呼と循ゼミナール
心筋の保護と冠状動脈血流(13)
平野 禎造
1
1高知市立市民病院麻酔科
pp.618
発行日 1981年6月15日
Published Date 1981/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203787
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4.麻酔と冠状動脈血流
生体に侵襲が加えられた場合,一連の防御反応が起ってこれに対処するが,過剰な反応は,かえって生命の泉を枯渇させてしまうことはよく知られている。麻酔は,この過剰な防御反応を抑えながら,加えられた侵襲から生命を保護するための一つの手段となる。しかし一方では,麻酔のために使用される薬剤は,大部分のものが生体の機能を抑制するように働くことから,その個体にとって過剰となる投与は,かえって生命を脅かすことになる。心機能や冠状動脈血流に及ぼす麻酔薬自体の効果は,動物実験をはじめ臨床例でも多くの報告があり,大体において一定した結論に達しているようであるが,冠状動脈血流の需要と供給の関係は,その時の状況次第でいくらでも変化するもので,とくに重篤な症例では,動物実験で安定した時期に得られた結論とは,また別の考えが必要になる。
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