文献紹介
霊長類の爪再生,他
pp.958
発行日 1965年10月1日
Published Date 1965/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204185
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リスザルの爪は爪甲にメラニン顆粒を含む他は,形態的・組織学的に人類の爪によく似ている。リスザルの爪甲を剥難すると,爪床および爪下皮の表皮はほとんど剥脱するが,爪母の上皮深層部は保存される。24時間後,再生表皮が剥難面の辺縁部から中心に向かつて伸び出す。ここに有糸核分裂およびグリコーゲンの増加が証される。錯角化も認められるが,72時間後には正常角化がみられるようになる。48時間後,爪母部に爪甲が現れ始める。4日後,剥難面の表皮形成は完了する。爪母は表皮形成には関与しない。錯角化角質層は成長する爪甲と共に先端に向つて進行するが,爪床自身は動かない。正常爪甲は18日後に完成する。爪の剥難という侵襲は爪の再成には影響しない。上述の爪の再生過程は,勿論時間的な差違はあるが,人類のそれとほぼ同様であると考えられる。
(Nardo Zaias : The Regenera—tion of the Primate Nail Studies of the Squirrel Morkey, Saimiri J. Invest. Dermat. 44 ; 107, 1965)
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