連載 地域・職域の健康課題の見える化と効果的な保健事業・6
IT活用でさらに効果的,効率的な保健施策へ
渡邉 拡人
1
1広島大学大学院医歯薬保健学研究科成人看護開発学
pp.154-159
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201125
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はじめに
政府が2013年に「データヘルス計画」を打ち出してから5年が経過しました。この計画は,「増え続ける医療介護費の抑制」や「国民の健康寿命の延伸」を目的として,医療保険者が保有するレセプトや特定健診データなどの健康情報を活用し,被保険者に対する保健施策の展開を推進するものです。そのプロセスは,保健施策の立案(Plan),保健事業の実施(Do),効果の評価(Check),改善に向けた検証(Act)の4段階がありますが,医療保険者は,このPDCAサイクルを回し,積極的に医療費の適正化や,被保険者のQOLの向上を目指した取り組みを実施することが求められています。
PDCAサイクルは,レセプトや特定健診データといった医療情報の分析をもとにした計画策定のステップ(Plan)から始まります。これまで,医療費の請求以外にはほとんど使われてこなかったレセプト等のデータは膨大で,“ビッグデータ”と呼ばれていますが,ただ単にデータが大量にあるだけでなく,その種類・構造は複雑なため,データ分析に時間と労力を必要とします。
そのようなビッグデータの活用を支援するIT技術として,近年,注目を集めているのが,AI(Artificial Intelligence:人工知能)です。本稿では,AIを中心に,IT技術をどのように保健施策に生かすことができるかを,ご紹介したいと思います。
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