調査報告
近隣住民に受け入れられない措置入院者が地域で暮らせるようにするための保健所保健師の介入
河本 裕香
1
,
榊原 文
2
1鳥取県三朝町健康福祉課
2島根大学医学部看護学科
pp.170-175
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201129
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はじめに
2004年に示された精神保健医療福祉の改革ビジョン1)により,精神障害者の地域移行推進政策が推進されている。これに伴い,地域で生活する精神障害者が増加し,病状悪化を来した者に住民が出会う頻度が増加している可能性がある2)。
公衆衛生の現場では,精神障害者の言動等に関する住民からの苦情への対応が課題となっており3),精神障害者に対する近隣住民の苦情内容を明らかにした研究2)では,「精神科病院に入院させてほしい」「転居させてほしい」など,地域での受け入れを拒む内容が示されている。これは日常生活の中での苦情であり,自傷他害によって入院となった措置入院者に対しては,より一層地域での受け入れが困難となる可能性がある。
また,2017年に厚生労働省が示した「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会報告書」4)によると,都道府県等は,措置入院中から,全ての措置入院者に「退院後支援計画」を作成すること,保健所設置自治体が退院後も必要な支援を継続的に確保することが適当であると明記されている。そのため,保健所が措置入院者に対して,措置入院中から退院後も含めた継続的な支援をいかに実施するのか,その方策を明らかにする必要がある。
そこで本調査は,近隣住民に受け入れられない措置入院者が地域で暮らせるようにするための保健所保健師の介入について明らかにすることを目的とした。
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