発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2004159545
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36歳男.主訴は意識障害,歩行障害.腹部CTでは肝表面の不整,肝左葉腫大,脾腫を認めた.また,肝生検では偽小葉の形成,高度の線維化像,更に脂肪滴,マロリー小体を認め,アルコール性肝硬変と診断した.腹部MRAにて肝門部に拡大した傍臍静脈と下方へ伸びる直腸静脈叢への側副血行路を認めた.高アンモニア血症に対し,タンパク制限食と分岐鎖アミノ酸製剤の投与を行ったところ,血中のアンモニア窒素とFisher比の正常化を認め,意識障害は消失したが,痙性対麻痺の改善は認められなかった.また,禁酒による神経症状の改善もみられなかった.アルコール性肝硬変から著明な側副血行路が発達し,反復性脳症,即ち猪瀬型肝性脳症を繰り返した後に発症したhepatic myelopathyと診断した.尚,本例にはシャント術歴はなく,非常に稀なhepatic myelopathyであった
©Nankodo Co., Ltd., 2004