臨床皮膚科 49巻4号 (1995年4月)

カラーアトラス

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患者 75歳,女性

初診 平成4年6月20日

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 1989年度厚生省特定疾患強皮症調査研究班(森俊二班長)から新しい全身性強皮症診断基準案が提案された.この診断基準案の特異度を検討するために,全国15施設(皮膚科11科,内科系のべ8科)にケースカードを配布した.集められたケースカードの記載をもとに,診断基準案の特異度を検討した.対象は全身性エリテマトーデス(SLE)127例,亜急性皮膚エリテマトーデス(SCLE)11例,皮膚筋炎または多発筋炎(DM/PM)36例の合計174例である.診断基準案のI,すなわち近位皮膚硬化陽性の場合は症例数が少なく解析不能であった.診断基準案のII,すなわち近位皮膚硬化陰性の場合の特異度は98.3%であった.したがって厚生省特定疾患強皮症調査研究班(森俊二班長)から提案された新しい全身性強皮症診断基準案は,全身性強皮症の除外診断にも極めて有用であることが示された.

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 症例は42歳,女性.初診半年前より右鎖骨部に常色の小結節出現.直径9mmの境界明瞭な弾性硬の球状結節を全切除.組織学的には真皮内の分葉状の腫瘍内に,豊富な粘液性基質に囲まれて紡錘形腫瘍細胞がPacini小体様に配列し,中央部に星状細胞が集簇していた.S−100蛋白(−),NSE(+).Pacinian neurofibromaは稀な神経原性腫瘍であり,nerve sheath myxoma, myxoid neurofibroma, neurothekeomaなどの名称でも報告され,その起源には諸説がある.我々は自験例を含めて35例の本邦報告例を検討した.その結果,日本人では海外文献と比較して発症年齢が高く(平均37.7歳),男女比も小さかった.

連載

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 49 皮膚のバリアー機能について正しい記載はどれか.

  ① バリアー機能の推定には経表皮水分喪失量が用いられる.

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情報の金脈,英語のセットフレーズについて

 英語では次のようなセットフレーズがあります.“A goldmine of information”,つまり大変価値ある情報源ということですね.そして新しい会社に就職し,そこで先輩が,誰が信用できるかできないか,何が良くて何が悪いかというようなことをいろいろと教えてくれる時,その人は‘goldmine of information’になります(時々省略してgoldmineだけ使用することもあります).私は最近皆様にもぜひお伝えしたいgoldmineをみつけました.それはThe Journal of the American Medical Association(JAMA),Vol. 273,No. 1の29ページに出ています.題目は“Glossary of Methodologic Terms”で,実に素晴しい簡潔な辞書であり,しかも無料です(!).それにはblinded,masked,unawareの同義語としてのblindの解説や,case control,case series,cohort analytic studyなどの解説が出ています.そしてあなたがそれを読んだら‘likelihood ratio’を理解するばかりでなく,次の論文の中でそれを使用することもできますね.ぜひJAMAを毎週読んで下さい.それとその1ページ半の解説も読んで下さい.

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 1987年度から1990年度の4年間に岐阜県において認定された全身性強皮症診断書に基づいて疫学調査を行った.調査期間においては新規認定患者はやや減少傾向が,更新者は漸増傾向があり,総患者数はやや増加の傾向を示した.1989年度の岐阜県下の全身性強皮症患者の有病率は8.0人/10万人であった.男女比は1対7.7,平均年齢は男性56.2±2.4歳,女性50.4±1.0歳であった.初発症状はRaynaud症状が51.5%,手(足)の腫脹,皮膚硬化がそれぞれ12.1%であった.治療は副腎皮質ステロイドの内服が20%に行われていた.有病率,男女比,年齢分布は,これまでの本邦における他県での報告と同様の値を示した.したがって,本邦において全身性強皮症患者は比較的均等に分布しており,年齢,男女比においても地域差は少ないということが考えられた.

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 49歳,男,日系ブラジル人.BB群らいの診断のもと,リファンピシン600mg/月,DDS100mg/日,クロファジミン100mg隔日投与で治療を開始した.約8カ月後,末梢神経障害を伴う境界群反応が出現した.境界群反応はプレドニゾロン20mg/日の投与によって4カ月で軽快した.

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 HIV抗体陽性の先天性血友病A患者に見られたpruritic papular eruptionの1例を報告した.症例は41歳,男性で先天性血友病のため幼小児期より血液製剤の輸注療法を受けており,asymptomatic carrierである.臨床的には頸部,背部,上腕に大豆大までの小丘疹,淡紅色紅斑が散在性に認められたが,膿疱は明らかでなかった.組織学的に紅斑部では真皮の毛包と血管周囲および結合織間に著明な好酸球と単核球の浸潤が見られたが,毛包内への好酸球浸潤は認められなかった.本邦でのpruritic papular eruptionの報告は稀で,今後AIDS患者の増加が予測され,皮膚科医が見逃してはならない皮膚症状の一つと考えられた.

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 症例は44歳,女性.35歳頃より両下肢に自覚症状を伴わない爪甲大までの浸潤性紅斑の出現消退を繰り返していた.組織所見で真皮に乾酪壊死巣を伴う類上皮細胞肉芽腫とリンパ球浸潤を認めた.全身検索を行ったところ,上咽頭部に凹凸不整の隆起性粘膜病変を認め抗酸菌を検出し,また喀疾より結核菌を培養し得た.よって両下肢の皮疹を上咽頭結核に伴ったバザン硬結性紅斑様の結核疹と診断した.バザン硬結性紅斑の過去10年間の本邦報告例のうち原発巣が明らかであったのは,肺結核および頸部リンパ節結核の数例であった.上咽頭結核に伴った結核疹は稀と思われたのでここに報告した.

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 70歳,男性.軽度痒みのある紅斑を伴った小水疱17個が全身—右眼囲に7個,左頬部に1個,胸部に3個,背部に4個,両大腿伸側に1個ずつ散在していた.水痘または汎発型帯状疱疹が疑われたが,1)水疱の分布をみると右眼囲の集簇は一見帯状疹を思わせるが,その部に帯状疱疹独特の痛みがなく帯状疱疹ではないと考えられ,2)眼囲を含めほぼ同時に全身に水疱が出現したため水痘とした.また水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)抗体価はCF32×,IAHA64×,FAIgG陽性,IgM陰性であったため水痘の再感染と考えた.VZV抗体価により水痘の再感染と帯状疱疹が鑑別できないかと考え,帯状疱疹と成人水痘のVZV抗体価を測定し,VZVIgG抗体が陽性でCF抗体8×以上,IAHA抗体32×以上ならば水痘の再感染と診断できると考えた.

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 65歳男性の日和見感染が原因と思われる皮膚ノカルジア症の1例を経験した.肺に異常所見を認め,肺病変から胸膜,胸壁を経て皮下に膿瘍を形成したと考えられた.ST合剤,抗生物質の全身投与によって,肺病変,皮膚病変ともに治癒した.

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 54歳,男性の晩発性皮膚ポルフィリン症の1例を報告した.25年来の飲酒歴があり,5年前よつ軽度肝機能障害と高血圧,2年前より耐糖能異常を指摘されている.平成2年の初夏より,両手背に瘙痒を生じ,軽い掻破により水疱を形成するようになった.水疱の治癒後に小瘢痕,色素沈着,稗粒腫を残す.尿中ウロポルフィリンは極めて高値であった.手背の水疱部病理組織像は表皮下水疱で,水疱蓋と水疱底の両者に,PAS陽性物質の沈着とLH7.2陽性所見を認めた.水疱部電顕像では,水疱蓋下面に多層化したbasal laminaと,水疱底にも1層のbasal laminaを認め,本症例の水疱形成レベルは,多層化したbasal lamina間と考えた.

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 尋常性魚鱗癬を合併したDubowitz症候群の1例を経験した.症例は4歳,男児.独特の顔貌,身体ならびに精神発育遅延により本症候群と診断された.生後間もなくより全身皮膚の乾燥化が見られ,組織学的には尋常性魚鱗癬に合致する所見が認められた.血清ステロイドサルファターゼ欠損はなかった.本症候群には比較的高頻度に皮膚病変が合併するが,これまで湿疹として報告される例が多く,私たちの調べた限りでは尋常性魚鱗癬の合併例は自験例が最初である.

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 症例1:38歳,女性.幼少時より指趾爪甲の変形があり,加齢とともに変形が強くなり匙状となった.種々の程度の匙状爪が全指趾にみられるのみで,他に血液学的異常や外胚葉形成異常を思わせる所見は認めなかった.症例2:15歳,女性.症例1の次女で,程度は軽いがほぼ全指趾に匙状爪が存在した.家系調査では,4世代31人中15人に同症を認め常染色体優性遺伝であった.

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 43歳,男性.貧血と38℃台の発熱,呼吸困難を生じ肺炎の疑いにて入院.骨髄生検にてmyelodysplastic syndromeと診断され,輸血,抗生剤,抗真菌剤で治療していた.入院17日後,両前腕の点滴針刺入部に一致して浮腫性紅斑が出現し,これらは遠心性に拡大するとともに中央部に緊満性水疱を生じた.病理組織学的には真皮上層の著明な浮腫と,真皮全層にわたり好中球を主体とする核崩壊像を伴う炎症性細胞浸潤が認められSweet症候群と診断した.副腎皮質ステロイド剤の全身投与にて皮疹,肺炎ともに速やかに消退した.皮疹出現時の血中granulocyte colony—stimulating factor値は600pg/mlと高値を示し,皮疹消退時には正常値に戻っており,本症の発症機序を考える上で大変興味深く思われた.

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 17歳,女性.12歳時より左背部の皮疹に気がついた.左下背部の肋骨に沿うような,わずかに隆起した母指爪甲大までの常色から淡紅色,圧痛を伴う浸潤性局面が帯状に配列し多数認められる.一部に漿液性丘疹を伴う.発熱,関節痛などの全身症状はない.皮膚病理組織所見では,真皮全層に好酸性でスリガラス様の細胞質を持つ多核巨細胞が比較的密にびまん性に見られた.組織所見より,reticulohistiocytosisと診断した.本症例のごとく,限局性に帯状の配列を示した皮疹は稀であり,文献的考察を加えて報告する.

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 33歳,男性の前額部に生じた1例を報告した.径20mm,類円形,扁平隆起性の硬結で,中央部に潰瘍を伴う.組織像は真皮中層から筋層の線維化した間質内に類円形ないし索状の細胞巣が島嶼状に散在し,角質嚢腫と管腔の形成を伴う.電顕的に汗管への分化を認め,CEA一部弱陽性であった.潰瘍部では,索状ないし不規則形の大型の細胞巣が表皮と連絡して密に増生し,軽度の異型性を認めた.Adenosquamous carcinoma of the skinとの異同も含め,文献的考察を加えた.

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 86歳,女性にみられた鼻前庭基底細胞癌(BCC)の1例の治療経験につき報告した.当科における頻度は306個中1個でO.3%であったが,調べえた範囲では鼻前庭BCCの本邦報告例はないと思われ,その頻度は極めて低いと考えられた.鼻前庭は人目につきにくいため,症状を伴わない限り自覚されにくいが,滲出液,出血,難治性のびらん・潰瘍,腫瘤などを訴えた時には,BCCを含む悪性腫瘍を念頭に入れ診察する必要があると思われる.

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 手背および手掌,足底の多発する小陥凹をきっかけに基底細胞母斑症候群と診断した56歳女性例を報告した.基底細胞上皮腫は認めなかったが,両眼隔離,多発性顎嚢胞,大脳鎌の石灰化,背柱側弯を認めた.母親は70歳時破壊型基底細胞上皮腫のため死亡していた.自験例では多発性小陥凹が手掌よりも手背に多く認められた点が,臨床的に特異な点と思われた.

顆粒細胞腫の1例 笠井 紫乃美
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 52歳,男性の比較的稀な部位である鼻根部右側に生じた顆粒細胞腫を報告した.組織像は典型的で,真皮内にジアスターゼ抵抗性PAS陽性顆粒を豊富に有する顆粒細胞が増殖していた.また,顆粒は酵素抗体法によるS−100蛋白染色陽性かつneuron-specific enolase(NSE)染色陽性であったことより,神経由来が示唆された.切除後,再発は認めない.

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 64歳,男の右上腕に生じた限局性多発性神経線維腫の1例を報告した.9年前より右上腕屈側に径2〜12mmの半球状隆起性結節が7個出現し,5年前より両前腕屈側,左胸部に径10mmまでの皮下結節が5個出現した.病理組織学的に前者は神経線維腫,後者は血管脂肪腫であった.限局性多発性神経線維腫の本邦報告例において他の良性腫瘍との合併例はなく,自験例においても両腫瘍の発生部位が異なるため偶然の合併と考えた.また,脊椎X線にて軽度の胸椎,腰椎側弯を認めたが特発性側弯症の偶発的な合併と考えられ,他にもRecklinghausen病を思わせる症候を認めなかった.

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 菌状息肉症の稀な一型であるgranulo—matous mycosis fungoidesの1例を経験した.症例は21歳,女性.9歳頃からほぼ全身に手掌大までの淡紅色皮疹が出現した.皮疹の一部には小指頭大の潰瘍や結節の形成を繰り返していた.当科初診時,ほぼ全身に表面が多形皮膚萎縮を呈する浸潤を触れる紅色斑を認めた.前胸部,背部の皮疹は表面はちりめんじわ状萎縮を呈し,皮疹全体としてやや下垂し皮膚の弛緩が認められた.組織所見では異型リンパ球の表皮向性,Pautrierの微小膿瘍などの所見に加え,真皮中下層にはリンパ球,類上皮細胞,多核巨細胞からなる小型の肉芽腫が多数認められた.免疫組織染色では,表皮,真皮への浸潤細胞はほとんどがCD4陽性であった.臨床・組織所見よりgranulomatous slack skinの特徴をあわせもっgranulomatous mycosis fungoidesと診断した.

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 症例は14歳の女児.2歳時に足底の黒色斑の切除を受け,細胞増殖性青色母斑(cellular blue nevus)の診断であった.今回,同部位の軽度の腫脹と圧痛を主訴に来院した.手術所見では,皮下に黒色の腫瘍を認めた.組織所見では,淡明な腫瘍細胞の増殖が認められ,明細胞肉腫(clear cell sarcoma)が強く疑われた.しかし,2歳時の組織所見で切除断端まで腫瘍細胞がみられたため,細胞増殖性青色母斑が悪性青色母斑(malignant blue nevus)として再発したものと考えた.悪性青色母斑はまれな皮膚悪性腫瘍であり,特に本例は明細胞肉腫や悪性黒色腫との関連で非常に興味深い症例と思われる.

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 44歳男性の悪性黒色腫を伴ったWerner症候群の1例を報告した.10歳頃に嗄声が出現し,年余にわたり徐々にWerner症候群としての症状を呈するようになった.44歳時,左踵の黒色斑を主訴に当科を受診し,悪性黒色腫の診断のもとに手術を行い,その際植皮術と組み合わせて人工真皮を使用し,原発巣を大きく切除したにもかかわらず比較的短期間に創の閉鎖が可能であった.

基本情報

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臨床皮膚科
49巻4号 (1995年4月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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