発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2004159546
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64歳男.主訴は前胸部不快感・呼吸困難.入院時検査所見では,血液検査にてBNPの著明な上昇と軽度の低タンパク血症,貧血,高脂血症を認めた.尿検査にて尿タンパク及びβ2 MGは上昇していた.入院時のA1b値では全身のうっ血を生じるほどではなく,その後,心臓超音波検査にて,左室拡張末期径59mmと拡大,左室内径短縮率16%,左室駆出率32%と,全体的な収縮能の著明な低下を認めた.呼吸苦の原因は心原性であると判断し,心臓カテーテル検査を施行した.左室造影にて左室収縮期容積114ml/m2,駆出率30%と,全体的に左室壁運動の低下を認めた.また,Swan-Ganzにての結果としては,肺動脈楔入圧21mmHgと上昇していた.冠動脈造影にて回旋枝は右冠動脈領域まで延長していた.心筋生検にて,左室心筋細胞の肥大・空胞形成,筋原線維の粗鬆化,脂肪組織の浸潤と心筋間質の著明な線維化を認めた.以上より,拡張型心筋症を合併した左単冠動脈症と診断した.微小冠循環の改善や心負荷の軽減,心筋リモデリング抑制を目的としてdipyridamole 50mg/day,azosemide 60mg/day,temocapril hydrochloride 4mg/dayの内服を開始し,現在,外来にて経過観察中である
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