臨床雑誌内科 93巻3号 (2004年3月)

目でみる症例 SLE腎症 野島 美久

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60歳女.主訴は心窩部痛.内視鏡検査にてA1 stageの胃潰瘍が認められた.検査所見では,AST138IU/l,ALT123IU/lとトランスアミナーゼの上昇が認められた.肝炎ウイルスマーカーは陰性で,抗核抗体,抗ミトコンドリア抗体(AMA)はM2抗体も含めて陰性であった.肝線維化マーカーであるヒアルロン酸,IV型コラーゲン・7S及びプロコラーゲンIIIペプチドの上昇も認めた.PPIをはじめとする抗潰瘍療法を行い,同時に肝機能異常の原因精査を施行した.その結果,臨床検査所見より非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を疑い,肝生検を行ったところ,肝硬変までにいたったNASHと診断した.トランスアミナーゼはbezafibrate投与後4ヵ月目で正常値に回復し,CT上もCT値の肝/脾比が0.98へと改善を認めた

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42歳男.主訴は発熱,関節痛.上気道症状(CT上は鼻粘膜の肥厚),多発性肺浸潤影/結節影,血尿/タンパク尿,PR3-ANCA646EUより,Wegener肉芽腫症と診断された.その後,喀血と共に,胸部X線上,両側び漫性の浸潤影が出現し,貧血が急速に進行した.気管支鏡検査にて血性の気管支肺胞洗浄液(BALF)が得られ,肺胞出血と診断した.人工呼吸器管理となり,CPA500mgでパルス療法を行い,ステロイドパルス療法も行った.パルス後1週間で36℃台に解熱,肺の結節影,浸潤影も徐々に改善していった.一方,消化管出血も血管炎の緩解に伴って止血した.CPA,PSLは静注で100mgずつ投与していたが,消化管出血が止まったため,内服CPA100mg,PSL60mgへ変更し,その後漸減していった.徐々にANCAは上昇傾向にあるものの,臨床的な再発はない

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65歳女.主訴は意識障害.糸球体腎炎による慢性腎不全で血液透析導入されていた.意識レベルJCS200,失調性呼吸と無呼吸があり,軽度の瞳孔不同と対光反応の減弱,項部硬直を認め,深部腱反射は亢進し,病的反射は陽性で,左半身にミオクローヌス様の不随意運動が頻発していた.帯状疱疹ウイルスによる髄膜脳炎,高血圧性脳症,薬物中毒などを考え,aciclovir(ACV)の投与,血圧コントロール,血液透析などを開始した.血液透析は,短時間連日透析を選択した.血圧はnicardipine hydrochloride持続点滴でコントロールした.血圧が良好にコントロールされたあとも意識レベルの回復は不十分で,変動した.髄液検査の結果は,細胞数3/mm3,タンパク59mg/dl,糖57mg/dlであった.再度内服薬を確認した結果,valaciclovirを服用していたことが明らかになった.症状をみながらACVの投与を中止すると共に,ヘモソーバーCH-350による吸着療法を併用した血液透析を行った.意識レベルは急速に改善し,後遺症なく回復した

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79歳女.主訴は頭部外傷後の意識障害.ベッド上から転倒し左側頭部を打撲した後,嘔吐,意識障害,便失禁が出現し,頭部CTでクモ膜下出血(SAH)の所見を認め,入院となった.入院後の血液検査にて著明な血小板数増加と白血球数増加を認め,骨髄穿刺等の諸検査を行い本態性血小板血症(ET)と診断した.SAHは安静と止血薬投与で加療し,ETはhydroxycarbamide内服にて加療した

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61歳男.主訴は労作時呼吸困難.心臓カテーテル検査では,右室造影で流出路に筋組織の突出がみられ,流入側と流出路間の圧較差は50mmHgであった.左室造影で心室中隔基部に右室側へ大きな瘤状の突出があり,その一部に更に小さな瘤を認めた.大きな瘤の先端から右室へのシャント血流がみられた.心臓MRIでは心室中隔基部に左室から右室への膜様の瘤状突出がみられた.右室狭窄部切除術・心室中隔閉鎖術を施行し,病理所見では小腫瘤の1個は器質化した血栓成分様組織のみであったが,もう1個は内部に新鮮血液があり表面は弁組織で覆われており,三尖弁嚢と考えられた.術前より閉塞性呼吸障害の合併があり,術後呼吸困難感は完全には消失しなかったが,改善は認められている.術後合併症はみられなかった

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36歳男.主訴は意識障害,歩行障害.腹部CTでは肝表面の不整,肝左葉腫大,脾腫を認めた.また,肝生検では偽小葉の形成,高度の線維化像,更に脂肪滴,マロリー小体を認め,アルコール性肝硬変と診断した.腹部MRAにて肝門部に拡大した傍臍静脈と下方へ伸びる直腸静脈叢への側副血行路を認めた.高アンモニア血症に対し,タンパク制限食と分岐鎖アミノ酸製剤の投与を行ったところ,血中のアンモニア窒素とFisher比の正常化を認め,意識障害は消失したが,痙性対麻痺の改善は認められなかった.また,禁酒による神経症状の改善もみられなかった.アルコール性肝硬変から著明な側副血行路が発達し,反復性脳症,即ち猪瀬型肝性脳症を繰り返した後に発症したhepatic myelopathyと診断した.尚,本例にはシャント術歴はなく,非常に稀なhepatic myelopathyであった

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64歳男.主訴は前胸部不快感・呼吸困難.入院時検査所見では,血液検査にてBNPの著明な上昇と軽度の低タンパク血症,貧血,高脂血症を認めた.尿検査にて尿タンパク及びβ2 MGは上昇していた.入院時のA1b値では全身のうっ血を生じるほどではなく,その後,心臓超音波検査にて,左室拡張末期径59mmと拡大,左室内径短縮率16%,左室駆出率32%と,全体的な収縮能の著明な低下を認めた.呼吸苦の原因は心原性であると判断し,心臓カテーテル検査を施行した.左室造影にて左室収縮期容積114ml/m2,駆出率30%と,全体的に左室壁運動の低下を認めた.また,Swan-Ganzにての結果としては,肺動脈楔入圧21mmHgと上昇していた.冠動脈造影にて回旋枝は右冠動脈領域まで延長していた.心筋生検にて,左室心筋細胞の肥大・空胞形成,筋原線維の粗鬆化,脂肪組織の浸潤と心筋間質の著明な線維化を認めた.以上より,拡張型心筋症を合併した左単冠動脈症と診断した.微小冠循環の改善や心負荷の軽減,心筋リモデリング抑制を目的としてdipyridamole 50mg/day,azosemide 60mg/day,temocapril hydrochloride 4mg/dayの内服を開始し,現在,外来にて経過観察中である

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67歳女.主訴は口腔乾燥症状.尿タンパク(++),Mタンパクを伴うγグロブリンの増加がみられ,腹部CT所見で肝嚢胞と肝腫大肝と脾に非常に不均一なdensityを示し,アミロイドーシスでみられる所見に矛盾しなかった.腎生検所見で糸球体はいずれもmesangial areaにPAS陽性の沈着物を認め,同部位はアミロイド染色陽性であった.間質の一部と小血管壁にも同様の沈着物が認められた.これ以上のアミロイド産生を抑制する目的でMP療法(melphalan 6mg,prednisolone 60mgを4日間)と,腎障害予防の目的で抗凝固療法を併用した.MP療法によりγグロブリンの低下が認められた.しかし,黄疸の進行と腎機能の悪化を認め,尿タンパクは全く減少しなかった.透析を開始し,黄疸の進行は止まったが,心アミロイドーシスが原因と思われる血圧低下が認められ,透析困難な状況となり,透析は中止し,3日後突然心室細動となり,永眠された

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18歳女.主訴は味覚障害,顔面の違和感物がみえにくい.視力は右0.5,左0.2で,視野異常と左下肢の感覚障害,筋力低下を認め,頭部MRIで右大脳白質に異常陰影を認め,多発性硬化症(MS)と診断され,ステロイドなどの投与により症状の改善傾向はみられていた.しかし,再び両側の視力障害が増悪し当科を受診した.検査所見では頭部MRIにて橋中部の右側皮蓋部に病変を認めた.ステロイドパルス療法を行い,その後,経口prednisoloneの漸減投与を行った.治療開始後1週目ごろから症状の改善傾向がみられはじめ,味覚障害は入院4週後には完全に改善し,軽度の感音性難聴が残るのみとなった.入院8週後には難聴も消失した.また,頭部MRIでは,橋中部の病変は消失していた

基本情報

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臨床雑誌内科
93巻3号 (2004年3月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

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