臨床皮膚科 54巻12号 (2000年11月)

カラーアトラス

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 患者 60歳,男性

 初診 1996年8月18日

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 当科で経験した帯状疱疹後の蕁麻珍13例を報告した.帯状疱疹は,入院例および帯状疱疹後神経痛例が約半数を占めた.蕁麻疹の出現は,帯状疱疹の発症後1週から2週未満が3例,2週以上1か月未満6例,1か月以上2か月未満が4例であった.蕁麻疹が数日で軽快したのは3例,10日から20日で軽快したのは4例,1か月以上続いたのは6例であった.原因として食物や薬剤の関与は否定的で,帯状疱疹と関連の強い蕁麻疹と考えられた.

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 慢性C型肝炎にて加療中の64歳,女性.初診約2週間前より下腹部に瘙痒を伴う皮疹が出現し,中心に褐色色素沈着を伴った小児頭大の不整形紅褐色環状局面となった.組織学的に真皮上層の血管周囲にリンパ球性細胞浸潤と赤血球の漏出像を認めた.初診2週後には,四肢に点状紫斑を伴う褐色斑,紅褐色斑が多発し,約10週後には頭部,顔面,四肢に紫紅色扁平丘疹が出現した.臨床・組織所見より四肢の皮疹はSchamberg病,lichen purpuricusと診断した.経過中みられた皮疹はいずれも基本的に類似の組織所見を示したことより,腹部の環状局面も慢性色素性紫斑の一症状と考えた.慢性色素性紫斑とC型肝炎の合併は非常に稀であるが,その発症にC型肝炎ウイルスの関与が疑われた.

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 症例は41歳,女性.19歳時に全身性エリテマトーデス(SLE)と診断され,プレドニゾロン(PSL)40mg/日より治療開始し以後漸減,症状は安定していた.PSL 2mg/日で継続治療中の1997年5月より,労作時呼吸困難が出現し胸部CT上蜂窩肺を認めた.徐々に進行するため1998年6月より,計3回のパルス療法およびシクロスポリンを併用したが,間質性肺炎の急性増悪をきたし,同年12月二次感染症を合併して死亡した.自験例はSLEの経過を通じて,抗DNA抗体高値を呈した症例であった.しかし,間質性肺炎出現時にそれ以外の明らかなSLEの血清学的変動はみられず,間質性肺炎がSLEによる肺病変なのか,あるいはSLE患者に特発性間質性肺炎が合併したものなのかの鑑別が困難であった.SLE患者に生じた間質性肺炎の病因的意義については,今後の症例の集積とその詳細な分析,検討が必要と思われる.

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 急性痘瘡状苔癬状粃糠疹の2例を報告した.症例1は13歳,女性.咽頭痛に引き続き,落屑と黒色痂皮が付着する紅斑を四肢体幹にみた.症例2は21歳,男性で落屑や痂皮は比較的少なく,全身症状もなかった.2例ともジアフェニルスルホンおよびステロイド内服にて皮疹は軽快し,再発をみない.この間,リンパ球の活動性の指標とされる可溶性IL−2レセプターを測定したところ,病勢にほぼ一致して高値を示し,症状がより重症であった症例1のほうが高い値を示した.このことは本疾患がリンパ球増殖性疾患とする説の一助となりうる興味深い所見と考えた.

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 58歳,男性.発熱,頭痛,関節症状出現の3日後に背部に紅暈,強い浸潤を伴う直径10mm大までの無菌性膿疱が発生し,急速に全身に拡大した.病理組織学的に単房性表皮内膿疱と膿疱直下の真皮にleukocytoclastic vasculitisの像,蛍光抗体直接法で真皮血管壁にIgM, C3の沈着を認めた.臨床経過は抗生物質とステロイド投与によく反応して速やかに皮疹が消退し,以後再発をみない.検査所見も合わせ急性汎発性膿疱性細菌疹と診断した.本症例は全身症状が強く(40℃の発熱,頭痛,関節症状,尿異常所見),組織学的に脂肪織にまで及ぶ炎症性細胞浸潤を認めた点で興味深く,若干の考察を加え報告する.

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 66歳,男性.2年前より両耳介に小結節が出現し,増数した.初診時,両耳介に4〜7mm大の常色ないし紅色結節が多発していた.病理組織所見は真皮上層の血管壁の肥厚と,その周囲の好中球,リンパ球および組織球浸潤と核破片を認め,また好塩基性に染まる変性膠原線維がみられた.また真皮深層では軟骨に接して膠原線維の小変性巣と核破片,その周囲を取り囲むリンパ球,組織球からなる細胞浸潤を認め,小変性巣に一致してアルシアンブルー染色陽性所見を得た.蛍光抗体法では真皮上層の血管壁とその周囲の膠原線維に沿って巣状にフィブリノーゲンの沈着を認め,発症に局所的な血管炎が関与した環状肉芽腫と診断した.

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 31歳,女性.5年前より裂肛を指摘されるも放置していた.当科初診の8か月前より臀部,外陰部の腫脹が出現し,近医にて外用療法を行うも不変であった.当科入院時には,外陰部の腫脹と臀部の皮下硬結を伴う発赤,腫脹を認め,慢性裂肛を合併していた.組織学的には真皮上層から皮下脂肪織に至るリンパ球,組織球,巨細胞からなる肉芽腫を認めた.治療はプレドニゾロン40mg/日内服で軽快をみた.感染巣としての慢性裂肛に関連した反応と考えた.

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 25歳,男性.抗うつ剤アナフラニール®150錠を内服し,14時間の昏睡状態の後,両足内側縁と右腰部に浮腫性紅斑を生じた.患者は悪性症候群を併発し,四肢に強い筋強剛を認め,上下肢全体に圧痛を伴う腫脹があった.浮腫性紅斑部の組織学的検索では真皮内エクリン汗腺の変性,壊死を認め,筋線維の変性,壊死,炎症細胞浸潤も認められた.本症例をcoma blisterと診断し,本症の発生機序を含め,若干の考察を加えて報告した.

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 46歳,男性.突発性難聴に対してソルメドロール®点滴施行3日後より,前胸部に紅色丘疹が出現し徐々に全身へと拡大,紅皮症化した.皮膚生検組織像では,軽度の表皮肥厚,真皮浮腫,血管周囲性のリンパ球浸潤像を認めた.使用薬剤のパッチテストの結果では,ソルメドロール®のみ陽性であった.さらに構造上の抗原決定基確認のため,プレドニゾロン,メチル基のみを持つメチルプレドニゾロン,コハク酸エステルのみを持つコハク酸プレドニゾロンナトリウムの3種にて施行したところ,すべての濃度で陽性所見を示した.以上の結果から,プレドニゾロンの骨格それ自体が抗原決定基となっていることが強く示唆された.

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 52歳,男性.1年ほど前から脂漏性皮膚炎の診断のもと,近医皮膚科にて各種ステロイド外用剤で治療されていた.初診の3日前より頭部,顔面に紅斑,腫脹が出現した.パッチテストにて,使用していたフルオシノニドローションが陽性であったため,1か月間白色ワセリンを外用した.症状が軽快した後,プロピオン酸クロベタゾールスカルプを外用したところ再び同様の症状が出現した.成分パッチテストの結果,主剤ではプロピオン酸クロベタゾールに陽性,基剤では,フルオシノニドローションに含まれているモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン,モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンに,またプロピオン酸クロベタゾール軟膏に含まれているセスキオレイン酸ソルビタンに陽性であり,ステロイド外用剤の主剤と基剤の両者に感作されていることが判明した.

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 20歳,女性.咽頭痛のためPL顆粒®を内服,翌日より四肢に瘙痒,疼痛を伴う紅斑,水疱を生じた.固定薬疹と診断し,貼布試験を施行した.色素沈着部でPL顆粒®および同剤成分のメチレンジサリチル酸プロメタジンが陽性を示した.他のフェノチアジン誘導体との交差性を貼布試験にて検討した.アリメマジン,クロルプロマジン,レボメプロマジンが陽性を示した.

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 1歳,男児.左上腕にBCG接種を受け,約半年後に同部位に膿瘍が出現した.抗生剤に反応せず切開後排膿が続いたためBCGによる皮膚結核を疑い精査したところ,膿および生検皮膚より結核菌が分離され,精査の結果BCGと同定された.イソニアジドメタンスルホン酸ナトリウム内服4か月で瘢痕治癒した.特に乳幼児の予防接種部位に難治性の膿瘍を認めた場合,BCGの副反応も念頭に入れておく必要がある.

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 10歳,女児.追いだき湯入浴数日後より体幹側面,臀部,下肢内側に主として米粒大ほどの紅色丘疹,膿疱が出現した.また,同時に入浴した祖母にも同様の皮疹がみられた.組織所見では好中球による毛嚢上皮の破壊を認め,膿疱の細菌培養で緑膿菌のみが検出されたため,緑膿菌性毛包炎と診断した.皮疹は自然経過で色素沈着を残して1週間で治癒した.

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 24歳,男性.生下時より左前頸部に結節がある.組織学的に軟骨細胞と間質より成る腫瘍塊を認め,elastica-van Gieson染色では,間質に弾力線維が豊富にみられ,軟骨母斑と診断した.頸部に生じた軟骨母斑は,その発生起源や合併奇形などの違いから,耳周囲に発生したもの,いわゆる副耳とは区別すべきと考えた.

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 足に生じ,特異な臨床像を呈した神経鞘腫の2例を報告した.症例1;38歳,男性.約20年前より右足内踝下方に小結節が出現し,徐々に増大した.20×20×13mmの表面平滑で弾性硬の有茎性の常色結節を認めた.症例2;62歳,男性.約15年前に左第5趾腹に結節が出現し,緩徐に増大した.45×25×21mmの表面平滑で弾性軟な広基性の常色結節を認めた.病理組織学的には2例とも,好酸性の胞体を持った類円形ないし紡錘形のSchwann細胞の増殖からなり,Antoni A型の像がみられ,異型性はなく,核分裂像も認められなかった.症例2ではVerocay bodyの集塊像が認められた.

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 33歳,男性の左耳前部に生じた非定型的臨床像を呈した石灰化上皮腫の1例を報告した.臨床像は38×36mmの表面にびらん,痂皮を有する分葉状の有茎性腫瘤を呈し,組織学的に本症と診断した.自験例のような臨床像を呈する石灰化上皮腫はきわめて稀であり,このような非定型的外観を呈する石灰化上皮腫について若干の文献的考察を含め検討した.

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 70歳,女性および77歳,女性.共に左下眼瞼に再発を繰り返し,リンパ節転移を認めたマイボーム腺癌の2例を報告した.症例1:初診1年5か月前に眼科にて霰粒腫と診断され切除を受けた.再発を繰り返し,3回目の切除時に施行した病理組織にてマイボーム腺癌と診断した.周囲1cm離して切除し,組織像で断端に腫瘍細胞を認め再手術した.断端近くに腫瘍細胞を認め,放射線照射を施行した.約半年後,左下顎部にリンパ節転移を認め,左顎下リンパ節,顎下三角郭清術を施行し,4年間再発を認めない.症例2:初診2年6か月前に眼科にて3回切除され,3回目の病理組織にてマイボーム腺癌と診断された.周囲1cm離して全摘術および左頸部リンパ節郭清術を施行した.そのうち1個にマイボーム腺癌の転移を認めた.6年間再発を認めない.初回時の組織診断が重要と思われたマイボーム腺癌の2症例を報告した.

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 左眼外方の側頭窩より眼窩外壁の骨を破壊して眼窩に浸潤した増殖性外毛根鞘性腫瘍の81歳男性例を報告した.3か月前より左眉毛外側およびそのやや下方に表面平滑,軽度に隆起した硬い結節があり,強い自発痛を伴った.結節中央部の生検組織では真皮に外毛根鞘性角化を呈する嚢腫を数個認めたが,画像検査では腫瘍本体はかなり深部にあり,頬骨の菲薄化を伴っていた.全摘標本の組織では,眼球と腫瘍との境界に存在するはずの骨組織は認められず,腫瘍は巨大な嚢腫状を呈していた.組織学的には眼球に最も近い部分においても悪性像は認められなかった.増殖性外毛根鞘性腫瘍の本邦報告例につき文献的に考察した.

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 56歳男性の右下顎部に生じたmucinous carcinoma of the skinの1例を報告した.組織像は典型的であった.本症例は切除後約20か月を経ての再発例であり,辺縁より1cm離して拡大切除した.術後6か月の経過で再発,転移を認めていない.本腫瘍は調べ得た限り,本邦報告45例と比較的まれな疾患であるが,局所における易再発性が指摘されている.単純摘出術後に診断が下されることが多いために,取り残しがあること,顔面,頭部など拡大切除術を施行しにくい部位に好発することが局所再発の一因と考えられた.よって再発を防ぐには,数mmから1cm離した確実な切除と最低3年間の経過観察が必要と考えられた.

連載

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ケラトアカントーマについて,正しいものを選べ.

①ケラトアカントーマは皮膚・粘膜に生じる良性腫瘍である.

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老人保険の抱える深刻な問題,医学雑誌無料購読法

 アメリカ大統領選挙運動における公約の中で,民主党,共和党共に医療保険の改革が取り上げられています.その中でも特に65歳以上のお年寄りの薬代の高騰をいかに抑えるかが注目されるところです.国が供給している現在の老人医療保険では処方箋については保険が使えません.

 皆さんもご存じのHMO保険は薬代が無料が歌い文句で多くの老人保険加入者をHMOに変えさせてきましたが,薬代無料を維持するのが困難になってきており,それがたたってHMO保険を廃止する保険会社まで出てきはじめました.このような保険をもたない老人は自己負担で薬を購入しなければならず,深刻な問題となっています.民間保険に加入すれば幾分かはよいのですが,それでもまだ随分と多額の金額を負担しなければなりません.薬代も毎年1割ほど値上がりしていますので,ともすると1か月に15万円支払う場合もあるようです.

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 症例は46歳,男性.30年ほど前より鼻尖部に紅斑が生じ,次第に鼻部が腫瘤性に肥大し,徐々に外鼻全体が増大してきた.さらに毛孔の開大および角栓がみられ,表面が凹凸不正になってきた.鼻瘤の診断のもとに全身麻酔下に肥大部を全層切除し,胸部からの厚めの分層植皮術を施行した.また,鼻孔が拡大していたため両側の鼻翼の外側部で全層にわたり約3mm幅で模形に組織を切除して全体の形状を整えた.組織学的には脂腺増生と毛細血管拡張,その周囲の慢性炎症性細胞浸潤が認められた.

基本情報

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臨床皮膚科
54巻12号 (2000年11月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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