呼と循ゼミナール
心筋の保護と冠状動脈血流(12)
平野 禎造
1
1高知市立市民病院麻酔科
pp.563
発行日 1981年5月15日
Published Date 1981/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203777
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nitroglycerinは冠状動脈を弛緩させるが,同時に容量性静脈系の拡張をもたらし,静脈還流を減少させるため,血圧の低下を招く。実験動物に成犬を用いて測定した所では,収縮期血圧,拡張期血圧とも,その低下度はdipyridamoleの場合と比べて,あまり大きな差はみられなかった。しかし,左と右の冠状動脈血流量の変化を比較してみると,dipyridamoleでは,左はもちろんのこと右もかなりの増加度を示したのに対して,0.1mg/kgのnitroglycerinを静脈内に投与した場合,右の冠状動脈血流量は一般に減少する傾向が強く,中には増加した例もみられたが,その増加度は僅かであった(図1)。同様にnifedipine 5μg/kgを静脈内に投与してその変化を観察した所,やはり右冠状動脈では,大部分の例でかなりの程度に血流量の減少が記録された(図2)。
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