助産雑誌 68巻11号 (2014年11月)

特集 『産婦人科診療ガイドライン—産科編2014』の改訂ポイント解説

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3年ごとに改訂されている『産婦人科診療ガイドライン—産科編』が,2014年4月に刊行されました。

本特集では,前2011年度版から大幅に改訂されたポイントを解説していただき,助産師として知っておきたい内容をまとめます。

妊娠,分娩を経て,産後の期間において,とくに助産師が把握しておきたいクリニカル・クエスチョン(CQ)をピックアップしました。

正常産を取り扱うことのできる専門職として,助産師に本ガイドラインの内容を意識しつつ,業務に取り組んでもらえる特集とします。

今回の改訂ポイントの概要 水上 尚典
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本ガイドラインの内容は,助産業務にも大いに関係しています。

今回3年ぶりに改訂されたポイントを概説していただきました。

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妊娠中のインフルエンザワクチン接種は胎児に影響はないのか,妊婦であれば気になることでしょう。

自信をもって解答するために,エビデンスをおさえておきましょう。

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妊娠高血圧腎症は,妊娠20週以降に初めて高血圧が発症し,かつ蛋白尿を伴い,分娩後12週までに正常に戻る場合をいう,とされています。

一般的に,分娩により母体は高血圧と蛋白尿から解放されることがほとんどです。

しかし長期的にみた場合,更年期以後に心血管系疾患の罹患頻度が健常者の数倍あるという報告もあり,注意が必要です。

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吸引・鉗子分娩になった時,助産師にも注意義務が課せられます。

ステーションを確認,子宮底圧迫法は5回までとし,回数の記録を正確に行なうことが大切です。

本稿で改正の内容をよくみていきましょう。

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子宮収縮薬使用に際しての留意点は,かつて別の冊子として発行されていましたが,このたびの本ガイドライン改訂で,CQ&Aの形で収載されました。

その詳細をみていきましょう。

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どうしても自然にはお産が進まない時,「器械的」なものと「薬物」による分娩誘発を行ないます。

その場合,注意すべきことは何でしょうか。ガイドラインのアンサーに沿って解説していただきました。

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今回の改訂から胎児心拍数陣痛図の波形レベル3以上は胎児機能不全と診断されます。

レベル3以上の対応を中心にガイドラインの改訂ポイントを解説していただきました。

連載 いのちをつなぐひとたち・35

高野 優さん 畑中 郁名子
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自らの妊娠・出産・育児体験を漫画に描き,著書や講演会で育児の奥深さと難しさ,面白味を伝え続ける。

幼少期に「お前はダメだ」「生まれてこなければよかった」と言葉による虐待を受けた過去をカミングアウトし,虐待をテーマにした講演も増えている。

連載 いのちのささやき・47

山の棚田でコンサート 宮崎 雅子
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澄んだ秋空 白い雲に 鳥のさえずり 沢の音

実りの季節 今日は 棚田で 馬頭琴コンサート

連載 裁判例から読み解き,臨床に活かす ゆりかご法律相談・10

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今回のテーマ

 平成14年,ある産婦人科の看護師が偽証罪に問われた事件がありました。偽証罪(刑法169条)とは,法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をすること,すなわち,裁判の場で,嘘を述べるということです。この看護師は,医師に頼まれ,事実を隠ぺいしようとして嘘を述べてしまいました。その結果,懲役1年(執行猶予3年)という有罪判決を受けました[もちろん医師も有罪〈懲役1年6月(執行猶予3年)〉でした]。

 本連載第7回の最後に,看護師が刑事責任を問われる事例はとても少ないが,診療録や助産記録の改ざんや口裏合わせといった証拠隠滅行為は,別の罪を構成することになるので注意が必要であると述べましたが,この事件はまさにそのような事件でした。

連載 周産期の生命倫理をめぐる旅 あたたかい心を求めて・23

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はじめに

 前々回,前回で「生と死」に関して論じたが,周産期医療の現場で,脳死の用語が用いられるとすれば,本シリーズ第7,8回(Vol.67 No.7,8)で述べた予後不良の事例において,可能な限りの医療を施すことがその児と家族の福祉に益するか倫理的判断を迫られるなかで,すでに脳死状態であるとして治療を中断する時であろう。それとは別に現在医療の世界のみならず,社会的にも大きな話題となっているのは,臓器移植を前提とした脳死に関して,である。今のところ,周産期・新生児がその対象に含まれていないが,近い将来この分野にも適応される可能性があることから,その意味するところと,内蔵する医学的・倫理的問題を知っておくことは大切であろう。

 臓器移植は,人間の人間たる所以が脳機能であり,その機能が停止したと判断された段階で,生物学的存在の人としては生きているが,社会的存在である人間としては死亡した,という脳死の概念を,法的に定めることによって行なわれるようになった。その理由は,日本の法律のなかには「死」という言葉が法律条項に4553,法令に633あることから,従来の「死」の定義(呼吸・心拍停止と瞳孔の散大という死の三徴候)を変えなければ,まだ動いている心臓を取り出し,移植する医療は行なえないからである。すなわち,脳死は臓器移植を前提とした用語である。しかし,周産期・新生児医療の現場では,医学的に脳死判定ができないことから,そのような状態を表現する言葉は「脳死状態」が正しい。

 わが国は,諸外国に比して脳死臓器移植,特に小児の臓器移植の事例が極端に少ないことが問題とされている。そこで,「なぜ少ないか」「少ないことがどんな問題を起こしているか」「少ないことが本当に遅れた医療体制なのか」を倫理的観点から論じてみる。

連載 学生さん・新人さんのための 国試に学ぶ,助産師の基礎・8

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 今回は月経に関するホルモンの流れやそれに伴う症状や異常について学びたいと思います。前回(第7回)学んだホルモンを参照していただくと,よりわかりやすいと思います。

 まずは実際の国家試験の問題に挑戦してみましょう。

連載 コクランレビューに学ぶ 助産ケアのエビデンス・11

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 助産師のエビ子さんがでんす博士を訪ねてやってきました。

でんす博士:今日はどうしたんじゃ?

エビ子:はい。うちの病院の妊婦健診で,妊娠中や産後の家庭内暴力(DV)がハイリスクの人を特定するためのスクリーニングをはじめたいと考えているのですが,ハイリスクの人を特定した後どのような介入をするべきか検討しています。

連載 助産よもやも話・20

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なぜ会陰裂傷にこだわるのか?

 会陰裂傷の予防は,お産にかかわる助産師たちにとってはとても切実な問題のようです。それは会陰裂傷が発生した場合,現行の医療法では,たとえ第1度,第2度の裂傷でも産科医に縫合をお願いしなければならないからです。もちろん肛門括約筋が断裂した第3度裂傷,直腸壁に損傷が及んだ第4度裂傷では便失禁や直腸腟瘻などの合併症の危険が高くなるので産科医による縫合が不可欠です。助産師が直接介助していた自然なお産の際に第1度,第2度の会陰裂傷が生じ,産科医に縫合をお願いして,「ちゃんと会陰保護をしていたのかい?」「こんな程度の裂傷で深夜に俺を呼ぶのか?」と迷惑そうな顔で分娩室にやってくる産科医に接すると,赤ちゃん誕生という明るい雰囲気がいやなムードに変わってしまったという経験をもつ助産師さんは少なくないのではないでしょうか。

連載 NYのバースセンターから・11

日本との違いを感じる時 宍戸 あき
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胎盤をカプセルに

 分娩後,胎盤を乾燥させて粉末状にし,市販の空のカプセルに詰めて経口服用可能な状態にすることをPlacenta Encapsulationという。産後のうつ状態をおさえる,母乳の分泌を高めるなどの効果があるといわれている。学生の頃に出会った褥婦さんは胎盤とフルーツジュースをミキサーにかけて飲んでいた。そういう話を日本でも聞いていたが,実践している人を見たことがなかったし,Placenta Encapsulationについてはアメリカに来て始めて知った。人によって価格はさまざまだが,当センターのメディカルアシスタントはこのサービスを200ドルで提供しているという。私が仕事をしているとおもむろに深緑色の胎盤のカプセルを見せてくれた。「胎盤をオーブンで焼いてね,ミキサーにかけてね。それから……」と,説明を聞いている限りでは結構な手間だが,それで200ドルいただき,人の為になるのであればいいビジネスではないだろうか。

連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・124

2人の産婦の分娩介助 冨田 江里子
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フェイとザリカ

 朝方4時前にやってきた19歳で1経産のフェイ。1人目の子どもはまだ11か月で,この妊娠はうれしくないらしい。子宮口は来た時点で7cm,陣痛は緩慢だ。彼女が来た10分後,同じく2人目で父親がいない24歳の産婦ザリカがやってきた(ザリカは妊娠を隠すため人目につかない親戚宅で暮らし,子どもはすぐに里子に出した)。どちらも赤ちゃんの下がりが悪く,子宮口は7cm。カーテン1枚で仕切られている産室で2人はベッドから動こうとしなかった。

 狭い部屋に2人がいれば,お互いに影響を与え合う。ザリカのほうは多分貧困ではない。その分,声をあげて痛みを表現し「立てば進む」と勧めても聞く耳をもたない。フェイも陣痛は弱く,ときどき「いやよ,産めない,無理よ!」とくり返していた。よい陣痛さえ来ればあとちょっとなのに……。フェイの言葉が心にひっかかりながらも,ザリカに騒がれフェイのそばに行けずにいた。

連載 りれー随筆・359

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 縁あって,カナダ東部ケベック州の移民権を得て17年になる。そのうちの丸3年は日本に戻り,実家である大阪府寝屋川市の大谷助産院で再修行もしたが,5年前に再びケベックに戻って来てからは,こちらで助産師として働く準備をしている。はじめはケベック助産師会に日本の助産師免許と経験をもって資格を認めてもらえるように働きかけたが,助産師会の査定によると,私の日本の教育課程(専門学校卒)ではここで働くには十分な教育を受けてないということで,今ケベック大学の4年間の助産師プログラムに在籍している。大学レベルの助産師教育を終了し働いた経験のある移民の助産師には,3,4か月のコースも用意されているのだが,このコースを修了するのも安易ではない。というのも彼女たちの実習を担当できる助産師が足りないため,実習待ちで何年も働けずにいる助産師たちがいるのだ。

 ケベック大学の4年プログラムに入るのはかなり躊躇した。4年は長いと思った。また子どもも3人おり,大学は自宅から車で2時間以上も離れている。しかし,私は助産師の仕事が心から好きで,自分のためにも子どもたちのためにも,いきいき生きていくためには,やはり助産師を目指すしかないと思った。大学ではお産や助産師に関する最新の情報を得たり,今までの助産師の経験のなかでの疑問点をもっと深く調べてみたりできるだろうと期待して進学を決めた。幸い皆健康に恵まれ,子どもたちの父親も協力的だったので何とか現在も学業を続けられている。

特別記事 ICMプラハ大会2014レポート[前編]

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記念すべき第30回ICM(国際助産師連盟)大会がヨーロッパはチェコ共和国の首都プラハで,2014年6月1〜5日に開催されました。

日本からの演題のエントリーとともに参加者も多く,世界129か国から史上最高の3700人が集まり,盛況だったとのことです。

今大会に足を運んだ皆さんに,大会の概要と参加された感想を前後編にわけてご執筆いただきます。

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3年ぶりのICM大会がプラハで行なわれました。

日本からの演題提出は世界でも2位の185題だったそうです。

学術委員として,大会プログラムを構成する役割を担った筆者に舞台裏の様子をまとめていただきました。

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はじめに

 筆者が初めてICM3年毎大会に参加したのは,2002年のオーストリアのウィーン開催時でした。以来,大会自体の意義はもちろんですが,世界各国から集まる助産師との交流や助産師であることの素晴らしさにすっかりはまってしまいました。しかし,仕事の調整や自身の第2子出産などで,プラハ大会は久しぶりの参加となりました。

 今回は口頭発表と,国際学会では初めてとなる座長を経験しました。筆者を快く大会に送り出してくれた同僚と現地でサポートしてくれたみなさまに感謝の思いを込めて,レポートさせていただきます。

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口頭発表に向けての準備

 “Good morning, midwives.”で始まる講演や発表の数々。すれ違う人ほとんど皆が「助産師」という肩書を共有しているのは,不思議でわくわくする空間でした。

 そもそも,私がICMという世界中から助産師が集まる大会があるらしいと知ったのは2011年,ちょうど前回のICM南アフリカ大会が開催された年でした。参加した友人から世界中の助産師と話ができたと聞いて,次回はぜひ参加してみたいと思っていました。臨床にいた頃も病棟の看護研究を国内の学会で発表したことはあり,せっかく参加するなら発表もしよう,と申し込むことにしました。

Current Focus

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子宮頸がんを予防するHPVワクチンは,わが国では勧奨が一時控えられています。

助産師も知っておかなければならないHPVの情報,接種するリスクと接種しないリスクのあるHPVワクチンにどう対応すべきか,海外の情勢も含めて,解説していただきました。

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 去る8月28日(木)・29日(金),熊本市の熊本県立劇場にて,第45回日本看護学会〈ヘルスプロモーション〉学術集会が,高島和歌子氏(熊本県看護協会会長)を会長に開催された。2日間で延べ2000人以上の参加となった。

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医療・周産期に関するニュースをピックアップ

脳障害の新生児を自身の臍帯血で治療

秋から臨床研究

 脳障害のある生まれたばかりの赤ちゃんに,自身の臍帯血を使って再生医療をする臨床研究が,今秋にも国内で初めて実施される。大阪市立大学などの研究グループが発表した。へその緒などにある臍帯血に含まれる幹細胞が,傷ついた神経細胞や血管を再生させると考えられるという。新たな治療法として実用化を目指すとしている。

 対象は,脳性まひの主な原因の1つで,妊娠中や出産時に脳に酸素を十分に含んだ血液が届かず,脳組織が傷つく「低酸素性虚血性脳症」の新生児。生まれた赤ちゃん1万人当たり数人で発症する。これまでは体温を34度ほどにして脳細胞を保護する低体温療法をしてきたが,半数は重い後遺症が残った。

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次号予告・編集後記

基本情報

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助産雑誌
68巻11号 (2014年11月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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