臨床雑誌整形外科 67巻13号 (2016年12月)

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不安定型鎖骨遠位端骨折に対しアーム付きノンロッキングプレート(SP)を用いて骨接合術を行った103例(男性82例、女性21例、平均年齢47.6歳)の治療成績について検討した。骨折型は独自の方法で菱形靱帯が遠位骨片に付着したU I型:58例、菱形靱帯が遠位骨片から分離した第3骨片に付着したU II型:45例に分類された。手術法はU I型ではSP単独、U II型ではSP+併用手術を基本としたが、最終的には術中所見を踏まえて判断し、実際にはSP単独手術が70例、SP+併用手術が33例(経肩峰Kirschner鋼線固定12例、烏口鎖骨間縫合糸アンカー固定21例)であった。その結果、全例、術後6ヵ月で骨癒合が得られた。最終観察時の平均JOAスコアは97.1点で、U I型98.2点、U II型95.8点であった。JOAスコアが85点未満の成績不良例は3例であり、その内訳は59歳の腱板断裂合併未治療の1例、75歳以上の後期高齢者2例であった。合併症は、鎖骨遠位端でのSP突出による違和感が5例、肩鎖関節脱臼・亜脱臼が6例、感染が1例であった。

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人工股関節全置換術(THA)を行った39例を対象に、術後の急性期疼痛に対しセレコキシブを内服投与したC群19例とセレコキシブ内服に加え、アセトアミノフェンを点滴投与したCA群20例に分け、除痛効果について比較検討した。その結果、安静時痛VASの評価では、CA群はC群に比べ術後2・6時間、術翌日朝のVAS値が有意に低かった。歩行時痛VASは術前~退院時すべての期間で漸減傾向にあり、両群間で有意差はなかった。追加頓用鎮痛薬の使用回数は、CA群で有意に少なかった。以上の結果から、THAの術後疼痛に対し、術後24時間までのアセトアミノフェン製剤の点滴投与は安静時痛の改善に有用であると考えられた。

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人工関節全置換術を行った女性205例(TKA施行104例、THA施行101例)を対象に、骨粗鬆症と糖尿病(DM)の関連について検討した。その結果、原発性骨粗鬆症は142例(69.3%)で認め、うちDM合併例は37例(26.1%)であった。骨折を生じた45例中42例(93.3%)が骨粗鬆症を有していた。骨粗鬆症合併例の骨粗鬆症治療薬服用率はわずか33.1%であった。骨粗鬆症群を非骨粗鬆症群と比較すると、骨粗鬆症群で有意に年齢が高く、YAM値とBMIが低かった。DM合併率は有意差がなかったが、骨折は有意に骨粗鬆症患者で多かった。TKA施行群とTHA施行群の比較では、年齢、BMI、DMの合併率はTKA施行群で有意に高かったが、骨粗鬆症と骨折の合併率は両群間で有意差を認めなかった。

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原発性骨粗鬆症患者22例(うち女性21例)を対象にミノドロン酸マンスリー製剤投与による治療を3年間継続し、効果を検討した。その結果、橈骨BMDは1年後に約1.5%、2年後に約2.4%、3年後に約4%増加した。尿中Nxは投与3年で有意な低下を認めたが、基準値の下限値を下回った症例が2例存在した。有害事象としてふらつき感を2例、腹部不快感を2例、歯痛を1例に認めたが、服用を中止するような重篤な副作用はみられなかった。以上より、ミノドロン酸投与後3年まではBMDが経時的に増加するが、過剰な骨吸収抑制を認めた症例も存在することから、注意が必要と考えられた。

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15歳男児。筋力トレーニングとして鉄アレイを用いて両肘関節の屈伸運動を開始したところ、開始1ヵ月後より徐々に伸展制限が増強したため、発症約1ヵ月後に受診となった。初診時、肘関節ROMは自動・他動とも右-75°/135°、左-105°/132°と高度の屈曲拘縮が認められた。単純X線およびCT所見より両側上腕部骨化性筋炎と診断し、スポーツや関節ROM訓練を行わないよう指導して経過観察したところ、肘関節のROMは徐々に改善し、右は初診後6週で、左は6ヵ月で両側+5°/135°とROM制限が軽減した。単純X線で骨化性筋炎は両側とも初診後約6ヵ月で消失を認め、スポーツを許可した。初診後2年7ヵ月の時点で、肘関節のROM制限や疼痛は認めず、筋力も正常であった。

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39歳男性。右手関節部痛を主訴に受診し、Lichtman分類stage IIのKienboeck病と診断された。診断後は他院にて有頭骨短縮骨切り術および有頭有鉤間関節固定術が施行されたが、術後症状の悪化を認めたため、初診4年後に再診となった。再診時のX線、MRI所見でLichtman分類stage IIIBと病状の進行を認めたため、舟状大菱形小菱形骨間固定術を施行した。術後、疼痛は改善し、術後3年で平均健側比は、ROMで伸展87%/屈曲27%、握力で91%であった。術前での平均健側比はROMで伸展80%/屈曲6%、握力で52%であり、ROM、握力ともに改善が確認された。また、DASHスコアも術前の12.1から術後4.3へ改善し、原職復帰を果たしている。

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59歳男性。工事現場で重機のシャベル部分に荷物を乗せようとした際に、右手関節を腕時計の上からシャベルで挟まれ受傷し、救急搬送となった。単純X線・CT・MRI所見より三角骨骨折を伴う豆状骨脱臼と診断され、徒手整復を試みたが整復困難であり、腫脹と創部の状態が落ち着いた受傷後2週目に三角骨骨折部に陥入している豆状骨の摘出術を行った。その結果、退院後2週で原職復帰を果たし、術後6ヵ月の最終観察時点で左右差および手に関する愁訴なく良好な経過が得られている。

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76歳女性。既往として関節リウマチ(RA)を有していた。今回、3ヵ月前より誘因なく右母指・示指の屈曲障害が出現し受診となった。精査の結果、手根管症候群を合併した前骨間神経麻痺と診断され、保存的治療を4ヵ月間行うも症状の改善がみられなかったため、手術的治療を行った。本症例では手術所見からRAによる滑膜炎により正中神経および前骨間神経が周囲の軟部組織と癒着していたことが原因と考えられ、神経剥離術を施行した。術翌日より手指のしびれは軽快し、術後2年の時点で母指・示指の屈曲が可能となり、ピンチ動作も可能となった。

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22歳男性。仕事中に包丁で左母指を切ってから左母指指節間(IP)関節屈曲不能となり、受傷後約7週で手術目的で紹介となった。臨床経過および画像所見より、陳旧性長母指屈筋腱断裂と診断され、受傷後8週に腱形成を併用して二次的に端端縫合した。術翌日より伸展ブロックスプリントの中でのrubber band tractionに加え、Duran法を開始し、術後3週でスプリントをはずしての自動運動を、5週よりIP関節のブロッキング訓練を開始した。徐々にIP関節の自動屈曲は回復し、術後3ヵ月で調理師の仕事に復職した。術後1年4ヵ月の時点で母指自動ROMは中手指節間関節25°/72°(健側0°/60°)、IP関節-5°/55°(健側15°/75°)、%TAMは91%で、日本手外科学会長母指屈筋腱機能評価ではexcellentであった。

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9歳男児。左小指の腫瘤を主訴に近医を受診し、単純X線にて石灰化を指摘され、紹介となった。初診時の単純X線、MRI所見より、小指伸筋腱に発生したBPOP、軟部軟骨腫、石灰化腱炎などを考え、手術を行った。その結果、病理組織学的に石灰化腱膜性線維腫と診断され、再手術を行ったところ、腫瘍と腱の境界が不明瞭で辺縁切除は困難と考え、伸筋腱とともに腫瘍を切除し、長掌筋腱を用いて再建した。術後は2週の外固定後、可動域(ROM)訓練を開始した。術後1年の時点で再発なく、ROM制限も認められていない。

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症例1(75歳女性)、症例2(41歳男性)。両症例とも右肩痛を主訴に、X線およびCT所見より肩関節後方脱臼骨折と診断された。いずれもに全身麻酔と上肢神経ブロック後に徒手整復を試みたが整復不能で、連続性を保った後方の軟部組織を温存する観点から前方アプローチを選択したところ、肩甲下筋腱や関節包を切離せず、肩峰下滑液包内からの骨頭整復が可能であった。それぞれ術後7ヵ月、術後1年で骨折部の骨癒合が得られた。

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MRIにおける二重前十字靱帯(ACL)サインが外側半月バケツ柄状断裂の診断に有用であると仮定し、二重ACLサインの意義について検討した。その結果、二重ACLサインの外側半月バケツ柄状断裂に対する感度は41%、特異度は95%と、二重ACLサインが存在すれば、転位した外側半月バケツ柄状断裂が存在している可能性の高いことが示唆された。

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症例1(91歳男性)。施設入所中に発熱、呼吸困難、右手関節痛が出現し、救急搬送となった。所見では右手背から前腕に紫色化と水疱形成が拡大し、血液培養でG群溶連菌を認めたことから、G群溶血性連鎖球菌による壊死性筋膜炎と診断した。右手背の壊死皮膚の切除と前腕背側の皮膚切開、抗菌薬投与やDIC治療などの集学的治療を行い、創治癒が得られた。症例2(83歳女性)。左足関節~下腿前面に腫脹と水疱形成を認め、内科を受診後、整形外科へ紹介となった。初診時、左大腿~下腿に広範囲にわたる水疱形成を認め、細菌培養にてG群溶連菌が検出され、G群溶血性連鎖球菌による壊死性筋膜炎と診断、大腿切断術が施行された。術中大量輸血を行い、抗菌薬治療を開始したが、循環不全のため翌日死亡となった。尚、この症例2で救命できなかった要因としては、水疱出現からすでに3日経過しており、全身状態の悪化も重なり、発症後の経過が長かったことが考えられた。

X線診断Q&A 吉村 康夫

基本情報

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臨床雑誌整形外科
67巻13号 (2016年12月)
電子版ISSN:2432-9444 印刷版ISSN:0030-5901 南江堂

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