呼と循ゼミナール
心筋の保護と冠状動脈血流(6)
平野 禎造
1
1高知市立市民病院麻酔科
pp.1264
発行日 1980年11月15日
Published Date 1980/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203666
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2.血圧と冠状動脈血流
血流を維持するためには血圧が必要であるが,血圧の増減は必ずしも血流に同じ変化をもたらさない。それは,別の因子が血流抵抗を変えるためで,冠状動脈血流の場合は,血管自身の緊張度のほかに,心筋の収縮による血管外からの圧迫が大きな意味を持ち,収縮期にはそれがとくに著明となるため,心筋深層の有効な血流はほとんどなくなると言う。したがって,心筋内の血流量を論ずる場合には,主に拡張期の状態が問題となってくる。また,血管自身の緊張は,代謝性因子や神経性因子などが大きく影響を及ぼし,中でも酸素の不足が最も強い拡張因子とされていたが,最近は交感神経に由来する収縮効果が,これにかなり拮抗することが指摘されている。このような血管緊張度の変化によって血流が調節されている時は,純粋に灌流圧だけを変化させても,一般に血流量はある範囲内で一定に保たれる。
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