助産雑誌 74巻7号 (2020年7月)

特集 災害時に母子を支える体制づくりを目指して

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地震による家屋倒壊や,大雨による河川の氾濫……,近年,日本はさまざまな災害に見舞われています。お住まいの地域に,いつか大規模な災害が襲うかもしれません。大災害に見舞われた際の医療体制がそれぞれの地域や施設で組まれていると思いますが,被災中の母子に,より適切なケアを届けられるよう,それぞれの地域の特性や各地の取り組みを知り,折に触れて仕組みを再確認し,更新していけると良いのではないでしょうか。

特集では,災害発生時の医療施設の体制整備,災害が起きた時の複数の地域における実際の支援や,女性のジェンダーに配慮した防災対策についてまとめました。また2019年2月,妊産婦と乳幼児の専用避難所に指定された,静岡県の富士市立看護専門学校にその経緯をご執筆いただきました。

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日本は毎年のようにさまざまな災害に見舞われる災害大国です。もし大災害に見舞われた時,適切な医療体制が組まれていることは,被災中の母子に適切なケアを届けるための土台となります。本稿では災害発生時の病院内の体制整備,市町村・支援組織との連携体制の方法について述べていただきました。

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大災害が起きた際,平時とは異なる対応や,緊急時の判断が求められることが多くなります。普段から災害時の体制を考え,緊急時の対応ができるようにしておくなど,準備が非常に大切です。本稿では全国各地の災害に対して医療従事者を派遣されている日本赤十字社医療センターでの医療体制や,災害派遣時に対応可能な助産師の育成方法について述べていただきました。

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2018年7月,台風7号が上陸し,西日本を中心とした各地で豪雨災害などの被害をもたらしました。岡山県では倉敷市真備町など,多くの地域で被害が出ました。本稿では,当時の岡山県助産師会の対応,支援をまとめていただきました。

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2019年10月,日本列島に上陸した台風19号は,各地に巨大災害の爪痕を残しました。本稿では発災時の長野県助産師会の対応と,その後の支援について述べていただきました。

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災害時,多くの被災者が避難所に訪れます。しかしながら,妊産婦を含めた女性が避難所を利用する時,プライバシーや安全性への配慮が不十分である場合も多いようです。本稿では,今までに行われてきた対策を振り返りつつ,避難所を安全に利用できるような環境整備を考察していただきました。

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2019年2月,富士市立看護専門学校が静岡県で初めて,妊産婦と乳幼児の専用避難所として指定されました。本稿では,指定されるまでの経緯をご紹介します。

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先月号に引き続き,日本看護協会が実施する「母子のための地域包括ケア病棟」モデル事業に参加した施設に,実際の取り組みについてご執筆いただきました。今月号はJA高知病院が,モデル事業参加以前から実施していたケアとの連動をご紹介くださいます。

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はじめに

 ニュージーランド(以下,NZ)の助産師に関連する情報は,本誌をはじめ雑誌等でもたびたび紹介されており,政策活動や教育内容などについて,既にご存知の方も多いと思います。特に2019年10月号の本誌特集では,前ニュージーランド助産師会最高責任者であるカレン・ギリランド氏(以下,カレン氏)の講演録が収載され,心打つ内容になっています。

 NZの記事に触れるたびに憧れが膨らみ,ぜひ一度訪問してみたいと思っていました。幸いにも2019年12月6〜11日,現在勤務する東京医療保健大学大学院の国際助産学(前齋藤益子教授)の講義の一環で,NZ北島(オークランド)にある三つの施設を訪問する機会を得ました。私はこの機会にぜひ分娩介助など助産技術の見学ができないかと思い,前職場である矢島助産院開発の「リアルパンツ」を持参しました。

 本稿では施設と簡単な分娩介助のデモンストレーションの様子を紹介し,感じたこと,気付かされたことなどについて考察します。

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日本助産診断実践学会とは

 日本助産診断実践学会(Japan Society of Diagnosis Practice for Midwives:JSDPM,以下,本会)は2018年に設立し,2020年で3年目となるまだ新しい学会ですが,その前身は20年以上前から活動をしてきた「日本助産診断・実践研究会」です。この研究会が発足した1997年当時,「診断」という言葉は医師のみが使用していた時代でした。1960年以降の施設内分娩の増加を背景に,医師の診断の下に活動する勤務助産婦が助産師の大半を占めるようになりました。そのような中,1990年のカリキュラム改正で初めて助産婦教育課程の中に助産診断学が登場しました。産科学的診断と共に妊産婦や家族の生活に目を向け,妊産婦が満足できる妊娠・分娩・育児が行えるようケアをするという助産師の実践を示す助産診断の教育が重要となってきたのです。

 助産診断は言うまでもなく,助産ケアの根拠となるものです。先に述べたように,現在は勤務助産師が助産師全体の大半を占めていますが,主に助産師が対象としている妊娠期・分娩期・産褥期・新生児期にある女性と子どもに対して,出産施設だけではなく,出産施設から家庭へ移行する際の支援が今,見直されています。2019年12月6日には「母子保健法の一部を改正する法律」が公布され,出産後1年以内に母子の心身の状態に応じた保健指導や相談を行う「産後ケア」が,市町村の努力義務となりました。市町村には「妊娠期から出産後に至る支援を切れ目なく行う」という観点から,「妊産婦及び乳児に対する支援の一体的な実施その他の措置を講ずるよう努めなければならない」と定められました。この支援には助産師のみならず,産科医師,小児科医師,保健師,看護師,臨床心理士,社会福祉士等,多職種で連携することが重要と考えます。幅広い分野での共通言語として助産診断を活用できることが,今後の連携において期待されます。

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はじめに

 バースプランは,1982年に英国で出版されたジャネット・バラスカスの『アクティブ・バース』の中で,女性が主体的な出産を体験するためのツールとして初めて紹介された1)。日本でも1990年代ころから普及し,研究報告ではバースプランを立案することで妊産婦の出産に対する主体性につながることや,出産の満足度が高まること,医療従事者と妊産婦の相互理解を深めることなどが期待できるとされており2),現在,それらを目的に多くの分娩施設でバースプランが取り入れられているのは周知の通りである。

 バースプラン用紙の様式は施設によってさまざまであるが,妊婦が出産への想いを自由に記載できることを重視した結果,空白が多く,A4用紙1枚に記入例の一文が添えられる程度のものもある。このような様式のバースプランに関して佐藤らは,バースプラン用紙がほとんど白紙のまま提出されることや,医療従事者に依存する内容の記載であることが多く,また,添付されている例文の内容がそのまま記載され,妊婦独自の想いが記入されていることが少ない,と問題点を指摘している3)

 実際,妊婦からは「何を書いていいか分からない」「考えても文章化が困難」という困惑の声が上がっていることが報告されている4)。筆者がこれまで目にしてきたバースプランも,やはり妊婦が自分の言葉で書いていると評価しづらいものは多く,「陣痛室には実母と夫以外入れてほしくない。会陰切開はしたくない。カンガルーケアをやりたい」といった紋切り型の内容や,医療従事者に期待するサービスの羅列のようなものが多いように感じていた。このような現状に関して戸田は,出産に対する知識のない初産婦にとって,バースプランとして出産に対する希望を自由に書くこと自体が困難であると述べており5),実際,希望するケアを列挙するだけでも努力が必要であることは理解できる。

 しかし,このようなバースプランが本当に出産の主体性を引き出すことや,出産の満足度を高めることにつながるのだろうか。細切れの要望の列挙から一歩進めて,妊婦が出産全体の経過を理解した上で,分娩各期に自分がどのように行動するか,妊婦自身を主語にしたバースプランを立案することで,より主体的で満足な出産に近づけられるのではないだろうか。

 このような問題意識を持ったことから,出産に関する知識や具体的なイメージを持たない初産婦が,出産全体の流れを理解し,出産中の行動を具体的にイメージできるバースプランの立案支援を行った。本稿ではその取り組みについて報告する。

連載 続・いのちをつなぐひとたち・19

岸畑聖月さん
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助産師の社会的価値を高めて全ての命が救われる社会をつくりたい

岸畑聖月さんは,さまざまな事情で失われてしまう命を救うためには,助産師の力を最大限に活用できる社会にすることが必要だと考え,株式会社With Midwife(以下,With Midwife)を設立しました。

岸畑さんが取り組む社会の課題とその解決方法について伺いました。

連載 宝物,教えてください・53

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 女性でありながら,15世紀当時のフランス軍の指揮官であったジャンヌ・ダルク。その生涯には諸説ありますが,たとえ火あぶりに処されても,信念を持って具体的に行動し続けた姿勢からは,勇敢さとしなやかさが感じられます。

 研究者として,助産師として,出生前診断に悩む妊婦さんや家族を,管理者として妊娠・育児中のスタッフを,教育者として母性看護や助産を学ぶ学生さんを,それぞれサポートする立場にいると,いろいろ悩むこと,考えることもあります。そして,両親がフランスを旅した後,「ジャンヌ・ダルクみたいに,頑張って!」と言って,これを私に手渡した時の,母の娘を応援する気持ちを想うと,今でも熱いものがこみ上げます。

連載 ワタナベダイチが解説!両親学級アイスブレイク集 こんな時,どんなアイスブレイク?・4

共通点を探そう 渡辺 大地
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はじめに

 2人1組で自己紹介をする,というアイスブレイクを前回,前々回で紹介しました。自己紹介という行為は丁寧さを感じさせるので,学級のスタートにふさわしいのですが,いかんせん受講者が増えた分だけ時間がとられるというデメリットがあります。学級プログラムの中で自己紹介にばかり時間を割けませんので,受講者の多い学級の場合は,できれば時間の読めるアイスブレイクにしたいところです。

 そこで本号から数回にわたって,受講者数にかかわらず決まった時間内に実施できるアイスブレイクを紹介していきます。今回は筆記用具さえあれば簡単にできる共通点探しゲームです。

 先に右ページの進め方をご覧ください。

連載 現場が変わる! チームに働きかける母性看護CNSの実践 現象学的分析編・3

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▶現象学的分析編の第3回を迎えて

 2019年1〜12月号にかけて,連載「現場が変わる! チームに働きかける母性看護CNSの実践」を掲載した。母性看護専門看護師(CNS)が,高度専門職として水準の高いケアを提供し,現場でどのような役割を果たしたか,漫画と事例紹介で,可視化することに努めた。

 その後,9月号の事例提供者である八巻和子氏(助産師,甲府病院)に,村上靖彦氏(現象学者,大阪大学)が2時間にわたるインタビューを実施し,八巻氏の臨床経験や実践を通して感じた思いを12月号で一部ご紹介した。

 この度の連載では現象学的分析編として,八巻氏の母性看護CNSとしての10年間の歩みがより詳しく語られる。本号はその3回目。看護ができる部分と,他の支援部門につなげる部分を切り分け,最終的に母親自身が決められるように促していく考え方が語られる。

(『助産雑誌』編集室)

連載 りれー随筆・426

私たちは大丈夫 岡村 やよい
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開業に至るまで

 助産師になり32年が経ち,私は今,神奈川県横浜市のBirth & Ladies' Clinic Solaというクリニックで働いています。これまで大学病院,総合病院,個人病院で仕事をしてきて,どうしても納得のいかないことがあり,2011年に助産院(うみと森助産院,2016年閉院)を開業しました。

 納得のいかないこととは,お産をコントロールすること,人をコントロールすることでした。私たちは恒常性(ホメオスタシス)という素晴らしい力を持っています。この力を最大限に生かしてお産に臨めば問題は起きないのではないかという,私なりの知恵を否定して生きることが不自由だと感じるようになったため開業しました。責任は全部自分にあると思っていたので,初めは緊張の日々でしたが,5年間で200人の赤ちゃんの誕生を迎えました。

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基本情報

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助産雑誌
74巻7号 (2020年7月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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