助産雑誌 74巻8号 (2020年8月)

特集 胎児の病気が見つかった時 妊婦と家族のどんな選択も支える助産師に

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エコーも含む出生前検査や胎児診断が身近になった現在,おなかの赤ちゃんの病気—脊髄髄膜瘤,心臓病,ダウン症候群など—が分かることがあります。その場合,妊娠継続をするか,それとも産まない選択をするか,妊婦と家族は岐路に立たされます。

いずれを選択しても,また,生まれてから赤ちゃんの障害が分かっても,妊婦と家族が孤独にならないように支援される体制が望まれます。特集では,助産師をはじめとする医療者が,どのようにすると妊婦たちを支えられるのか,現在のサポート体制や意思決定の考え方などをご紹介し,臨床の助産師ができる,具体的な支援方法を考えていきたいと思います。

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医師,助産師,看護師,疾患を持つ当事者やその家族,エンジニア,法律家など,さまざまな立場の方で構成されているNPO法人親子の未来を支える会。胎児に疾患が見つかった時,その不安に対する具体的なアドバイスと共に寄り添う支援を行っています。妊婦や家族が安心して頼ることのできる活動内容をご紹介いただきました。

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出生前検査でおなかの赤ちゃんの病気が分かった時,妊娠継続するかどうか,決めるのは妊婦とその家族です。だからといって,医療者はその決断を待つだけではなく,状況を一緒に確認し,妊婦が自律的に意思決定するプロセスを共有することが望まれます。その道筋を,Shared Decision Making:共有(協働)意思決定の考え方を用いて解説いただきました。

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妊娠22週未満で,妊娠22週を過ぎてから,そして分娩時,NICU入院時など,胎児の病気が見つかると,さまざまな時期で妊婦と家族は悩みを抱えますが,それぞれの置かれた状況により対応やケアは違ってきます。いずれの場面にも「正解」はありませんが,臨床で働く助産師としていろいろなケースから得られた学びをご紹介いただきました。

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英国で出生前診断を受け,妊娠継続をするかどうか悩む女性の相談を受けているARC(Antenatal Results and Choices)の代表,ジェーン・フィッシャーさんにお話を伺いました。ARCの活動,スタッフの採用基準,相談内容,英国における出生前診断の受け止められ方など,とても興味深い内容となりました。

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現在,世界各国で実施されている胎児診断と胎児治療の技術の進歩は目覚ましいものがあります。本稿では,技術の進歩が著しかった30〜40年前からの歴史を振り返り,今できる診断と治療を解説し,今後,日本でも実施が見込まれる治療をご紹介いただきました。

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医療的ケア児がNICU退院後に自宅で生活する際,病院とは全く異なる環境で過ごすことになります。訪問看護師(助産師)はケアと同時に,児とご両親が心地よく家で過ごすための環境整備をご両親と共に行います。助産師が訪問看護ステーションに在籍する強みも併せて,在宅でのケアの実際をご紹介いただきました。

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はじめに

 『助産雑誌』72巻4号(2018年4月号)で,アデレード女性刑務所(オーストラリア・アデレード州)における女子受刑者への社会復帰に向けた取り組みについて報告しました1)。今回,同刑務所からのご紹介で,母子への支援が充実しており,その取り組みが西オーストラリア州全土の矯正施設においてモデルとなっている“Boronia Pre-release Centre for Women”(以下,センター)で研修を行ったので,本稿ではその内容を簡単にご紹介します。

 西オーストラリア州は,オーストラリア大陸の3分の1の面積を占める同国最大の州であり,広大な土地を有しています。人口は全土のわずか10%程度であり,約261万人の州人口のうち約8割が州都であるパース近郊に住んでいます。同州には17の刑務所があり,そのうち15カ所は州によって,2カ所は民間企業によって運営されています。2019年2月時点で,同州の受刑者数は6907人(男性6175人,女性732人)であり,人口の増加に伴い,受刑者数も増加傾向を示しています。このうち,アボリジニの割合は男性38%,女性45%であり,男女共に軽度,中等度,重度のレベル別に分けて収容され,全受刑者の85%は識字率が11歳(小学校高学年)程度です2)

 今回,研修を行ったセンターは,同州にある女子刑務所の1つであり,受刑者の出所前支援と社会復帰に焦点を当てた,オーストラリアの中でもユニークな取り組みをしている刑務所です。

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はじめに

 NICUに入院している新生児は,さまざまな種類と程度の痛みを伴う処置や検査を頻回に受けている。しかし新生児は,痛みを感じても言葉で表現することも,自分で対処することもできず,その経験のありようは他者に依存している。従って,診断や治療のためとはいえ,新生児に痛みを与えざるを得ない医療者には,新生児が経験する痛みを最小にすること,および新生児が発している痛みの表現を見逃さずに適切に対処することが求められる1)。しかし,小澤らが2018年に行った調査では各推奨内容の実施率は残念ながら高いものではなかった2)。今回の「NICUに入院している新生児の痛みのケアガイドライン2020年(改訂)版」(以下,改訂版)では,よりエビデンスレベルの高い研究結果を基に科学的根拠が示されており,改訂版の普及および各施設で推奨内容が実践できるよう支援活動を強化していくことも今後の大きな課題である。

この本,いかがですか?

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“対話でつながる両親学級を実践するための1冊”

 これまで,両親学級の内容や運営について,「参加者のニーズに合っているのか,役に立てているのか,夫を巻き込んだ進行が難しい……」など,困り事をお持ちの方はもちろん,バージョンアップを目指しておられる方の一助となる1冊として,本書をご紹介させていただきます。また,「新型コロナウイルスの感染拡大防止のために,これまでとは違った運営や支援の方法を考える必要があっても,なかなか時間を作れず困っている」,そんな思いにある方にも,何らかのヒントにしていただけたらと思っています。

 著者の渡辺氏は,自身の体験で感じた産後の大変さをサポートできればと,産前産後の家族を支援する会社を設立し,産後サポート事業や医療機関・地域にて,累計1万人以上の夫婦を対象に,両親学級を開催されているほか,年間100本ほど講演をされています。本書『ワタナベダイチ式! 両親学級のつくり方』は,そんな渡辺氏の両親学級運営のエッセンスが詰め込まれています。両親学級は,子育てについて夫婦でどのように話したらよいか(夫婦の対話)を練習し,帰宅後の本番に向けた準備をする場です。活動を続ける中で明らかになってきた「どのように対話したら良いかが分からない夫婦が多く,対話の感覚とやり方を身に付けることが彼らの支援になる」との実感が彼の活動の軸となっています。

連載 医療コミュニケーションことはじめ・1【新連載】

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 何事に取り組む際にも,心の中にこれからしたいことのイメージがはっきりと浮かんでいるかどうかは,目標を達成するために決定的に重要になってきます。このイメージのことを,「ビジョン」と言います。さらに,心の中にビジョンが浮かんでいたとしても,どのくらい明瞭で視覚的なイメージになっているかが重要です。そのため,身近に良い師となる人がいて,見習うことができれば学習がそれだけ楽になります。ロールモデルを探して,それに近づくように努力すると上達が早いのは,イメージがつくりやすいからです。

 医療コミュニケーションの連載を開始するに当たって,筆者が大切にしている医療コミュニケーションのイメージをお伝えするところから始めたいと思います。大切にしていることは二つ,「『医療の基本骨格』から見た医療コミュニケーション」と「やわらかな1.5人称」というコンセプトです。「『医療の基本骨格』から見た医療コミュニケーションの重要性」については連載の第1回となる本稿で解説し,「やわらかな1.5人称」については,次回以降に解説します。

連載 続・いのちをつなぐひとたち・20

杉浦加菜子さん
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世界のどこにいても,いつでも安心して妊娠・出産・育児ができるようオンラインで助産師とつながる仕組みを

住んでいる地域にかかわらず助産師とつながることができるサービス,「じょさんしonline」。チャレンジされている取り組みと,新型コロナウイルス流行による自粛期間中に行った緊急オンラインイベントなどのお話を代表の杉浦さんに伺いました。

連載 宝物,教えてください・54

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 写真中央の水色の紙が,私の宝物の一つです。助産師になりたての私が夜勤で分娩介助させていただいた時,その方が「こんなメモ紙でごめんなさい」と,手渡してくださったお手紙です。

 当時の私は,毎日,本当にいっぱいいっぱいで,あまりの自分の不出来さに落ち込み,日々苦しくなっていました。勤務していた病院は当時,分娩エリアは家族入室禁止だったため,彼女は陣痛室で一人きりで過ごすしかありませんでした。分娩担当となった新人で未熟者の私は,「痛い」「寒い」「熱い」と彼女が言葉を発するたびにおろおろし,何が最適かも分からずあれこれ策を練り,ただただそばに居ることしかできませんでした。

連載 ワタナベダイチが解説!両親学級アイスブレイク集 こんな時,どんなアイスブレイク?・5

この後どうなった? 渡辺 大地
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はじめに

 前回(7月号)のアイスブレイクの解説の中で,「アイスブレイクがプログラムの本編につながるような仕掛けができるとなお良い」と述べました。一般的にアイスブレイクは,受講者間の緊張をほぐしたり,集中力を高めたりするために用いられることが多いので,アイスブレイクがプログラムにつながっていく,という感覚は分かりづらいかもしれません。しかし,せっかく時間をとってアイスブレイクをするのですから,どうせなら本編のイントロダクションのような役割を持ってくれるとより良いですよね。

 今回は,そんな働きをしてくれるアイスブレイクを紹介します。先に,右ページの「進め方」をご覧ください。

連載 現場が変わる! チームに働きかける母性看護CNSの実践 現象学的分析編・4【最終回】

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▶現象学的分析編の第4回(最終回)を迎えて

 2019年1〜12月号にかけて,連載「現場が変わる!チームに働きかける母性看護CNSの実践」を掲載し,母性看護専門看護師(CNS)が,高度専門職として水準の高いケアを提供し,現場でどのような役割を果たしたか,漫画と事例紹介で可視化することに努めた。

 その後,9月号の事例提供者である八巻和子氏(助産師,甲府病院)に,村上靖彦氏(現象学者,大阪大学)が2時間にわたるインタビューを実施し,八巻氏の母性看護CNSとしての臨床経験や実践を通して感じた思いについて,対談形式でご紹介した(本誌12月号)。

 この度の連載では現象学的分析編として,八巻氏の母性看護CNSとしての10年間の歩みがより詳しく語られる。本号は最終回。連載第1回で(NICUで関わる母親と児が)「どうやって親子になっていくのか分からない」と言っていた八巻さんだが,現象学者である村上氏との語りを重ね,その「分からない」ことこそが,八巻さん自身の看護の本質であると,村上氏は述べる。

(『助産雑誌』編集室)

連載 りれー随筆・427

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 いろんな世界が見てみたい。そう思い,思い切って今まで勤めていた大学病院を退職し,オーストラリアへ渡航した。どうせなら日本でできない生活を送りたいと自然が多い田舎で過ごし,1年近く農業をし,テントで過ごしていた。鳥の鳴き声で目覚め,太陽と共に生活をする。洗濯物もできる限り手洗いだ。物に頼らない生活はとても新鮮で,真っ赤な月が昇る景色や時間と共に変わりゆく夕焼け雲,満月の光で影ができること等,自然の美しさや生活の大切さに気付くことができた。また,旅をする中でつらい思いをすることもたくさんあったが,その都度たくさんの人に精神面でも生活面でも支えられた。日本に居た時ももちろん家族や友人,同僚にたくさん支えられていたのだが,そのことを当たり前に感じてしまっていたと反省すると共に,今まで出会った仲間をとても愛おしく感じた。

 そんな生活の中で今まで何気なく使っていた生活用品に対して,環境にも人にも優しい自然な物を好むようになった。なぜならば品物によっては,自然由来の物とそうでない物とを比べた時に,品質自体に大きな差はないが自然環境への負担や,畑で働く人々,さらには畑の近くで生活する人々の健康面や生活環境が大きく違うということを知ったからだ。そして日本に帰ってからは,人と環境に優しい助産師になりたい,今までは支えられる側であったが,今度は私が助産師という仕事を通して,人々を支えていきたいと思うようになった。

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助産雑誌
74巻8号 (2020年8月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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