連載 宝物,教えてください・54
助産師としての原点となった手紙
坂田 清美
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1帝京平成大学 ヒューマンケア学部 看護学科 助産学・母性看護学領域
pp.561
発行日 2020年8月25日
Published Date 2020/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201585
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写真中央の水色の紙が,私の宝物の一つです。助産師になりたての私が夜勤で分娩介助させていただいた時,その方が「こんなメモ紙でごめんなさい」と,手渡してくださったお手紙です。
当時の私は,毎日,本当にいっぱいいっぱいで,あまりの自分の不出来さに落ち込み,日々苦しくなっていました。勤務していた病院は当時,分娩エリアは家族入室禁止だったため,彼女は陣痛室で一人きりで過ごすしかありませんでした。分娩担当となった新人で未熟者の私は,「痛い」「寒い」「熱い」と彼女が言葉を発するたびにおろおろし,何が最適かも分からずあれこれ策を練り,ただただそばに居ることしかできませんでした。
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