呼と循ゼミナール
心筋の保護と冠状動脈血流(3)
平野 禎造
1
1高知市立市民病院麻酔科
pp.848
発行日 1980年8月15日
Published Date 1980/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203608
- 有料閲覧
- 文献概要
nitroglycerin 0.1mg/kgを静脈内に投与してみると,冠状動脈の基始部での血流は,収縮期に急峻な増大を示して二峰性となり,このことは,conductive arteryの弛緩したことを意味している。また,nifedipineは太い動脈を拡張させないと言う報告もみられるが,著者の行なった実験では,5μg/kgの静脈内投与によって,収縮期に著明な"Wind Kessel"効果がみられ,緊張の低下することが示された。このように,狭窄部血管を含めたconductive arteryが拡張すると,Bernoulliの法則から側圧が上昇,すなわち,細小動脈血流に対する灌流圧が上昇して,虚血領域の血流が改善されるものと考えられる。しかし,この場合,nitroglycerinやnifedipineによって,抵抗血管も同時に拡張したと仮定するならば,dipyridamoleの場合と同じく,抵抗の少ない健常域に血流が分配されてしまうであろう。したがって,虚血領域の血流が促進されるためには,抵抗血管の拡張はおこらないことが条件となる。
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.