保健師ジャーナル 71巻6号 (2015年6月)

特集 健康日本21(第2次)の初期評価

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健康日本21(第2次)では,「健康の社会的決定要因への対策」として,健康格差の縮小,ソーシャル・キャピタルの向上など,さまざまな社会環境の整備を展開していく必要性が示されました。本号では,3年目を迎えた健康日本21の現状での課題を整理し,今後への展望について,さまざまな視点から述べていただきます。

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健康日本21の目標として,「健康寿命の延伸」「健康格差の縮小」がある。健康寿命の意義を確認し,その延伸のための戦略について述べるとともに,健康日本21の今後の展開についても提言していただく。

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健康日本21の取り組みの柱の1つとして「健康格差の縮小」が定着してきた。本稿では,「健康格差の縮小」に取り組む必要性を確認し,実現するための視点としての7つの原則を紹介していただく。

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健康日本21(第2次)を事業化するにあたって,健康格差の可視化は不可欠のポイントである。熊本県御船町において,健康格差の測定結果を「見える化」した取り組みを例に解説する。

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コミュニティにおけるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)について,「橋渡し型」と「結束型」および「社会関係資本の樹」という概念や,地域診断に活用する意義を述べていただく。

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労働安全衛生法の定めによる職場の健康管理とは異なり,健康日本21では,自らの選択による自らの健康管理を求めている。「自己選択」をキーワードに主体的な健康管理の必要性について述べていただく。

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大阪市では,健康増進計画の推進を目的として,ソーシャル・キャピタルの醸成に取り組んでいる。そのなかで保健師が果たす役割などについて述べていただく。

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川崎市多摩区の概要

 川崎市(以下,本市)は神奈川県の北東部にある人口約146万人の政令指定都市で,7つの行政区がある。その中でも多摩区は市の北西部に位置し(図1),多摩川や生田緑地等の多摩丘陵が広がり,かつては「多摩川梨」の栽培が盛んであった。現在ではJR1本,私鉄2本が通っており,都心への交通手段に恵まれている。2014(平成26)年10月1日現在,人口21万4138人,年齢3区分別人口の割合は,年少人口11.6%,生産年齢人口70.1%,老年人口18.4%であり,年間出生数約2000人である。

 2012(平成24)年の「多摩区こども・子育て実態調査」によると,妊娠・出産期に転入してきた家庭が多く,子育てにおける孤立感を4人に1人が感じている。一方,中高年世代では,地域に根づいた体操やウォーキング等の健康づくりの取り組みが活発である。

川崎市多摩区は,東日本大震災や住民へのアンケート結果を受けて,子育て世代が地域のつながりをもつことの重要性を再認識し,避難所までのルート確認を行う「防災ウォーキング」を企画・実行した。保健師等が地域の民生委員やボランティア等と協働した取り組みは,有事に備えて日頃から地域のつながりをもつことの重要性を住民に意識づけ,世代を超えた関係づくりをもたらした。

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はじめに

 厚生労働省健康局がん対策・健康増進課保健指導室(以下,保健指導室)では,自治体保健師の人数や所属領域,職位等について把握することを目的に,毎年全自治体を対象に「保健師活動領域調査【領域調査】」(以下,領域調査)を実施している。

 また,保健師の業務内容および業務量を把握することを目的に,無作為抽出で選出された都道府県・保健所設置市・市町村において地域保健福祉活動(介護保険業務を含む)に従事するすべての保健師を対象に,「保健師活動領域調査【活動調査】」(以下,活動調査)を3年に1回実施している。

 本稿では,これらの調査結果を概観しつつ,社会情勢の変化に伴う自治体保健師の活動領域や業務内容の変遷と活動の実態を整理し,今後の自治体保健師の活動のあり方等について展望してみたい。

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はじめに

 東京都世田谷区(以下,本区)では,「区民が生涯にわたり健やかでこころ豊かに暮らすことができる地域社会の実現」をめざし,「健康せたがやプラン(第二次)」(2012[平成24]年3月策定,以下,「プラン」)のもとで,さまざまな健康づくり施策に取り組んでいます。その1つとして,区民が自らの健康に関心をもち,主体的な行動をとれるよう,世代別の健康状況や医療費に関するデータを取りまとめた「データでみるせたがやの健康」を公表しています。

 本稿では,その作成のねらいや経過,データから見えてきた区民の健康課題にどのように取り組んでいくかなどについて報告します。

連載 ナカイタ発 保健師へのつぶやき・24

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 事例検討会は,関与事例の検討を通じて,対象理解,すなわち個人と個人を取り巻く家族,家族を取り巻く地域社会の関係性や葛藤,軋轢などの理解を促す手法の1つです。事例検討は,多様な視点でより効果的な対応策を導き,その状況改善に向けて行動できるという目的で行われるわけですが,ときには,事例を通じて資源の創出あるいは見直しにつながる作業でもあると念頭に置くことも重要です。

 重要な事例検討会とわかっていても遠のいてしまう背景としては,「サマリーを整理する時間的な余裕がない」「事例提供者の判断や行動を参加者からチェックされたり,一方的に指摘あるいは指導されたりする感覚になる」「事例に関する情報共有にとどまり,深まらない」などの声を聞きます。

連載 [事例集]新しい健康日本21へのヒント・25

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尾島(司会) 2013(平成25)年の5月号から始まったこの連載も,前回までで24回を数えました。健康日本21(第2次)で示された新たな方向性,すなわち「健康格差の縮小」や「社会環境の整備」に通じる保健活動の参考となる先行事例を紹介していくことを目的とした連載です。

 本日は約2年間にわたる連載(465ページの表2を参照)を振り返り,計画の最終年度である2023(平成35)年までを視野に入れて,今後の保健活動のあり方を展望したいと思います。

連載 保健師のための行政学入門・6

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避けて通れない人事異動

 公務員として奉職して最も驚いたことの1つが,人事異動に対する関心の高さである。3月中旬以降は,4月1日付の人事異動が発表される時期である。組織によっては,7月1日付や10月1日付で異動を発令するところもあるが,地方公務員の場合,最も多くの職員が異動するのはやはり4月1日だろう。読者の皆さんの中にも,急に異動になったので引き継ぎ資料を作るのが大変だった方がいらっしゃるかもしれない。

 国家公務員にとっても地方公務員にとっても,人事異動は避けて通れないイベントの1つである。自治体ごとに異動年限と呼ばれる目安があり,早い人で1〜2年,平均的には概ね3〜5年ごとに職場を変わることになる。地方公共団体によっては,異動年限に達している職員は異動したい部署を記載した異動希望書を出す制度を採っているところもある。異動年限に達していても異動がなかった職員は,年度当初から「今年は異動がなかったけど,来年度こそは絶対に異動になると思う」と落ち着かない。

連載 見方を変えると“場”が変わる 事例検討会の進め方・6

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 今回は,複数の家族構成員に多くの支援機関が関与している場合の支援チームの連携について検討した事例をとりあげます。

事例紹介

他部署から保健所の関わりを依頼された

うつ病の女性

■把握した経緯

 2014(平成26)年3月に,市役所の児童福祉担当課から,同課で担当している母子の再統合に向けて,うつ病の母の支援について保健所の関わりを依頼され,地区担当の船橋保健師が関わることとなった。

連載 ニュースウォーク・207

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 ここ数年,寒い季節になると知人から「茨城のほしいも」が届くようになった。彼の地の親戚から大量に送ってくるようで,その始末にわが家もひと役買わされているというわけだ。

 はじめは「なんだ,イモか」と少し軽んじていたが,電子レンジでチンしてみれば,いつのまにか舌になじんでおいしい。隣家にも配って,いまでは季節になるとその到来を気にするのだから,われながらおかしい。

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History and Now

どのような機関なのでしょう?

 本学は創立70年を迎えた単科医科大学です。看護師教育は附属厚生女学部,附属高等看護学校,看護短期大学部を経て,2004(平成16)年4月に医学部看護学科が開設されました。2012(平成24)年には大学院看護学研究科(修士課程)も開設し,同年に領域名称を地域看護学から公衆衛生看護学に変更しました。また,2015(平成27)年4月から在宅看護学領域(4名予定)が公衆衛生看護学領域(4名在籍)から独立しました。

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 “知りたいことを教えてくれる”本である。この1冊で母乳とその育児支援について,医学的な側面から社会的な側面まで,具体的で包括的に学ぶことができる。また,執筆者30名は,医師,助産師,カウンセラー等で,全員が国際認定ラクテーション・コンサルタントの資格を有している。

 2005年に実施された厚生労働省の調査において,産後早期の母親の多くが母乳に関する悩みを抱えていることが報告され,2007年には厚生労働省において「授乳・離乳の支援ガイド」がとりまとめられた。本ガイドの中で,妊娠中から出産後までの授乳の支援に関する基本的な考え方が示され,授乳の支援には,医師,助産師,保健師をはじめ,さまざまな関係者が支援に携わり,共通の基本的な考え方を共有する必要があることが示されている。一方,現場では母乳育児支援についてさまざまな考え方が交錯しており,戸惑うこともあるのではないだろうか。本書では,科学的根拠をもとに,わかりやすく支援方法が説明されており,学ぶべきことが多い。

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バックナンバー一覧

NEWS DIGEST
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保健・医療・福祉のこのひとつきの動き

「療養病床」

入院患者を削減へ

 団塊世代が全員75歳以上になる2025年に向け,在宅重視の医療体制づくりを進める厚生労働省は,寝たきりの高齢者らが長期に療養している「療養病床」の入院患者を減らす方針を固めた。入院患者の割合が全国最多の県を全国標準レベルに減らすなど,地域ごとに具体的な削減目標を設定する。

 厚労省のまとめでは,人口10万人あたりの療養病床の入院患者数(2011年)が最も多いのは,高知県の614人で,山口,熊本,鹿児島県と続き,西日本で多い傾向がある。最も少ないのは長野県の122人で,高知県はその約5倍になる。

今月の3冊プラス1

次号予告・編集後記

基本情報

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保健師ジャーナル
71巻6号 (2015年6月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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