ケアの明確な定義づけが必要である。特に,諸外国では,人工呼吸器装着患者の呼吸器ケアを専門の呼吸療法士が担っていることもあり,看護師の看護実践として包含されている本邦においては,呼吸器ケアの位置づけが曖昧なのが現状である。
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