臨床皮膚科 49巻3号 (1995年3月)

カラーアトラス

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患者 48歳,女,農業

主訴 顔面の紅斑

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 Atrophie blanche様変化は全身性エリテマトーデス(SLE)患者の主に手指背に孤立性あるいは瀰漫性紅斑上に粟粒大前後の白色調萎縮性変化として見られ,SLE患者59例中5例とオーバーラップ症候群(SLE/全身性強皮症)5例中1例に認められたが,その他の膠原病疾患では見られなかった.SLE患者のうちatrophie blanche様変化を有する群と有さない群の間に臨床症状の差異はなかったが,前者で抗RNP抗体と抗Sm抗体の陽性率が有意に高かった.一方,組織学的には液状変性および血管炎を欠き,真皮中層から下層に血管壁の肥厚と内腔の狭小化があり,何らかの亜急性の血管障害(vasculopathy)が関与しているものと考えられた.

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 広範囲の脱色素性母斑上に生じた多発性稗粒腫の乳児例を報告した.症例は3ヵ月,男児.生後数週頃に躯幹および四肢に不完全脱色斑が出現した.自覚症状は認めない.また脱色斑上に一致して白色の表面平滑な半球状小丘疹が多数認められた.病理組織学的には,表皮直下に数層の扁平上皮により囲まれた表皮性嚢腫が存在した.嚢腫の内腔には層板状の角質が認められた.またFontana-Masson染色において,表皮基底層のメラニン顆粒の減少が認められた.検索した限りでは,稗粒腫を伴った広範囲の脱色素性母斑の報告は過去になかった.

連載

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 47 太田母斑の治療で最も有効なものはどれか.

  (A) ドライアイス圧抵術

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Interesting word,インターネットについて

 “Interesting”という単語は実におもしろい単語です.私は次のように文章を何度も見かけました.“We reported a very interested patient.”これは珍しい患者,おもしろかった患者の直訳と思われますが,残念ながらぴったりの訳とは言えません.つまり“interested patient”というのは何か他の事に興味があった患者という意味です.例えば医師が患者と,まだ確立された医学的証明はないが患者の生命を救う可能性がある治療法について話し合った時,医師は医局に対して“very interested patient”,つまり患者はその治療について大変興味があったと報告できるわけです.そう,はじめのような患者またはケースの場合はinterestedではなく“interesting”が必要です.

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 29歳の女性.妊娠37週4日で水痘に罹患した.母体への直接的治療と新生児水痘の予防という面から免疫グロブリンとアシクロビルを併用した.経過は良好で,母体の症状は急速に改善し,新生児も水痘の症状を示さなかった.安全性が確立されていないことからアシクロビルを含む抗ウイルス薬の使用を避ける例もある.しかし,重篤化する可能性もある新生児水痘の発症を考慮すると,経胎盤的な治療が必要とされよう.

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 77歳,女性.昭和61年頃,顔面に紅色小丘疹が出現したが,自覚症状がないため放置していた.昭和63年に甲状腺機能低下を指摘され,平成4年には視力低下を自覚し,同年11月には心電図で3度房室ブロックが認められ,ペースメーカー植え込み術を受けた.この頃より前記の皮疹が拡大してきたため当科を受診した.皮疹部の皮膚生検組織像,眼科所見およびツベルクリン反応陰性,γ—グロブリン上昇などの検査所見からサルコイドーシスと診断した.その後,前胸部,背部に皮膚色小丘疹を認め,生検により,伝染性軟属腫と診断した.成人で伝染性軟属腫が認められる場合,免疫異常がその背景にあることが多い.本例ではサルコイドーシスによる細胞性免疫能低下が伝染性軟属腫の発症に関与したと考えられる.

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 幼少時期よりアトピー性皮膚炎がある19歳の女性に約1年前,ランニング中に顔面浮腫を伴う蕁麻疹,喘鳴と軽度の呼吸困難が生じ,以後,運動時に同様の発作が頻回に起こるようになった.3ヵ月前からは数分間歩いただけでも蕁麻疹は出現する.絶食条件下において踏台昇降による運動負荷試験を行ったところ,症状が誘発されたため食事非依存性運動誘発性蕁麻疹と診断した.誘発後,血清ヒスタミン値は上昇したが,補体系のB因子に変動は認められなかった,以上より自験例はStephanssonの分類によるvariant formに合致するものと考えた.

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 68歳,男性.前駆症状として咽頭痛,発熱を伴い,右側腹部から大腿部にかけて丹毒様皮疹が出現.2日後,左腸骨前部に激痛を伴った壊死性局面が出現し,当科へ入院した.入院時,血圧低下,急性腎不全,肺鬱血像を認め,敗血症性ショックと診断.昇圧剤,抗生剤の投与を開始するも,反応が見られず,左腸骨前部の壊死性筋膜炎を疑い,入院当日,同部のデブリードマンを施行した.以後,ペニシリンGを投与し,急性腎不全に対しては持続的血液透析を行ったところ,全身状態は漸次改善し,入院37日目に潰瘍部を一次的に縫合閉鎖した.なお,壊死組織からA群溶連菌が検出されたこと,ASO,ASK値の上昇をみたこと,臨床的に敗血症性ショック,腎不全を伴っていたことから,自験例をA群溶連菌による壊死性筋膜炎を伴ったtoxic shock-like syndromeと診断した.

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 蚊アレルギーで死亡した1例を報告した.19歳,男性.13歳頃より,蚊刺後に皮疹だけでなく高熱が数日間続くようになった.毎年,蚊刺後に同症状を繰り返していたが,19歳時蚊刺後に当科初診.肝脾腫,肝障害,汎血球減少を認め,ステロイド剤にて治療したが急激な経過で死亡した.蚊アレルギーの死亡例は,間葉系悪性腫瘍が続発するとの報告が多いため,皮膚,肝,骨髄の組織学的検索を行ったが腫瘍性病変は認めなかった.

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 26歳,女性.約1年2ヵ月前に左大腿前面に紅斑が出現.徐々に中央が硬化.下腿にも帯状に拡大.2ヵ月前より左下腹部,左乳房,左上腕にも硬化局面拡大.血清学的には抗核抗体,リウマチ因子陽性.病理組織学的に真皮から皮下脂肪に及ぶ膠原線維の膨化,増生を認める.現在general—ized morpheaの定義は諸家で一致をみていないが,本症例はlinear型の皮疹が混在していたものの,体の離れた部位に硬化局面が多発していることよりgeneralized morpheaと診断した.

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 症例は56歳男性.初診の約5年前より自覚症状のないほぼ大豆大の紅斑が,腹部に多数出現して徐々に環状となり,遠心性に拡大し2〜3ヵ月で消褪していた.初診の2ヵ月前より胃部不快感が出現し,精査により胃癌(Borrmann3型)が発見され外科へ入院した.臨床的に胃癌に伴う遠心性環状紅斑を考え経過を観察したところ,紅斑は胃癌の切除後3日目頃にはほぼ消褪し,以後再発はない.遠心性環状紅斑の原因また基礎疾患の一つに悪性腫瘍があげられているが,自験例のように悪性腫瘍の摘除により紅斑が消褪した症例の報告は非常に少ない.悪性腫瘍に併発する環状紅斑の発生機序について,若干の考えを加えた.

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 82歳男性.平成5年2月から全身の皮膚に紅斑を伴わない緊満性の水疱が出没.瘢痕は認めず,口腔病変なし.組織学的に水疱は表皮下にあり,基底膜は水疱底に存在する.螢光抗体直接法で基底膜部にC3の線状沈着を認めるが,間接法は陰性.同年4月から下痢が持続し,初診後の内科的検索で潰瘍性大腸炎と早期胃癌が発見された.

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 Wet umbilicusをきたす疾患は肉芽腫,感染症,腫瘍など多数あるが,尿膜管疾患の報告は少ない.今回我々は尿膜管嚢腫から尿膜管臍瘻をきたした症例を経験した.尿膜管嚢腫の臍への穿破はwet umbilicusとなるだけであるが,腹腔内への破砕は腹膜炎を惹起することがあり十分な注意が必要である.また,その鑑別として卵黄腸管遺残,子宮内膜症,悪性腫瘍などの重要な疾患があり,泌尿器科,外科へのコンサルトが必須である.

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 22歳,女性.有髪部に黒色調を呈したec—crine poromaを認めた.一般にeccrine poromaの好発年齢は50歳台であり,約半数は掌蹠に発生,臨床像は紅色から紅褐色を呈するとされている.今回我々が経験した症例は,比較的めずらしい臨床像をもつ1例であると考えられたので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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 44歳,男性.古典型と播種型の皮疹を合併した汗孔角化症の1例を報告した.顔面,前腕,手背に散在する小型環状角化病変と右耳前部に単発する大型角化性病変の2種類の皮疹がみられた.組織像では,それぞれcornoid lamellaを認めた.本症の古典型と播種型の合併例はまれであり,皮疹の多様性とその分類について若干の考察を加えた.

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 38歳,男.右頬部にドーム状に隆起した,中央部に小窩を有する径1.5cmの結節を認めた.臨床的に表皮嚢腫を疑い切除したが,組織学的には典型的なtrichofolliculomaと診断した.本邦報告例63例を集計したところ,trichofol—liculomaの93%は顔面に生じており,大きさは3〜15mmの結節であった.また65%に中心小窩を有しており,羊毛状線維は52%に認められた.顔面に中心小窩を有する結節を見た際に表皮嚢腫のみならず本症も念頭におくべきと思われた.

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 59歳,男性.初診の10ヵ月前より左足底皮下に疼痛を伴わない腫瘤が出現.摘出後の病理組織学的検査にて,腹壁外デスモイド腫瘍と診断された1例を報告した.足底というまれな部位に生じた腹壁外デスモイド腫瘍について,若干の文献的考察を加えた.

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 51歳,男性.初診の約1年前に左手第3指末節指腹の黒色の皮疹に気づいた.その後徐々に拡大したため当科初診し,その時点では,径8mmの黒色結節を形成していた.被角血管腫を疑い切除したところ,組織学的に皮膚線維腫の像を呈した.免疫染色ではfactor XIIIa陽性,CD34陰性であった.皮膚線維腫の掌蹠,指腹発症例の報告は私たちの調べた限りでは過去に2例であり,極めて稀である.さらに自験例のように二次的な変化が加わった場合には他の疾患,とくに悪性黒色腫のような悪性疾患との鑑別が重要である.

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 58歳,女性の右膝に生じたmobile encap—sulated lipomaの1例を報告した.右膝伸側に9×10mmの,弾性硬で可動性を有する孤立性の皮下腫瘤を触知し,指で押すと約1.5cmの範囲に抵抗なく移動する.組織学的に結合織性の被膜に被包化された脂肪組織塊で,下床の脂肪織とは線維化した索状部により連続していた.索状部および腫瘤内には,線維化した血管や血栓を伴った血管を認めた.自験例はさらに可動性が加わることで阻血が進行し,本症に特徴的な臨床像を呈するようになると推測され,Sahlの提唱した本症の発症過程における初期像と考えられた.

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 88歳の女性で左乳房に45×73mmの浸潤性紅斑を認め,生検により乳房Paget病と診断した1例を報告した.本症例に対してc-erbB−2蛋白に対する抗体を用いて免疫組織化学的染色を施行した結果,表皮内および乳管内のPaget細胞の細胞膜に一致して陽性所見が認められた.癌遺伝子産物としてのc-erbB−2蛋白は一般に乳癌において比較的多く検出されるが,乳房Paget病でも同様に発現が認められることから癌化に際してc—erbB−2遺伝子の異常が起きていることが推測された.

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 65歳,男性の右手掌に生じた結節型悪性黒色腫の1例を報告した.右第5指根部手掌側に33×36×23mmの易出血性,広基有茎性の腫瘤が単発.右第4,5指をMP関節より切断し,あわせてリンパ節郭清を行った.遠隔転移はなく,TNM分類でpT 3 N 1 M 0のStage IIIと診断した.手掌に生じた悪性黒色腫は国内・外の統計では悪性黒色腫全体の約1%前後と極めて少なく,かつ結節型悪性黒色腫は手掌にはごく稀で,本邦過去10年間に1例の報告もない.また,本例のごとき巨大な結節型悪性黒色腫をみる機会はきわめて稀であると考え報告した.

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 特異な臨床所見を呈した血管肉腫の1例を報告した.患者は83歳の男性.初診の3ヵ月前に左口角部に亀裂が生じ,やがて結節状皮疹となり,次第に増大してきた.初診時,左口角部に大きさ21×16×11mmで暗紅色の有茎性結節がみられ,一部で皮下にまで浸潤を触れた.結節周囲に紅斑性病変はほとんど認められなかった.病理組織学的には,大小不規則な脈管腔の形成と充実性の細胞増殖巣がみられ,脈管腔を形成する部分では,管腔内へ異型内皮細胞が突出する像が認められた.充実性増殖巣は紡錘形から卵円形の核を有する異型細胞で構成されていた.免疫組織化学的に腫瘍細胞はCD34,血液型物質,ビメンチン,UEA—Iレクチン,von Willebrand因子がいずれも陽性であった.腫瘍結節基部辺縁より1cm以上離して全摘し,術後に電子線照射療法,rIL−2静注療法を施行した.術後9ヵ月経過した現在までのところ,再発,転移はみられていない.

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 帯状疱疹後神経痛(PHN)の10例に対し,低反応レベルレーザー照射治療を行った.疼痛部位に1〜15分,1ヵ月〜6ヵ月間に4〜40回の照射を行った.なお三叉神経領域のPHNについては星状神経節領域にも照射を行った.その結果,神経痛消失4例,著明改善4例,改善1例,やや改善1例,不変0例であった.またレーザー照射によると思われる副作用は認められなかった.低反応レベルレーザーはPHNの痛みの悪循環を遮断して除痛効果を発揮するものと推測される.低反応レベルレーザー治療は簡便でかつ安全,患者に対しては無侵襲という大きな利点を有しており,今後PHN治療の一つとして期待される.

基本情報

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臨床皮膚科
49巻3号 (1995年3月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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