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皮膚泌尿器科領域に於ける結核症について—第I報統計的観察
星子 未知男
1
,
中山 靖佐
1
,
稻富 洲
1
1門司鐵道病院皮膚科泌尿器科
pp.882-884
発行日 1953年12月1日
Published Date 1953/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201116
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緒言
結核と言う病變は,凡ての疾患に於て廣汎な領域を占據しているものであると同時に,皮膚泌尿生殖器の領域に於ても非常に重大な役割を演ずるものである。
結核症の治療は1890年Robert Kochがシアン化金カリウムに抗結核作用があることを認めて以來今日迄,枚擧に遑のない程種々の化學療法劑が試みられたが,その殆んとが無効か又は之に近い成績であつた。然しこの極めて困難である結核の化學療法に希望の曙光を與えたのはSulfon誘導體の抗結核作用の發見であつた。その後Waksm-anによるStreptomycinの發見,LehmanによるPara-amilosalicylic acidの結核菌に對する強力な發育阻止力の確認以來,結核の化學療法は斯界の注目を浴びた。次いでDomagk等によりThiosemicarbazone劑,TbI/698が發見され,結核の治療に相當の効果が認められた。このTbI/698を基礎としてこの類似體に關して一連の尨大な系統的研究の結果Isonicotinic acid hydrazidの結核菌に對する抗菌力が認められ,最近各國の研究者達により結核治療としてのhydrazideの研究が強力に推進されて來た。この結果各種結核症特に皮泌科領域に於ける結核症の豫後は一變された觀があるが,本領域に於ける結核症の終戰後本日迄の趨勢を調査する事は些さか有意ではないかと思い試みた。
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