呼と循ゼミナール
心筋の保護と冠状動脈血流(14)
平野 禎造
1
1高知市立市民病院麻酔科
pp.874
発行日 1981年8月15日
Published Date 1981/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203826
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実験動物を用いて麻酔薬の効果を検討する場合,設定された麻酔レベル内で臓器の機能を論ずる時は問題ないが,これを,薬剤が投与されていない状態と比較する時,その対照値を測定した条件が,実験結果に大きく影響をあたえる可能性は,以前から指摘されていることである。しかし,これは麻酔薬に限ったことではなく,動物を用いた急性実験では,手術侵襲の大小によってその程度は異なるものの,常にその影響があるものと考えるべきであろう。文献から,動物を用いた実験方法を探ってみると,対照値を測定した時の条件として,人工呼吸を行ないながら麻酔にpentobarbitalを用いている例が多く,また,筋弛緩薬だけを投与して,人工呼吸器に接続している例もかなりみられた。pentobarbitalの点滴投与は手軽に行なうことができるため,古くからよく利用されているが,一般に,barbiturateによって,疼痛刺激に対する反応の増強することが知られており1),新宮らによれば,この抗鎮痛作用は,下行性鎮痛機構の抑制に原因すると言う2)。
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