連載 5つのテーマで学ぶ女性ホルモン剤と血栓症・2
ピルの種類と血栓症の歴史
杉浦 和子
1,2
1名古屋市立大学看護学部
2名古屋市立大学大学院看護学研究科
pp.700-703
発行日 2021年9月25日
Published Date 2021/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201883
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今回の主なテーマ
・女性ホルモン製剤は,①エストロゲン製剤,②プロゲスチン製剤,③エストロゲンとプロゲスチンで構成される合剤(卵胞・黄体ホルモン配合剤)の3つに分類される。このうち,経口避妊薬は③の合剤で,一般にピルと言われ,エストロゲン含有量によって,高用量(50μg以上),中用量(50μg),低用量(50μg未満),超低用量(30μg未満)に分類される。
・ピルは,月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS,以下PMS),月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder:PMDD,以下PMDD)の改善にも効果があると言われる。
・血栓症には,静脈血栓塞栓症(以下,静脈血栓症)と動脈血栓塞栓症(以下,動脈血栓症)があり,いわゆるエコノミークラス症候群は静脈血栓症である。
・エストロゲンには血液凝固因子産生促進作用があり,ピルを服用するとまれに血栓症を起こすことがある。血栓症の誘発因子には,ウィルヒョウの3徴(血管壁損傷,血液凝固能亢進,血流のうっ滞)が提唱されている。ピルには,第1世代から第4世代まで複数の種類があり,その血栓症リスクはさまざまである。
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