臨床皮膚泌尿器科 19巻10号 (1965年10月)

皮膚科図譜・206

色素失調症 笹井 陽一郎
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 症 例 2歳,女児。

 現病歴 生後2週頃,躯幹および四肢に小水疱を生じた。それらは間もなく消失し,あとに色素沈着をのこした。知能および身体の発育は普通。

皮膚科図譜・207

汗孔角化症 笹井 陽一郎
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 症 例 31歳,男。

 現病歴 20歳頃,背部および四肢に褐色の点状斑があるのに気付いた。自覚症がないので放置しておいたところ,それは遠心性に拡大して環状となり,かつ次第に数を増してきた。

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Congenital Skin Defect 浦上 芳達
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I.緒 言

 先天性皮膚欠損症は分娩時既に皮膚の一部に欠損を認めるもので,Campbell1)(1826)以来欧米では百数十例の報告を見るが,我国では難波2)(昭6)の発表以来未だ20例をかぞえるに過ぎず,極めて稀れな疾患とされている。

 著者は最近典型的な本症例の1例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。

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I.緒言

 原田氏病,Vogt—小柳氏病は非外傷性に,交感性眼炎は外傷後に発生する重篤なる葡萄膜炎で,何れも眼病変と共に白斑,白毛を来すことが知られており,非外傷性の葡萄膜炎の中,脈絡膜炎の症状を主とするものを原田氏病,虹彩毛様体炎の症状を主とするものをVogt—小柳氏病と呼ばれている。原田氏病,Vogt—小柳氏病共に,初期には頭痛,嘔吐,発熱等の脳膜症状がみられ,眼症状発生と共に,難聴,白斑,白毛,脱毛等の合併症状を来すが,これらは必ずしも必発の症状でなく,殊に白斑,白毛,脱毛の三つの皮膚症状を伴つた例は比較的稀である。1906年Vogt1)は非外傷性の葡萄膜炎に白斑と白毛を併発することを記載し,1929年小柳2)は,更に脱毛と難聴を加えて1症候群とした。また,原田3)は1926年に網膜剥離を伴う急性瀰漫性脈絡膜炎について報告している。その後,眼科方面よりの報告は比較的多いが,皮膚科方面よりの報告は少い。

 私共は最近,白斑,脱毛及び白毛を併発した原田氏病の1例を経験したので,ここに報告する。

尋常性天疱瘡剖検例 大沼 秀雄
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I.はじめに

 最近著者は間擦部位において増殖性の変化を呈した尋常性天疱瘡の1症例を経験し剖検する機会を得たので報告する。

 尋常性天疱瘡,増殖性天疱瘡,落葉性天疱瘡は互に移行がみられるといわれ,一方天疱瘡についての報告は本邦においても数多くみられるが,著者は尋常性天疱瘡,増殖性天疱瘡について本邦例を中心に若干の文献的考察を試みた。

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I.はじめに

 Andrewesによれば,疱疹ウィルス群は次の5つに分類される1)。即ち,

1) Herpesvirus hominis (Herpes Simplsx Virus)

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I.緒言

血液凝固阻止剤であるHeparinがMcLeanにより肝臓エキス中から発見されて既に約50年経過するが,その間しばしば同剤が惹起した重篤な副作用を少なくし,而も抗凝血作用を示す外,脂血清澄作用,脱コレステロール作用,線維素溶解促進作用,抗炎作用,抗ビアルロニダーゼ作用等を有する物質として種々のHeparinoidが合成されている。同剤はHeparinと同じく多糖類の硫酸エステル(Polysaccharidschwefelsäureester)より成り,現在動脈硬化症に主として用いられる他,皮膚科領域では硬化性瘢痕,ケロイド,及び凍瘡,血栓性静脈炎の如く末梢血行障害に基因する諸疾患に対する局所的効果が確認されている。

 さてMDS錠は新しく改良合成されたHeparinoidで,従来のものとは異なりその化学性質は極限粘度0.022〜0.028,S含有率17.0〜20.0%,平均分子量7,000〜8,000といわれ,単に高コレステロール値を低下するのみならず,特に脂血清澄効果が高く(清澄因子を強力に活性化する)脂質代謝障害を充分改善化に導くといわれ,且つ凝血時間の延長が軽微なるため毒性が少なく,長期連用に適した薬剤であることが確認されている。

 今回本剤を尋常性乾癬及び脂質代謝異常が重要な発症因子と考えられている脂漏性湿疹,尋常性痤瘡患者に応用し,次の如き治療成績を得たので報告する。

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I.緒 言

 泌尿器科領域における麻酔も一般外科手術における麻酔と原則的には変りはないが,そのとり扱う患者からみて,次のような特殊性をあげることができるであろう。第一に高齢者が多いことで,試みに最近3年間にわれわれのとり扱つた60歳以上の手術症例数を外科と比較してみると,泌尿器科では外科の約2倍に達し,高齢者の占める比率が著しく高い。次に副腎外科では患者管理の面で特殊な考慮を必要とし,とくにPheochromocy—tomaでは麻酔の面でも問題が多い。その他TURに伴う特有な問題や,腎機能不全とくに尿毒症患者の麻酔に伴う合併症,さらに最近は幼小児の諸検査に全身麻酔を必要とする例が多くなつたことなどをあげることができよう。

 以下,これまで東北大学においてわれわれの経験した泌尿器科領域の麻酔について統計的観察を行なうとともに,その特殊性に関連した二,三の問題について検討を加えてみたいと思う。

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I.緒 言

 嚢胞腎は数ある腎疾患の中で最も遺伝的要素の強い先天的家族的に発生する疾患であるとされており,これは幼児型と成人型に大別されている。幼児型のものは死産,或は生後数ヵ月より1年以内に死亡するのが殆んどであり,成人型のものは30代以後の中年層より見られるものとされていて,この幼児型と成人型の間の年齢層にはあまり見られないとされて,殊に小児の場合の報告例は数少い。しかし,幼児型のものは別として,成人型に見られるあのブドウの房状の巨大な嚢胞は,一朝一夕にして形成されるものではなく,幼少時より徐々に長年月をかけて形成されてゆくものと考えられる。

 我々は最近,3歳女子の本症例を経験し,これが小児に見られる成人型の初期のものであると考えられるので,ここに症例と共に若干の文献及び当教室における本症の統計的観察を加え報告する。

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I.緒 言

 結石腎あるいは感染腎に合併して萎縮した腎実質が脂肪組織によつつて置きかえられる所謂fatty replacementや腎周囲の脂肪増殖であるperinephritis fibrosa sclerolipomatosaなどをみることは左程稀ではない。しかし腎周囲の一部,ことに腎門部ないしは腎盂周囲に限局して脂肪組織が腫瘍性に増殖した例は極めて稀である。我々は最近結石腎にみられた本症を2例経験したので報告する。

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I.緒 言

 骨盤内臓器の手術,特に子宮,直腸の悪性腫瘍に対して行われる広汎性摘出術後に発生する排尿障碍は,その原疾患の性質上止むを得ないこととも老えられるがその治療面においてしばしば困難を感じ,患者の訴える愁訴も多く以後の日常生活を送るうえに不自由を覚え,さらには癌の再発によらずして尿路機能不全のため死に至るものさえあり,特に婦人科領域においては尿管,膀胱損傷と共に重大な泌尿器科的合併症の一つと考えられる。そのために泌尿器科医を訪れるものもまれではない。

 我々は過去5年間に骨盤内諸臓器の手術後に発生した神経因性膀胱18例を経験し,その病態及び治療につきいささかの知見を得たと思われるので文献的考察を加え報告する。

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I.はじめに

 本症は比較的稀な疾患であると考えられて来たが,1962年Bergmanらによれば既に欧米例は500例をこすであろうと記載され,本邦例も1962年北山の集録によれば69例にのぼるとされ,もはや稀な疾患との観念は改められようとしている。

 しかしながら本症はその臨床症状に特有のものがなく,解剖学的関係からも腫瘍像を描出することが常に必ずしも容易ではなく,上部尿路の病変が本症の病像を混乱させることもあり,こういつた諸点から術前診断は誤まられやすく,しかもその予後が極めて不良の場合の多いことなど,泌尿器科領域において要注意疾患に属すると言わねばならない。

人事消息・ニュース
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名和田 素 平氏 (山口大泌尿器科助教授)辞職し開業         (7月31日)

久 世 益 治氏 (山口大泌尿器科講師)同助教授に昇任(8月1日)

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I.はしがき

 性生活に関する諸問題は当事者以外には極めて秘密に属するものであるが,それが個人的には勿論,社会的に及ぼす影響も極めて大きなものである。即ち第二次大戦後我が国に於いては性解放が叫ばれ,誤れる性知識の氾濫に伴い,所謂Sexual neuroseが原因となり家庭の不和を惹起し,遂には離婚沙汰を来した例も多いといわれている。一方米国に於いては1948年Kinsey等1)は20,000人の成人男女の性生活について詳細なる調査を行い,またFinkel2)(1959年),Newmann3)(1960年)等は白色人種及び黒色人種の老年期に於ける性生活について述べている。本邦に於いては未だ性生活についての報告は少くその実態も全く不明である。よつて私達は炭鉱労務者733人,医師会員900人計1633人に対してアンケートによる性生活様式について調査し,いささかの興味ある成績が得られたと思われるので文献的考察を加えてここに報告する。

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I.緒 言

 α—Chymotrypsin製剤であるKimopsinが消炎,浮腫消退,粘液溶解性,線溶性など多岐にわたる作用を有することは既に知られており,泌尿器科領域においても多数の使用経験などの報告がみられるが,従来のその投与法は注射および口腔錠によるものであつて,内服剤の出現が強く望まれていた。私達は今回エーザイ株式会社よりKimopsin腸溶錠の提供を受けたのでその使用経験について報告する。

Conray Angio-Conrayの使用経験 浅井 順
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I.はじめに

 1929年Uroselektanが合成されてより今日まで,尿路血管造影剤の改良が次々と行なわれ,最近では優秀な影像を,大した副作用もなく得られる様になつた。現在使用されている造影剤は3個のIを含有した有機化合物が主体をなしている。 今回等一製薬よりConray及びAngio-Conrayの提供をうけ,之を試用する機会を得たので報告する。

思いつくまま(46) 重松 俊
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 学会の民主化がさけばれてから20年になるが,少しも民主化されておらず最近になつて再び旧の様な状態になりつつあると思う。例えば文部省の研究費配分を見ても,貰つておる人は毎年同じ人ばかり,而も同じ人があつちでもこつちでも貰つておる。実際的に研究費が多くあるに越したことはないが,どうかすると驚く程貰つておることになる。自分の教室の研究費もあることであろうし,それを加えると一寸数千万円になると言つても過言ではあるまい。それではそれだけの研究をはたしてやつておるかと言えば決してそうでない。中には発表さえしなくて,一体はたしてやつておるかと思われることさえある。自分達ばかりで研究班なんて作つて,その内容をきいてみると大したこともなく,そんな事ならおれでもやつておると思つても,私みた様に未だに一前のウロローグとして認められておらないのはやつぱり私が皮膚科学より転学し,而も医学それも私立出身というためであろうか。そうした仲間には入れてもら得ない。或人にきいて見たら「桃梨物言はず道自ら通ず」ということを返事いただいた。此の事から考えれば,"おまえが研究班にでも入れられないのはおまえのやつておる研究がつまらぬのだ。もつといい研究をやりさえすればそれを認めてくれて,いつでも加えて貰えるのだ。だからもつと勉強しなさい"。という事だろうと思つて努力はしておるものの,生来愚鈍な私は少しも成績が上らず,泌尿器科学を専攻してから10年になるが,日暮れて道尚遠しの感がある。処が自分独りいくら勉強し,力んでも教室員達が勉強して呉れなくてはどうにもならない。研究テーマーを申してもやつて呉れないから,自分独りでやろうと思つてもなかなか進捗せず悲しくなる。而も自分ばかり研究費を使用する訳にゆかず,それかと言つて俸給をどんどんつぎ込むことも出来ず,自分専用の研究補助員一人雇うことさえ出来ない状態である。

 一体それではどうすればいいかといえば皆目私には分らない。

文献紹介

霊長類の爪再生,他
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 リスザルの爪は爪甲にメラニン顆粒を含む他は,形態的・組織学的に人類の爪によく似ている。リスザルの爪甲を剥難すると,爪床および爪下皮の表皮はほとんど剥脱するが,爪母の上皮深層部は保存される。24時間後,再生表皮が剥難面の辺縁部から中心に向かつて伸び出す。ここに有糸核分裂およびグリコーゲンの増加が証される。錯角化も認められるが,72時間後には正常角化がみられるようになる。48時間後,爪母部に爪甲が現れ始める。4日後,剥難面の表皮形成は完了する。爪母は表皮形成には関与しない。錯角化角質層は成長する爪甲と共に先端に向つて進行するが,爪床自身は動かない。正常爪甲は18日後に完成する。爪の剥難という侵襲は爪の再成には影響しない。上述の爪の再生過程は,勿論時間的な差違はあるが,人類のそれとほぼ同様であると考えられる。

(Nardo Zaias : The Regenera—tion of the Primate Nail Studies of the Squirrel Morkey, Saimiri J. Invest. Dermat. 44 ; 107, 1965)

泌尿器科図譜・206

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患 者 生後20日 男子

主 訴 下腹部充血性腫瘤及び尿漏出

泌尿器科図譜・207

包皮石症 折笠 精一 , 阿部 弥理
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症 例 水○政○ 5歳 男子

 現病歴・既往歴 生後1ヵ月目に脊椎破裂の手術を受けた。術後尿線の形成がなくいつも失禁状態にあることに気附き,生後3ヵ月目に当科受診,脊椎破裂による神経因性膀胱及び真性包茎の診断を受けた。以後失禁状態を続けていた所,生後10ヵ月目頃より陰茎の腫張と包皮輪よりの出血及び小結石の排泄を見る様になつた。1年程前より陰茎の腫脹が段々と増大して来たので5歳時に再度来院した。

海外見聞記・23

第60回AUA総会印象記(2) 田崎 寛
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一般演説の中から目立つたものを拾つてみることにする

 Experience with Ultraviolet Cystoscopy in Pa—tients with Bladder Tumorsという演題はNew YorkのMemorial HospitalのDr.W.F.Whitmnore,Jr.とI.M.Bushとにより発表されたが今回の総会で最も注目されたものの一つであつた。これはMercury-arcを光源としfiber optic transmissionを使つた新型Cysto—scopeで,患者に予めTetra cyclineを飲ませておきそれが病変部で発する螢光を見ようというもの。同じ原理は胃鏡で既に実用化されようとしているので全くori—ginalのideaではないが膀胱腫瘍の組織診断は容易でないことが多いし,また多発性と再発性を特徴とするだけにこれを膀胱鏡に応用しようという試みは買われる。特に初期の癌と炎症性変化の鑑別に有用性を強調していた。carcinomaの内48病巣に螢光を認め3病巣に認めず一方papillomaでは2病巣にのみ螢光を認め,11病巣には螢光を認めなかつたとの事である。なお尿沈渣の細胞についてはこの方法はうまく行かなかつたと述べた。

外国文献

DER HAUTARZT 15:12, 1964,他

基本情報

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臨床皮膚泌尿器科
19巻10号 (1965年10月)
電子版ISSN:2188-6164 印刷版ISSN:2188-6156 医学書院

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