保健師ジャーナル 75巻2号 (2019年2月)

特集 受動喫煙対策の実践—2020改正法施行に向けて

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受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が2020年4月に全面施行されることになった。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控えて受動喫煙対策を求める声が強まる中,法改正を契機に,受動喫煙対策に焦点を当てて,これまでの受動喫煙対策の経過やエビデンスを踏まえつつ,さまざまな実践例を紹介する。

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2018年7月に成立した受動喫煙防止対策強化のための健康増進法改正に関連し,わが国のたばこ対策の経緯と,今後の受動喫煙対策推進の方向性について述べる。

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受動喫煙が人体に与える健康影響について,これまで蓄積された報告を基に解説するとともに,加熱式たばこについても受動喫煙に相当する二次曝露が発生することを報告する。

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東京都では健康増進法改正に先んじて,2017年に子どもを受動喫煙から守る条例,2018年に受動喫煙防止条例を定めるなど,東京2020大会をにらんで受動喫煙防止対策を強化している。条例制定の経緯や今後の取り組みについて解説する。

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北海道美唄市では全国に先駆けて市内全域を対象とした受動喫煙防止条例を制定している。制定は,状況把握と要因分析からの健康課題の焦点化,庁内外への働きかけや保健活動を背景として実現したものであり,制定までの経緯や成果,今後の展望について報告する。

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岐阜県郡上市では,受動喫煙防止を目指した母子保健事業とし,岐阜大学医学部看護学科と協力し,妊産婦とそのパートナーを対象とした禁煙サポートプログラムに,指導者である保健師・助産師の人材育成に焦点を当てて取り組んだ。ここではその取り組みについて紹介する。

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デパート健康保険組合では,医療費の適正化とQOLの向上を目標とし,加入事業所との協働(コラボ)で被保険者に対してさまざまな対策を講じてきた。その1つが喫煙対策であり,喫煙状況把握,健康教育,禁煙補助プロジェクトを3本柱とする喫煙対策モデル事業に取り組んできた。その内容と成果について紹介する。

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ヤフー株式会社では,禁煙に向けた講義や勉強会,遠隔禁煙外来を無料で受けられるプログラムの提供などの禁煙支援に取り組むほか,2020年度までに職場内の全ての喫煙所を閉鎖することに向けた啓発・環境整備,受動喫煙対策を強力に推進している。その取り組みについて紹介する。

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はじめに

 健診を終えた親子に,スタッフが声を掛ける。「今日は〇〇ちゃんに絵本を読ませてもらいますね。お母さんもどうぞ一緒に楽しんでいってください」。スタッフが絵本を読むと,赤ちゃんは読み手の顔をじっと見つめたり,手足をばたばたさせたりと,一人ひとり,その子なりの方法で個性豊かに応えてくれる。そんな赤ちゃんのかわいらしい様子に,保護者も次第に和らいだ表情になっていく。最後に,地域の子育て支援情報とともに絵本をプレゼントする——。

 ブックスタートは,乳児健診などの機会に,読みきかせの体験と共に赤ちゃんに絵本をプレゼントする自治体の事業だ。その自治体に誕生した「すべての赤ちゃん」を対象とすること,そして単に絵本を渡すだけでなく「体験と絵本をセット」で届けることが大切にされている。母子保健や子育て支援担当課,図書館などの自治体の各部署や市民ボランティアの連携のもと,現在,全国の約6割の自治体で実施されている(2018年12月末現在NPOブックスタート調べ)。

 「ブックスタート」という言葉の響きから,本や読書に関する事業だと思われがちだが,実はこの事業を母子保健から切り離して考えることは難しい。母子保健担当課が事業に関わることにより,事業そのものが充実するのと同時に,要支援の親子へのフォローなど,母子保健の中でかねてより重視されてきた課題の解決にもつながっている。ブックスタート事業は,さまざまな立場の人が関わる中で,子育て支援,市民協働,まちづくりなど,多方面からその可能性が見出されているが,本稿では「母子保健」における可能性や意義に焦点を当てて紹介したい。

 

 2001年に自治体の事業として始まったブックスタート。対象はその地域に生まれた「すべて」の赤ちゃんだ。乳児健診等の機会に,行政と市民が連携しながら,絵本を開く楽しい「体験」と「絵本」をセットでプレゼントする本事業は,現在,全国の約6割の自治体に広がっている。

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認知症家族介護者の介護負担と心理状態

 厚生労働省の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)では,介護者支援を中心施策の1つに定め,心理的ケアも含めた包括的な支援が必要としている1)。認知症介護に携わる家族介護者(以下,家族介護者)は,認知症患者(以下,患者さん)の認知機能・生活機能低下への支援,Behavioral and Psychiatric Symptoms of Dementia(BPSD)への対応,患者さんの失われていく機能への悲哀,家族内の役割変化とそれをめぐる不和,家族介護者自身の余暇や社会的つながりの減少,などにより,心理・身体的に大きな負荷を経験する。

 家族介護者の抑うつ・不安の有病率は30〜50%と報告されており2),家族介護者の心理状態の悪化は,虐待や,患者さんの施設入所の早まりと関係する3)。介護者への心理社会的支援によって施設入所を遅らせることができることも示されている4,5)

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はじめに

 2004年に示された精神保健医療福祉の改革ビジョン1)により,精神障害者の地域移行推進政策が推進されている。これに伴い,地域で生活する精神障害者が増加し,病状悪化を来した者に住民が出会う頻度が増加している可能性がある2)

 公衆衛生の現場では,精神障害者の言動等に関する住民からの苦情への対応が課題となっており3),精神障害者に対する近隣住民の苦情内容を明らかにした研究2)では,「精神科病院に入院させてほしい」「転居させてほしい」など,地域での受け入れを拒む内容が示されている。これは日常生活の中での苦情であり,自傷他害によって入院となった措置入院者に対しては,より一層地域での受け入れが困難となる可能性がある。

 また,2017年に厚生労働省が示した「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会報告書」4)によると,都道府県等は,措置入院中から,全ての措置入院者に「退院後支援計画」を作成すること,保健所設置自治体が退院後も必要な支援を継続的に確保することが適当であると明記されている。そのため,保健所が措置入院者に対して,措置入院中から退院後も含めた継続的な支援をいかに実施するのか,その方策を明らかにする必要がある。

 そこで本調査は,近隣住民に受け入れられない措置入院者が地域で暮らせるようにするための保健所保健師の介入について明らかにすることを目的とした。

連載 ナカイタ発 保健師へのつぶやき・68

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 目黒区の女児虐待死亡事例を受けた児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議を経て,決定された「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」(2018〔平成30〕年7月20日)には,❶転居事例の児童相談所間・自治体間における情報共有の徹底,❷子どもの安全確認ができない場合の対応の徹底,❸児童相談所と警察の情報共有の強化,❹子どもの安全確保を最優先とした適切な一時保護や施設入所等の措置の実施,解除,❺乳幼児健診未受診者,未就園児,不就学児等の緊急把握の実施,❻「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」の策定の6点が,緊急に実施する重点対策として示されています。

 中でも❸児童相談所と警察の情報共有の強化については,当初「全件の情報共有の全国ルール化」により警察官が介入して保護者に警告を与えることで重大事件を防ぐという案で議論がなされていました。その後,日本子ども虐待防止学会(JaSPCAN)は,一律の全件共有のルール化は保護者からの相談や関係者・機関の虐待通告の抑止につながる可能性があるため,情報共有の必要性が高い場合に限るべきだとして厚労大臣に要請していました(2018年7月13日)。一律から一定の条件が加わり,拙速に事が運ぶことにはならず,とりあえず安堵です。

連載 地域・職域の健康課題の見える化と効果的な保健事業・6

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はじめに

 政府が2013年に「データヘルス計画」を打ち出してから5年が経過しました。この計画は,「増え続ける医療介護費の抑制」や「国民の健康寿命の延伸」を目的として,医療保険者が保有するレセプトや特定健診データなどの健康情報を活用し,被保険者に対する保健施策の展開を推進するものです。そのプロセスは,保健施策の立案(Plan),保健事業の実施(Do),効果の評価(Check),改善に向けた検証(Act)の4段階がありますが,医療保険者は,このPDCAサイクルを回し,積極的に医療費の適正化や,被保険者のQOLの向上を目指した取り組みを実施することが求められています。

 PDCAサイクルは,レセプトや特定健診データといった医療情報の分析をもとにした計画策定のステップ(Plan)から始まります。これまで,医療費の請求以外にはほとんど使われてこなかったレセプト等のデータは膨大で,“ビッグデータ”と呼ばれていますが,ただ単にデータが大量にあるだけでなく,その種類・構造は複雑なため,データ分析に時間と労力を必要とします。

 そのようなビッグデータの活用を支援するIT技術として,近年,注目を集めているのが,AI(Artificial Intelligence:人工知能)です。本稿では,AIを中心に,IT技術をどのように保健施策に生かすことができるかを,ご紹介したいと思います。

連載 数式不要!はめ込み統計学 保健師のための統計これだけ・2

変数の種類を知る 加藤 丈夫
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 前回の連載第1回では「p値」について学びました。忘れてしまった方もいるかもしれませんので,ここで簡単におさらいをしておきます。

連載 見たい統計 自在に分析! 保健医療福祉計画データウェアハウス・10

DPC導入の影響調査 岡本 悦司
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 2003年に一部の急性期病院においてDPC(Diagnosis-Procedure Combination;診断群分類)による包括払制が導入され,病院ごとの詳細なデータが「DPC導入の影響調査」として公表されている(以下,DPCデータ)。今回,そのうち「疾患別,手術別集計」という病院別の件数データについて,2010〜2016年の7年間分をデータウェアハウス(DWH)化した(www.jmedicine.com/DPC導入影響調査DWH.xlsx)

 元のデータには件数の他に,在院日数も含まれているが,在院日数は平均値であり加減算できないためDWH化には含めなかった。なお,病床機能報告と同様,10未満の数は10未満非表示ルールによりデータとして表示されないので留意が必要である。また,病院別データには,今回DWH化した「疾患別,手術別集計」の他に,「疾患別,手術有無別,処置1有無別」と「疾患別,手術有無別,処置2有無別」データがある。

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 社会状況が変化し,健康課題も複雑化・多様化する一方,限られた予算,人員体制の中,効果的・効率的な保健活動が求められています。そこで,統括保健師としては,PDCAサイクルで保健活動を展開させていくことと,そのための仕組みを作ることが重要な役割と考えます。

 北九州市では,PDCAサイクルに基づく保健活動の展開として,「地域づくり業務(地域保健活動)運営方針」を作成し,市民の健康な暮らしを推進しています。「地域づくり業務運営方針」とは,地域担当保健師が,地域において取り組む健康課題を明らかに(地区診断)し,その課題解決に向けた業務運営方針を毎年度作成するもので,統括保健師の部署にも提出します。作成の単位は,各区地域保健係長が作成する行政区レベルの「区地域保健活動指針」と,地域担当保健師が作成する約130ある校区レベルの「校区地域保健活動指針」の2つです。内容は,①データ等を活用した地域診断,②市の計画や重点課題を踏まえた区や校区において取り組むべき健康課題,③課題解決のための重点的な取り組み,④業務上の課題を解決するための目標(長期・短期),⑤事業活動計画,⑥評価指標からなり,これらを記載し,次年度の評価につなげます。ここから地域の特徴や実態,保健活動の状況が見えるので,本当に貴重な情報が詰まった資料だと思っています。

連載 ニュースウォーク・249

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 歌人,俵万智さんの第1歌集『サラダ記念日』(河出書房新社)は,刊行から31年間,単行本と文庫本合わせて280万部発行というミリオンセラーである。

 歌集が世に出たのは1987年5月8日,発行部数は3000部だった。その初版本が私の本棚にある。20代女性が,恋心,そのときの気分,さり気ない日常を詠んだ三十一文字を,いい年をした男が後生大事にしているのはいささか気恥ずかしい。今も歌集を開き一首を確かめている。

連載 研究室からのメッセージ・164

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History and Now

どのような機関なのでしょう?

 本学はJR新浦安を最寄駅とし,医療と芸術の融合および自立・連帯・希望・友愛を理念として2006(平成18)年に開学しました。開学時の理学療養学科,整復医療・トレーナー学科に加え,2011(平成23)年に看護学科が設置され,3学科からなる医療系大学です。看護学科では,看護師の他,選択により養護教諭1種と保健師を目指すことが可能です。保健師課程履修者は2年次末の選抜試験によって選抜され(最大40名),3年次から保健師に特化した学習を深めていきます。例年履修者の1割程度が新卒で保健師就職しており,卒後数年してから保健師として働く卒業生も増えてきています。

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基本情報

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保健師ジャーナル
75巻2号 (2019年2月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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