助産雑誌 74巻9号 (2020年9月)

特集 助産師が学び,実践したい骨盤ケア

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赤ちゃんが生まれる−幸福に包まれる瞬間ですが,妊娠・出産を経ることによって損傷する部位もあります。その代表例が骨盤底筋群です。骨盤周囲の筋肉などを損傷することにより,出産後,尿・便失禁,骨盤臓器脱といった症状を経験するお母さんは少なくありません。

これらの疾患の予防・回復に,大きな役割を発揮するのが骨盤周囲へのケアです。特集では骨盤周囲の筋肉へのケアを学ぶことの意義や,多職種連携による産後の骨盤ケア実践,セルフケアを教える際のポイントに触れたいと思います。本特集を通じて得られた学びを,臨床での指導に生かしていただければ幸いです。

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妊娠・出産を経ると女性の骨盤底筋群が損傷され,尿失禁,便失禁などQOLに影響するさまざまな症状が表れます。本稿では,そういった骨盤底筋群の損傷による症状と,受けた損傷を治療するための訓練を解説していただきました。

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姿勢と呼吸からペリネ(骨盤底全体)に働きかける,ガスケアプローチ。本稿ではガスケアプローチを学ぶことによって取得できる,ペリネへの働きかけ方や,ペリネの保護の仕方について述べていただきました。

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骨盤臓器脱といった,骨盤底筋群の損傷を契機とした疾患を防ぐためには,骨盤へのケアが不可欠です。本稿では,日本骨盤ケア助産学会が目指す理学的視点を取り入れた助産ケアの必要性と,開催されているマリタルボンドクラスについてご執筆いただきました。

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亀田京橋クリニックでは,さまざまな医療職がチームを組み,「産後骨盤トラブル外来」での診療を行っています。本稿では,外来での診療の流れと,診察項目や,実践されている指導・ケア,そして外来における助産師の役割を解説していただきました。

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マミーサロンでは,妊婦さんや,産後のお母さんを対象とした,さまざまな種類の講座を開催されています。本稿では骨盤ケアクラスの簡単な紹介と,お母さん方に骨盤ケアを教える際のポイントを伺いました。

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本稿では,母子フィジカルサポート研究会が行った骨盤ケアの事例と,ケアにおけるポイントを述べていただきました。ケアによる姿勢などの改善点や,ケアをする際に着目しているポイントについて解説します。

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昨今,男性の育児休業(以下,育休)取得率が少しずつ増えています。しかし育休を取得するだけでは,お母さんが望むサポートを行うのは難しいと思われます。2019年,NPO法人ファザーリング・ジャパンが2歳以下のお子さんを持つご両親を対象に行った全国調査で,両親学級でお父さんが学んでいる内容や,産後に困っていることが明らかとなりました。今後,両親学級・父親学級でお父さんにどのような情報を届ければ良いのか,本稿を通じて考えたいと思います。

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医療や研究は常に進歩・更新されており,今,行っているケアが最善か,常に見直すためにも,ガイドラインの活用が望まれます。前版から4年を経て,『エビデンスに基づく助産ガイドライン』が改訂されました。推奨されるケアも見直され,新しいクリニカルクエスチョンも加わりました。その詳細をご紹介いただきます。

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緒言

 近年の国際化に伴い,日本における在住外国人数は増加しており,総人口の約2%と過去最多である1)。このうち国籍(出身地)欄「韓国」「朝鮮」は約17%を占めており,日本の在住外国人のうち2番目に多い1,2)。先行研究では,在住外国人は日本人に比べ母子保健制度利用が低いこと3)や妊娠中の体重増加が多く,妊娠中の異常が多いこと4)などが指摘されている。在住外国人の母子保健制度の格差には言語5,6),文化7,8),医療制度の違い5,7)などがあるが,特殊な歴史的背景を経て日本に定住している「在日コリアン」に関しては,多くは言語的ハンディキャップがなく,母子保健医療の諸制度も日本人同様に適応されている9)。在日コリアンの人口構成は日本人同様に高齢化,少子化が急激に進んでおり9,10),乳児死亡率などの母子保健統計も日本と同様の傾向を示している10)。しかし,日本で生まれ育った在日コリアンは,生まれた時から日本人同様の生活を送っている者が多く,また名前に関しても通称名(日本名)を利用している者がいることから,出産施設でも在日コリアンと把握されていないことも多い。そのため,母子保健に関する指標を正確に把握している調査はなく,さまざまな母子保健に関連する統計も,日本人全体の数字に含まれており,実態が明らかになっていない。一方で在日コリアンの伝統的価値観は強く11),儒教的な精神の下での家族主義は,妊娠・出産・育児などの家族形成に影響することが予測される。そのため,他の在住外国人同様に文化的背景の相違や生活習慣の違いから,日本人とは異なる特徴があるのではないかと推測された。

 そこで,本研究の目的は,在日コリアン女性の母子保健に関する指標と母子保健制度の利用状況について明らかにし,必要な支援について検討することとした。

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 皆さんは「ファシリテーションとは?」と聞かれたら,どのようなことを想像するだろうか。私が助産教員として初めてこの言葉を聞いた時,英語の「facilitation」=「円滑化,促進」は理解していたが,正直なところ「ファシリテーターは難しそう,できそうにない,何をしていいか分からない」という,漠然とした不安を抱いていた。そんな時,本書の著者が主催するセミナーの中で,「ファシリテーターは助産師に例えられる」というひと言があり,すっと腑に落ちたことを今でも鮮明に覚えている。

 助産師は,全てのライフステージにおける女性とその家族への支援をする専門職である。しかし,多くの人がイメージする助産師の仕事とは,出産に立ち会い,産婦と生まれてくる赤ちゃんへの支援だと推察される。分娩介助における基本的な支援技術の目標の一つに,「分娩に対する産婦とその家族の満足度が得られる介助支援であること。つまり,産婦自身の主体性を重視し,『産ませてもらう』意識から『産む』実感が得られるようにすること」1)がある。すなわち,あくまでも主役は産婦と赤ちゃんであり,助産師の役割は分娩時におけるファシリテーターなのである。分娩が安全かつ円滑に進行するよう,そして助産師が赤ちゃんを産ませるのではなく,産婦が持つ力を引き出し自ら産めるよう主体性を促す支援が助産師の仕事なのだ。

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指摘事項に一層の取り組みを

 2009年に産科医療補償制度が創設され10年が過ぎました。この間,さまざまな取り組みが行われてきましたが,同じ分娩取扱機関で数回にわたり,制度による補償を行った事案がありました。そこで,産科医療補償制度原因分析委員会が,この同じ分娩取扱機関で発生した複数事案の原因分析を行いました。その結果,この分娩取扱機関では,原因分析報告書で指摘された事項について「改善されていなかった」ことが分かりました。

 原因分析委員会では,同じ分娩取扱機関に同じような指摘が繰り返し行われた場合,当該施設に対し原因分析報告書を送付する際に,指摘事項について一層の改善取り組みを要請するため,「原因分析報告書の送付にあたり」という別紙〈要望書〉(以下,「別紙」)を送付し,その半年後を目途に当該施設から取組実施報告を求めるという対応が行われています。

連載 続・いのちをつなぐひとたち・21

青木信彦さん
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揺さぶられっ子症候群と間違いやすい「中村Ⅰ型」を知ってほしい

児童虐待の「冤罪」が注目され始めている。子どもを暴力的に揺さぶって「乳幼児揺さぶられっ子症候群」(SBS)を発症させたと起訴され,親子分離となったケースに無罪判決が相次いだため,判断基準の妥当性が問われているのだ。一方で,「疑わしきは罰せず」ということでは虐待を見逃してしまい,子どもを危険にさらすとの意見もある。

論争は決着がつかないが,子育てに関わる助産師としては,SBSと混同しやすく冤罪につながりやすい「中村Ⅰ型」と呼ばれる症状を知っておくと判断に役立つかもしれない。中村Ⅰ型に詳しい脳神経外科医の青木信彦さんにお話を伺った。

連載 宝物,教えてください・55

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 “Dawn purple”をご存知ですか? 深い紫色に染まる夜明け前の空の情景のことですが,人が生まれる時に初めて目にする色ともいわれます。私同様,シンガーソングライターの松任谷由実さんのファンであれば,同名のオリジナルアルバムを真っ先に思い浮かべるでしょう。

 そのアルバム「DAWN PURPLE」の収録曲「Happy Birthday to You〜ヴィーナスの誕生」は,苦難の後に訪れる最も美しい瞬間を生命の誕生に例えた名曲です。リリースから3カ月後,私は同期の仲間と,“SURF&SNOW in Naeba”のライブ会場で,この曲を生で聴くことになります。母親と手を取るようにして,一心に前へ進む胎児の力強さが思い起こされ,熱狂しました。

連載 医療コミュニケーションことはじめ・2

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医療コミュニケーションで,医療者の目指すべきビジョンにしていただきたいと筆者が思っているイメージは,『やわらかな1.5人称』というコンセプトです。

連載 ワタナベダイチが解説!両親学級アイスブレイク集 こんな時,どんなアイスブレイク?・6

クイズ「妻が正解」 渡辺 大地
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はじめに

 最近の若いもんは……ということではないのですが,数年前と比べると,他人とコミュニケーションを取るのが苦手なマタニティ世代が増えている印象です。おなかの大きなお母さん同士が「何カ月ですか?」という会話をするのも,ここ数年で減ってきた感じがします。両親学級が始まるまでの待ち時間にもスマホとにらめっこしている方が増えました。女性でさえもそうですから,産院に通い慣れていないプレパパはなおさらですよね。

 そんな風潮を受け,最近では私も,両親学級のグループ分けを他人とグループにするよりは夫婦で1組にしてしまって,夫婦で話し合いながら参加してもらうスタイルにすることが多くなりました。今月は,そんな夫婦でグループになって行うアイスブレイクを紹介します。先に右ページの進め方をご覧ください。

連載 りれー随筆・428

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父の背中を見て育つ

 今から40年以上前,私の父が27歳の頃に,JICAの青年海外協力隊で工作機械の使い方を教えにマレーシアに3年間派遣されていた。沖縄に帰ってきた父は母と出会い,4人の子宝に恵まれる。その末っ子の甘えん坊が私だ。

 父に懐いていた私は,よく父の背中で子守唄を聞いていた。沖縄の方言だと思っていた子守唄が,実はマレー語だったことをもう少し大きくなってから知ったのである。家には,外国の特産物やお金などが飾ってある棚があり,小学生の頃の私はお菓子を買おうとそのお金を持ち出し,「日本のお金じゃないから使えない」とお店の人に断られ,とても驚いたことを覚えている。末っ子の私が生まれる前には,オーストラリアに家族5人で移住を試みたが,結局仕事がなく断念して帰ってきたというエピソードがあった。こんな好奇心旺盛で,どんなことにも挑戦する父の背中を見て育った私は,自然と幼い頃から海外を身近に感じていた。

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助産雑誌
74巻9号 (2020年9月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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