呼と循ゼミナール
心筋の保護と冠状動脈血流(9)
平野 禎造
1
1高知市立市民病院麻酔科
pp.130
発行日 1981年2月15日
Published Date 1981/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203715
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血管収縮薬を用いてafterloadを増加させると,一般的には拍出量の低下がおこり,血液は低圧系に貯留して拡張終期容積は増大する。そして,さらに駆出とともに圧負荷が加わり,いわゆるpressure workが増えるなど,心筋の酸素消費は増加する。しかし,灌流圧が上昇するため,冠状動脈血流は比較的良好に保たれると言う。一方,α型catecholamineは,腹腔動脈や腸管膜動脈を収縮して腹腔内臓器,とくに膵臓の血流を減少させるとともに,adenyl cyclaseの活性を抑制して細胞内のcyclic AMP濃度を低下させ,膵臓からのinsulin分泌を減らすと言われている1)。低酸素環境下では,嫌気性解糖によるエネルギーの産生がみられ,心筋はinsulinを介してのブドウ糖利用に傾いてくるが,例えば,心筋硬塞が発生して心筋内への血流が途絶すると,最初に現われる組織学的変化として,glycogenの顆粒が消失すると言われており,これは,ブドウ糖の供給源としてglycogenが使用されたことを示している。
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