臨床皮膚科 54巻11号 (2000年10月)

カラーアトラス

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 患者 1か月,男児

 初診 1996年11月18日

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 1998年3月から10月にかけて伝染性紅斑の成人例63例を経験した.顔面に皮疹を認めない例がしばしばみられ,手足・四肢には網状紅斑のみならず,びまん性の潮紅を示したり出血斑を呈するなど非特異的皮疹を示すことが多く,関節痛や浮腫感,感冒症状など全身症状も合併した.本症の好発年齢は学童期であるが,成人例では学童期と異なる主訴・臨床像を呈するため,臨床症状のみで確定診断をすることが困難であり,同症であることを見逃されるケースが多いと考えられる.そこで,確定診断には血清パルボウイルスB19-IgM抗体価の測定が有用であると考えた.また,肝機能障害を14例,腎機能障害を5例に認め,腎生検では急性糸球体腎炎を示したが,いずれも一過性の障害で,無治療にて軽快した.

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 40歳,男性.約2年前より鼻唇部と下口唇下部に隆起性の皮疹が出現し,徐々に拡大した.組織はAL(λ)蛋白由来アミロイドの沈着と形質細胞の浸潤が認められ,電顕所見と合わせアミロイドーシスと診断した.臨床所見および全身検査成績より病型を皮膚限局性結節性アミロイドーシスとした.

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 61歳,女性.初診約1か月半前に転倒し左第1趾先端を打撲した.自覚症状はなく放置していたが,約2週間で弾性軟,鳩卵大の腫瘤を生じた.細菌培養はプロテウスが同定され,真菌培養は陰性であった.単純X線写真では,骨融解像はなく腫瘤陰影があり,末節骨背側に接して突出した骨部分がみられた.伝達麻酔下に切除した腫瘤はもろく,割面は不均一で中心部に白色の骨様部分,周囲に脂肪織と肉芽様組織が混在していた.組織像は表皮下から深部皮下組織にかけて膠原線維の増生があり,線維間には類骨組織が存在し,ムチンの沈着もみられた.臨床像,X線像,組織像からfibro-osseous pseudotumor of the digitisと診断した.

症例報告

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 32歳,ブラジル人男性.初診の1年前より顔面,右上肢に紅斑が出現.背部,両手背,左膝蓋と全身諸所に非対称性に浸潤性紅斑を認める.皮疹部は痛覚が消失しており,両手は落痛を訴えていた.臨床所見および皮膚スメア検査,病理所見,PCR法,抗PGL−1抗体測定よりBT型ハンセン病と確定診断した.オフロキサシン300 mg/日の単独投与にて治療を開始したが効果に乏しく,ジアフェニルスルホン100mg/日を併用したところ著効を示し,1か月ほどで症状は明らかに改善された.経過中出現した1型らい反応に対しては,プレドニゾロン20mg/日の併用で後遺症を残すことなく軽快した.治療7か月の時点で,皮膚スメア検査は陰性化し,皮疹部の生検にても肉芽腫性変化は消退した.

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 25歳男性,顔面に鱗屑を伴うびまん性紅斑があり,両前腕および上腕外側,大腿前面にも米粒大までの鱗屑を伴う紅斑を認め,病理組織では,表皮の軽度の過角化と基底層の液状変性,真皮での血管周囲性のリンパ球浸潤を認めた.入院し安静,遮光,ステロイド内服および外用で治療を行ったところ,これらの皮疹は色素沈着を残すも瘢痕化せず治癒した.以上より亜急性皮膚エリテマトーデス(SCLE)と診断した.自験例では,頬部紅斑,光線過敏症,抗核抗体陽性,抗DNA抗体陽性,抗SS-A抗体陽性,抗Sm抗体陽性であり,全身性エリテマトーデスの診断基準を満たした.SCLEの血清学的所見に関する若干の考察を加えた.

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 50歳,男性.初診10か月前にRaynaud症状と両手指の皮膚硬化が出現し,その後皮膚硬化が全身に拡大.手指の屈曲拘縮,手関節,足関節,肘・膝関節の可動域制限も出現し,増悪してきたため1997年11月11日当科を受診した.臨床像,臨床検査所見,病理組織所見より汎発性強皮症と診断した.プレドニゾロン30mg/日内服開始し関節可動域制限は著明に軽快した.抗核小体抗体陽性であり,RNA関連免疫沈降法にて抗U3—RNP抗体と同定した.本邦では同抗体陽性患者の報告は少なく,若干の文献的考察を加えて報告する.

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 48歳,女性.小児期より齲歯,反復感染を繰り返しており,歯科金属にて補填されている.口腔粘膜,口唇に皮疹が分布し,組織は扁平苔癬に一致した.金属パッチテストにて歯科含有金属(スズ,ニッケル)で陽性所見を呈した.口腔用ステロイドにより一時的に軽快するも難治であったためアレルゲン金属除去および換装したところ,1か月後より著明な皮疹および自覚症状の改善を認めた.血液学的検査,免疫電気泳動にてIgA単独欠損症の合併を確認した.自験例ではIgAの欠損のため粘膜での抗原吸収抑制力が低下し,金属アレルギー感作を起こした.これが誘因となりアレルゲン接触部における表皮細胞に抗原が発現され,これをターゲットとしたT細胞の表皮への攻撃のため口腔扁平苔癬を生じたものと推測した.

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 72歳,女性.躯幹を中心に環状紅斑が生じ,病理組織学的に角層下表皮内水疱と好酸球性海綿状態を示し,蛍光抗体直接法にて表皮細胞間にIgGの沈着を認めた.疱疹状天疱瘡と診断し治療を開始した.ジアフェニルスルホン内服にて皮疹は軽快傾向を示したが好酸球増多症を認めたため中止し,その後プレドニゾロン内服が著効した.免疫プロット法およびELISA法による抗原解析では,デスモグレイン1に対するIgG抗体のみが検出された.

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 妊娠性疱疹(HG)の1例を報告した.23歳,女性.初産婦.妊娠38週ごろより体幹,四肢に瘙痒性紅斑が出現.40週4日にて出産.新生児には異常はなかった.出産直後に紅斑上に水疱が出現.組織学的には表皮下水疱で,蛍光抗体直接法にて基底膜部にC 3の沈着を認めた.プレドニン®30mg/日単独内服およびミノマイシン®200mg/日,ニコチン酸アミド900mg/日,レクチゾール®75mg/日,アゼプチン®2mg/日の4剤内服はいずれも無効.両者の併用にて皮疹の急速な消退をみた.HGは,免疫組織学的所見や抗原の共通性などから,妊娠に伴って発症した水疱性類天疱瘡(BP)であるとの見方が主流になってきている.BPにおいてミノマイシン®およびニコチン酸アミドが有効であった報告例は多いが,HGでの報告例は見当たらなかった.自験例ではプレドニン®を併用し著効を示した.

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 78歳,女性.四肢を中心としたほぼ全身に浮腫性紅斑を伴う水疱,びらんを認め,水疱性類天疱瘡の診断でステロイド全身投与を受けるも難治であった.口腔内びらん,爪変形を伴っていた.組織学的に表皮下水疱で,蛍光抗体直接法では表皮基底膜部にIgG,C3の線状沈着を認めた.間接法では抗基底膜部抗体は640倍陽性,1M-NaCl処理正常ヒト皮膚を基質とした蛍光抗体間接法では真皮側にのみIgGの沈着を示した.また,免疫プロット法で患者血清は真皮抽出液の290 kD蛋白と反応することから後天性表皮水疱症と診断した.ステロイド全身投与,ジアフェニルスルホン,コルヒチンにて加療するも治療に抵抗性であった.

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 20歳,女性.3年前に両側耳垂に金製ピアスを装着したところ,1か月後より急性皮膚炎症状が出現した.ピアスを中止し,症状は軽快したが,3か月後頃より自覚症状を伴わない小指頭大の赤褐色の結節が生じ,消退傾向がないため外科的切除を施行した.組織所見は真皮から皮下組織にかけてリンパ濾胞様の構造および好酸球浸潤を伴ったびまん性,稠密なリンパ球浸潤を認めた.金属パッチテストにおいて塩化金酸が陽性であった.以上より金皮膚炎と診断した.局所麻酔下に摘出した.摘出後約1か月後に再び右側耳垂に硬結を触れるようになったため,ステロイド局注を施行した.その後硬結は消退し,以後再発は認めない.

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 手指の小外傷を契機に上肢に線状の皮膚病変を生じた2例を報告した.いずれも手指の外傷後に消毒,外用を行い,外傷部から上行性に紅斑・小水疱よりなる線状皮疹が拡大した.水痘・帯状疱疹ウイルス抗体価の変動は認めず,消毒薬・外用剤のパッチテストは陰性であった.両症例とも外傷部から黄色ブドウ球菌が培養された.線状の分布を呈する疾患は多数報告されているが,その病態はいまだ明らかにされていない.自験例の皮疹の線状分布について,リンパ管,水痘・帯状疱疹ウイルス,Blaschko線の3視点から考察を加えた.

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 47歳男性と72歳男性に生じたニフェジピンによる歯肉増殖症2例と68歳男性に生じた塩酸マニジピンによる同症1例を報告した.3症例とも下顎前歯部の歯肉のみ腫脹し,他に異常を認めなかった.内服期間はそれぞれ16か月,8年,10年であった.いずれも原因と考えられたカルシウム拮抗剤のみ中止し,ACE阻害剤であるエナラプリルに変更した.歯肉増殖は薬剤変更2週から4週間後より改善し始め,1〜4か月後には全例とも正常化した.その間,血圧も良好にコントロールされた.生検の病理組織像は上皮の肥厚,線維性結合組織の増生,炎症性細胞浸潤を呈していた.カルシウム拮抗剤による歯肉増殖症の典型例と考えられた.

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 経過中に難治性の下腿潰瘍を呈し,補助療法として高圧酸素療法を施行した皮膚型結節性多発動脈炎の1例を報告した.症例は69歳の女性で,潰瘍性大腸炎および糖尿病の加療を受けている.初診の約2週間前より下腿に圧痛を伴う紅斑,紫斑が出現した.病理組織学的に,真皮下層から皮下脂肪組織さらに筋層にかけての壊死性血管炎を呈し,皮膚以外の血管病変は認められなかったため,皮膚型結節性多発動脈炎と診断した.経過中に難治性の下腿潰瘍が生じたが,補助療法として高圧酸素治療を行い治癒に至った.血管炎のような虚血性病変に伴う難治性皮膚潰瘍に対して,高圧酸素治療は試みる価値のある補助療法と考えた.

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 77歳,女性の背部に生じた単発型グロムス腫瘍の1例を報告した.初診の約半年前より上背部に圧痛を伴う軽度隆起する淡紅色の結節が出現した.病理組織学的に真皮深層に多数の管腔を形成し,その周囲に類上皮細胞様の腫瘍細胞の増殖を認めた.免疫組織学的に腫瘍細胞は,ビメンチン陽性,デスミン陰性,α-smooth muscle actin陽性であった.

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 58歳,女性.初診の半年前に左腰部の小結節に気づいた.病理組織学的に,真皮内に基底細胞様細胞よりなる大小の胞巣と多数の角質嚢腫を認めた.さらに,腫瘍塊内に不完全な毛芽様構造も認めたため毛包上皮腫(trichoepithelioma)と診断した.家系内に同症の発生はみられなかった.腰部は比較的稀な発生部位と考えられた.

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 6か月,男児.出生時より左拇指基部橈側に,自覚症状を伴わない米粒大の腫瘤を認めた.病理組織学的所見では,表皮は軽度に肥厚し過角化を認め,表皮突起は不規則に延長していた.真皮上層にMeissner小体,真皮中層から下層には,神経線維束の増生を認めた.皮膚付属器,脂肪組織,骨および軟骨は認めず,rudimentary polydactylyと診断した.

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 71歳の男性.1998年4月から全身に瘙痒を伴うびまん性の紅斑が出現し,浸潤をふれる.皮膚の病理組織像では真皮に一部に異型性のある密なリンパ球細胞浸潤がみられ,表皮内への浸潤もみられた.血液検査では異型リンパ球が3%,T細胞/B細胞百分率は90.8%,またT細胞サブセットでCD 4/CD 8は6.39,TCRβ鎖遺伝子の再構成が認められた.菌状息肉症の紅皮症型と診断し,PUVA-bath療法を行った.治療3回目より浸潤および紅斑の改善がみられ,計24回25.82J/cm2で皮疹は色素沈着を残して消退した.

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 53歳,男性の慢性型成人T細胞白血病・リンパ腫(adult T cell leukemia/lymphoma : ATLL)の1例を報告した.主症状は体幹・四肢に多発する浸潤性紅斑と結節であり,内臓病変は認めなかった.末梢血では異型細胞が53.5%と著明に増加していた.末梢血CD4 T細胞は80.7%と増加しており,そのうち70%にcutane—ous lymphocyte-associated antigen(CLA)の発現を認めたが,CD8 T細胞における発現は11%に過ぎなかった.皮疹部に浸潤しているリンパ球はCD4 T細胞が主体であり,大部分はCLA強陽性であった.自験例における末梢血中のCLA CD4 T細胞の著明な増加はATLLにおいて特異疹の頻度が高いことをよく説明する所見と考えた.

連載

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181

Creeping diseaseについて正しいのはどれか.

①経口的に摂取された寄生虫が消化管内で増えて,その幼虫が皮膚に述入して発症することが多い.

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新時代の医学雑誌

 医学雑誌界においてこれからの数年はきわめて重要な年になると言えます.コンピュータの発達によりコストを抑えたインターネット雑誌の購読が可能なわけです.しかしそうなると投稿者と内容のレベルをいかにしてよりよく保つことができるか,またさらに出版社はどうやって利益をあげられるのかという問題が出て来ると思われます.

 まず最初に大手のスポンサー会社によって選び抜かれた投稿者だけの論文が提供され読者の元に届いたとなると,さて内容選考はきちんと行われたのだろうかという疑問が少々残るわけです.したがって従来通りのエキスパートによる選考が行われるべきだと思われますし,その点においては皮膚科の場合はきちんと定着していると私は見ています.次に配布方法に問題が出て来ます.Electronic Journalsの場合は購読者だけに送ったとしても容易にコピーを膨大な数の友人たちに送ることができるわけで,そうなると出版社はどうやってお金を儲けられるのでしょうか.購読者からだけというのはちょっと難しそうですね.もちろん多大な広告を付けられますし,技術的には読むことだけに限ってダウンロードできないようにすることも可能ですが,そうなると読者の立場からはあまり便利とは言えなくなってしまいます.いつも決まった場所でじっとそれを読まなければならず,近い将来に各家庭の部屋でまた車の中でといったふうに自由にどこででもコンピュータが使える日がくれば話は別ですが.何か良い知恵はないものでしょうか.

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 尋常性乾癬患者2例の難治性爪病変に対するステロイド局注療法の有効性を検討した.症例1:45歳男性.乾癬のため6年間,エトレチナート内服,ステロイド外用を行ったが,手指爪甲の白濁,肥厚に対しては無効であった.酢酸トリアムシノロン(ケナコルト®;4mg/ml)の局注を開始し,約1か月後より効果が認められた.症例2:44歳男性.全手指爪甲の点状陥凹と爪甲剥離に対しステロイド局注療法を2回試みたが効果なく,疼痛が強いために中止した.乾癬の爪病変は程度によっては患者のquality of lifeを損なうことがある.爪病変に対して確実な治療法がない現状では,多少の疼痛は伴うが,ステロイド局注療法も試みるべき方法と考えた.

基本情報

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臨床皮膚科
54巻11号 (2000年10月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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