呼と循ゼミナール
心筋の保護と冠状動脈血流(7)
平野 禎造
1
1高知市立市民病院麻酔科
pp.1358
発行日 1980年12月15日
Published Date 1980/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203679
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収縮期には,心筋の圧迫によって有効な心筋内血流を得ることはできないとされているが,冠状動脈の基始部で血流を測定してみると,収縮期にも相当量の血流を認めることがある。例えば,nitroglycerinを静脈内に投与した場合,冠状動脈血流の波形が二峰性となることは先に示した通りであるが,この時の収縮期血流は,緊張の低下したconductive arteryに貯留し,そのまま拡張期血流に加わって流れる。この場合,冠状動脈の基始部ではごく僅かの逆流がみられるだけであるので,収縮期血流の大部分は,拡張期血流とともに心筋内に流入するものと考えられる。したがって,同じ灌流圧であったならば,収縮期血流の大きい方が,その分だけ多くの血流を心筋内に送ることになるであろう。このことは見方を変えれば,より低い灌流圧でも同等の血流量が得られると言うことで,前号の図のE曲線でこれを表示することができるのではないかと考えている。
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