助産雑誌 58巻7号 (2004年7月)

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はじめに

 私は精神科の「小児・思春期」専門外来で,長らく思春期の若者たちを主に診ています。しかし,乳幼児期の子育てが変わらなければ,思春期の問題も本質的には解決しないと考えています。そして1995年に,親と専門職でつくる子育て支援のボランティア団体「こころの子育てインターねっと関西」(URL:http://www9.big.or.jp/ kokoro-i/)を仕事仲間や地域でグループ子育てを実践している母親たちと一緒に立ち上げました。私はあまり意識していませんでしたが,「エンゼルプラン」が始まった年は,ちょうど「こころの子育てインターねっと関西」が生まれた年にあたります。そのため,私は国の子育て支援策の動向を子育て現場から,母親の視線をとおして,ずっと見続けてきました1~3)

 ボランティア活動をとおしてすばらしい子育て支援活動をしている多くの助産師とも出会いました。子どもの出生にかかわる“助産師さんならでは”の重要な役割があることを実感しています。本稿が助産師さんの子育て支援活動に何かお役に立てれば,うれしいです。

 かつて私は,現在「大阪レポート」4,5)と呼ばれている,1980年生まれの子どもたちを対象とした大規模な子育て実態調査の集計・分析を担当しました。この種の調査は多いのですが,科学的検討に耐えるデータは意外と少ないようで,平成15年版の「厚生労働白書」にも育児不安の項では「大阪レポート」のデータが使用されています。今回私たちは,厚生労働科学研究として,「大阪レポート」に匹敵する調査を実施することができました。この調査をここでは「兵庫レポート」と呼ぶことにします。本稿では,2003年の「兵庫レポート」と1980年の「大阪レポート」の結果を比較検討します。ほんの20数年間に子育て現場の状況は驚くほど様変わりしていました。そこから浮かび上がった,今ほんとうに必要な子育て支援とは何か,次世代育成のために何をしなければならないのか,について述べます。そして,助産師さんへの期待も述べさせていただきたいと思います。

 なお,回答者の99%が母親であったため,分析では母親の現状という形で報告します。

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サークル発足の原点

●ラ・レーチェ・リーグとの出会い

 出産・育児の経験は,助産師という職業をもつ自分自身を見つめる機会になった。30代で,助産師という職業の魅力にとりつかれた。育児の中で最も関心をもったのは母乳育児であった。それまでの臨床経験では母乳育児トラブルへの対処にたびたび戸惑い,結局解決策を得られないままであった。退院してしまう母児を気にしながらも支援ができずじまいであった。そんな中,以前購入していた1冊の本『母乳,このすばらしい出発』(メディカ出版)を出版していたラ・レーチェ・リーグ(以下LLL)の存在に改めて興味を抱き,1998年7月,東京で開催されたLLL講演会に参加した。

 講演の内容には“目から鱗”状態で聞き入り,また短時間ではあったもののLLLのリーダーとのふれあいから彼女たちのエネルギーと情熱を感じた。助産師として自分の今までの知識とか経験とか,それなりのプライドは一気に崩れた。その1年後,フロリダで開催されたLLL国際カンファレンスに参加した。母乳育児のすばらしさは参加した親から,そして子から感じられると同時に,アメリカで私の中に母乳育児という種子がしっかりと確実に植え込められたのである。

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はじめに

 私たちNPO法人びーのびーのは,平成12年より地元である横浜市港北区の商店街の一角で,小さな20坪ほどの空き店舗を利用して親子が気軽に過ごせる居場所である「ひろば」を運営しています。会費制をとり商店街の一角で民設民営による運営を行なっていますが,これが国のモデルとなって平成14年より「つどいの広場事業」という国庫補助事業になりました。NPOの活動が国の事業になる時代です。現場の感覚,変革のエネルギーを行政は受け止め始めています。私自身が出産・子育てを通じて感じたことを含め,ひろばに集う子育て中の親,スタッフとのかかわりからみえてくる多くの課題を社会に発信すること,行政,地域と連携をもって課題解決に取り組むこと,小さな子育てひろばの運営を中心としながらも,出産・子育て期の社会的環境を豊かにするために政策提言やネットワーク活動を行なっています。

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はじめに

 「夫が帰ってくるまで子どもと2人きり。子育てって結構孤独なんですね。友人へのメールが唯一の息抜きかな」 「子どもがこんなに泣いて寝ないなんて思ってもみなかったですね。ほかの赤ちゃんもそうなんでしょうか?」 「妊娠中はとりあえず無事にお産することがゴールのように感じていました。でも,産んだ後が大変。自宅に戻ってからが本当のスタートでした」。

 新生児訪問・乳児健診の際,「お子さんが生まれてからの生活はいかがですか?」という問いかけに対し,初産の母親からよく返ってくる言葉である。これらの言葉から,母親が身近で子育てを見たり学習する機会が少なく「我が子が初めて世話をする子ども」という状況がうかがえる。少子化現象と地域社会との関係の希薄化が相まっている現代の子育て事情1)を身近なこととして実感する瞬間である。

 施設で助産師として勤務していた頃,地域との連携の大切さを考えながらも,対象が地域で生活している女性とその家族であることを生活体験として実感することは決して多くなかったように思う。筆者自身,地域で子育てを体験し,初めて見えてきたことが多々あったというのが正直な気持ちである。

 助産師として地域で生活する母親のニーズにあった支援とは何か,そしてそのような支援を実践したいという我々の思いと,地域に根ざした「おやこのためのもうひとつの家」としておやこの広場を作ったびーのびーのの理念2)が合致し,「ひろば」の中での我々の活動がスタートした。

 助産師が行なう地域主体の支援活動は多種多様であるが,おやこの広場を通して実践している「地域で子育て」する母親を主体として考えた企画・内容について,紹介していきたい。

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 東京学芸大学の鷹の荘(福利厚生施設)前には,ファミリータイプのワンボックスカーや,ベビーカー,子ども椅子のついた自転車が集結する日があります。いずれも,学生の移動ツールとしては似つかわしくないものばかりです。これらの乗り物を利用してやってくる人たちは,中で何をしているのでしょうか。

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はじめに

 本稿では,セルフヘルプグループ(以下SHGと記す)の援助特性についてSHGと専門職者との関係のあり方から考察する。また,多くの領域にわたる専門職者の中でも本稿では医療専門職者に限定し,医療者と記すこととし,特に助産師と看護師に言及する場合はそれを明記する。SHGの事例として,筆者が長くかかわってきた関西地区口唇口蓋裂児の親の会を取り上げる。

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はじめに

 平成12年11月に施行された児童虐待防止法は,それまで「躾や体罰」という範疇の中で時として許容され見逃されてきたことが,実は「虐待」であるという大きな意識転換を日本社会にもたらすこととなりました。そしてマスメディアの報道を通じ,国民の児童虐待への関心を高めた結果,それまで漸増であった児童相談所における児童虐待処理件数が平成10年の6,098件に対し,公布1年前の平成11年は11,631件,12年は17,725件,平成13年23,274件と急激に増加しています。しかし児童虐待への国民の関心は高まってきたとは言うものの,現在も連日のように虐待のニュースが報道されており,虐待事例は減る傾向をみせていません。

 児童虐待への対処には,現に起こっているケースへの適切な対処と起こさせないための予防という2つの方法があります。前者については,児童相談所,保健福祉,警察など行政機関や医療機関等との密接な連携の中で,より専門的な見地から,発見,対処,継続的フォローがなされる必要があります。一方,予防の見地では虐待を起こさせないという視点から,その予防のためのさまざまな活動が各所で図られつつあります。

 社団法人母子保健推進会議*1)では,平成13年度より3年間,日本財団の助成を受け,母子保健推進員*2)や民生児童委員,主任児童員など児童虐待にかかわるボランティアを対象とし,19道府県市で延べ5,500名を対象に,子ども虐待防止のための研修会の実施を行なうとともに,「子ども虐待防止のためのサポート~母推ノート」と「お母さん,子育てを楽しんでいますか?」(写真1)のリーフレットの配布と,妊産婦や子育て中のお母さんたちへの積極的な声かけサポートを通じ,虐待への芽を早期に摘み取り,特に育児期に1人で悩ませない活動を行なってきました。この事業は全国の母子保健推進員らの努力もあり,声かけサポートとして成果をあげつつあります。しかし,各地で実施した研修会の活動報告では,家庭訪問時の若いお母さんたちへのアプローチの難しさが報告され,母子保健推進員など子育てを終えたサポーターと若いお母さんたちとの世代のギャップが浮かび上がりました。もちろん多くの場合,このギャップを乗り越えて活動をしているのですが,受け入れてもらうまでに大変な苦労を伴っているのが現状です。

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はじめに

 わが国の助産師は,1世紀を越える歴史を有したヒューマンサービス専門職であり,女性の妊娠・出産や育児に対して専門的な知識に基づき,母子やその家庭のニーズに即した安全で快適なケアの提供を続けてきた。その間,多くの実績を積み上げてきたことに対して,まず敬意を表したい。近年のわが国は少子高齢化が急速に進行し,その対応策が図られても少子化に歯止めがかからない。まさに女性が人間を産み育てるという尊厳ある生の過程に寄り添う助産師への社会的な期待は,今後ますます高まってくるであろう。

 助産師と同様に,ヒューマンサービス領域を担うソーシャルワーカーも,そうした状況下における社会保障の構造改革が進むなかで,保健福祉サービスを提供する場面では,援助する者から受ける者へといった対峙・上下関係にあった直線的な発想から,パラダイムの転換を求められているところである。これまでもソーシャルワークの関心として,サービスの提供者と利用者とが対等に応答し合う支援関係を目指してきた。

 超少子高齢社会に対応する政策・制度用語の多くが「支援」に呼称を変更してきたが,サービス利用者と専門職との関係性(距離感を含め)は専門職による指導論の枠内で議論が重ねられている。その過程に利用者(当事者)が加わる場面が少なく,専門職の間でのみ論争を重ねることに疑念を持つものである。

 本稿は,ソーシャルワークの視点から,人を産み育む過程に寄り添う助産師へのメッセージを求められたものであり,子育てグループと専門職との関係性について,助産という専門領域に初めて試論を寄せるものでもある。

連載 とらうべ

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 乳房に触れるといろいろなことが伝わってくる。乳房は顔と同じくらい個性があるといつも思う。冷たさ,温かさ,緊張感,体の調子,不快さ,心地よさ,匂い,柔らかさ,硬さ,柔軟性……。乳房に触れると思い出せるほど,その人のことが感覚として手に残る。赤ちゃんの口の反応を見ていてもどうしてほしいのかが伝わってくる。人の数だけ抱えている問題や環境に違いがある。初めて会うその瞬間に,にじみ出るその人の表情などから何かを感じとる“勘”は経験を重ねることで磨かれていくものであろう。

 私が開業した平成2年当時,母子同室や自律授乳はまだ少なく,乳房トラブルの辛さや育児不安に悩む母親達の悲痛な声に毎日のように走り回っていた。そばに寄り添い,母親達の気持ちを受け止めることのしんどさに乳房が夢に出てくることさえあった。こうした声に答え,積み重ねてきた経験が助産師である自分を育ててくれた。そして,先輩助産師が母親や赤ちゃんに誠心誠意向き合う姿勢を伝えてくれたことも私の支えとなった。

連載 今月のニュース診断

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アメリカの同性婚

 米マサチューセッツ州が,2004年5月17日から同性カップルに結婚証明書の発行を開始した。この日,州都ボストンだけで数百組が結婚を届け出て,市庁舎前ではウェディングケーキと弦楽四重奏の生演奏による祝福が行なわれたという。ただし一般市民の反発を招かないよう配慮したため「派手な騒ぎ」はなかったとのことだ(「朝日」5月19日)。

 正式に結婚していないカップルにも夫婦に準じるさまざまな配慮を行なうドメスティック・パートナーシップ制度は80年代から各州・自治体レベルで模索されてきたが,同性間に完全な意味での結婚を認めるべきだという気運が一気に高まったのは,1999年12月にバーモント州最高裁が同性愛者のカップルと異性間の夫婦を同等に扱うべきだとする判決を下してからのことだ。その後,同州では同性婚を認める法改正が実現したが,根強い反対論との妥協の結果,同性カップルにも異性婚とほぼ同等の権利は与えられるものの,概念上は正式の結婚とは区別され,「シビル・ユニオン」と呼ばれることになった。

連載 妊・産・褥婦のためのマイナートラブル相談室

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はじめに

 第1回では「便秘」を,2~3回では「痔」を取り上げてきました。次に考えるテーマは妊・産・褥婦の「貧血」についてです。

 最近は,妊・産・褥期の女性によく貧血がみられるという話を聞くようになりました。実際に妊娠後,血液検査で初めて“鉄欠乏性貧血”と診断され,戸惑ってしまう妊婦も多くいるようです。貧血は場合によっては,妊娠中の母親の状態やお産に重大な影響を及ぼす危険性も含んでいるため,助産師にとって,見逃すことができない臨床症状といえます。

 妊・産・褥婦はなぜ貧血になりやすいのでしょうか。また,その予防とケアをどのようにしていったらよいのでしょうか。今回も,前・後編の2回に分けて,妊・産・褥期に問題となる「貧血」について,考えてみたいと思います。

連載 新生児ケアの不思議考証・Evidence & Narrative Based Neonatal Care

第4回 へその緒 横尾 京子
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はじめに

 へその緒について思考をめぐらすようになったのは,次のような経緯がきっかけだった。事故(ヒヤリハット)として「へその緒の紛失」が報告されているが,どう思うかと問われ,私はヒヤリハットとして扱うべきことかどうかを考えた。そして,「へその緒を渡すことを約束していたのであれば,紛失したことは約束が守れなかったことなので事故であり,そのことに対して誠実に事情を話し謝るべきである。しかし,へその緒を紛失したことによって母子に危害が加わらないのであれば,ヒヤリハットというよりも倫理的問題の範疇ではないか」と回答した。その後,解決がついたという連絡が入ったのだが,それは「分娩室で臍帯の一部を切り取り,その場で渡す」であった。回答の視点がずれていたことにも,その方法にも驚いた。なぜなら,へその緒としてとっておくのは新生児の臍に付いていたものと信じ込んでいたからであり,そう信じていたのは中学生時代に母が話してくれたことが記憶されていたからだと思う。

 私はそもそも,方針としてへその緒を渡している施設で勤務したことがない。助産業務に従事していたのは終戦直後に米国の基金で設立された病院で,そこでは希望する母親にのみ,新生児側の看護者が薬包紙に包んで渡していた。その後のNICU勤務においても同様の扱いで,へその緒の紛失が病棟で問題になることはなかった。しかしながら看護学生時代(昭和40年代)にまで遡ると,へその緒紛失事件に遭遇したことがある。“事件”と敢えていうのは,対応策が摩訶不思議だったからである。紛失したへその緒の代わりに,胎盤に付いている臍帯を切り取って乾燥させていたのであるが,それをいくつも作るのである。聞くと,当時の常套手段で,紛失に備えて作り置きしておくということだった。

 このようなことが,臍帯のDNA鑑定が可能な今日で許されるはずはなく,そうなると,やはり,「分娩室で臍帯の一部を切り取り,その場で渡す」ということに落ち着いてしまうのだろうか。今回は3人の母親の体験を通して,医療現場でへその緒を扱うことの意味について考えてみた。

連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・4

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拭い去れない「神話」

 1960年代,開発途上国に急速に広がった人工乳。「お金のかかるものは良いもの。でも,大切なわが子には良いものを与えたい」 「ミルクの箱に印刷された丸々と太った笑顔の赤ちゃん。これを飲ませればこんなに太るのだ(フィリピンでは太っていることが可愛いと考えられている)」……。

 人工乳会社の販売作戦は,ここフィリピンでも大成功を収めた。しかしその結果,フィリピンをはじめとする多くの途上国で,乳児が不潔な水や哺乳瓶の使用による下痢や腸炎などを引き起こし,命を亡くしていることは知る人も多いと思う。

連載 りれー随筆・235

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 助産師である私が出産と子育ての経験を通じ,助産師としての立場だけでなく,いろいろな立場で物事を考えたり,感じたりすることができたことは,仕事をするうえでの財産となっている。

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はじめに

 長野県佐久市は北に浅間山,南に八ヶ岳連峰が広がり自然に囲まれた街である。

 佐久市は人口約7万人で,臼田町・浅科村・望月町との平成16年度末の合併をめざし協議中である。出生率は平成13年度1.68で全国平均1.33よりやや上回っている。平成15年3月には「子育て支援都市宣言」をし,子育て支援施策は100の事業を展開している。その中の1つに子ども未来館運営事業がある。昨年12月に子ども未来館主催,佐久地区助産師会後援で「マタニティ・プラネタリウム」を開催し,好評を得た。

 マタニティ・プラネタリウムを実施するまでの経緯とプログラムについて報告する。

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はじめに

 風疹ウイルスによって起こる疾患には,風疹(rubella)と先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)の2つがあり,その風疹(3日はしか)が地域流行している。既に先天性風疹症候群児の出生も報告されており,十分な警戒が必要である。

 本稿では,風疹の流行状況や,母体の風疹感染と先天性風疹症候群の関連,その予防について述べる。

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 去る3月19日(金)夜,上野・東天紅において,「専門職大学院(助産)の誕生を祝う会」が「全国助産師教育協議会」 「日本助産師会」 「日本助産学会」の3団体主催によって開催されました。「祝う会」は,桜の開花を目前にした不忍池を眼下に,清水嘉与子,南野知惠子両参議院議員を来賓として迎え,日本の助産師教育が大学院で行なわれるようになった歴史的出来事を心から祝福したいという想いをもった約80名の参加者をもって開催されました。

 最初に,3団体の主催者代表として全国助産師教育協議会会長・平澤美恵子氏の挨拶,日本助産師会会長でもあり専門職大学院(助産)新設大学の近藤潤子天使大学学長の挨拶に続き,清水氏,南野氏から祝辞をいただき,元全国助産師教育協議会会長の松本清一氏の乾杯で始まりました。歓談の後,専門職大学院(助産)の誕生にあたって,日本助産師会副会長・三井政子氏,日本助産学会理事長・堀内成子氏の挨拶,参加者からのお祝いの言葉,一言リレーがあり,専門職大学院誕生に寄せる熱い想いがそれぞれに語られました。

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 私たちが勤務している天理看護学院では,平成17年度に助産師学校開設に向けて準備を進めています。

 天理看護学院は,信条教育を土台とし,豊かな人間教育を大切にした学校です。助産学科開設に踏み切った理由は,天理の地は宗教的背景からも,地域性からも,お産や子育てを支援すべき場であると考えたからです。しかし,病院では助産師が不足し,また,全国的に助産師学校が次々と閉鎖されるなか,助産師になりたくてもなれない後輩たちもたくさんいるという現実があります。助産師である私たちが,助産師教育に協力できることはないものかと考えていた矢先の約2年前,助産学科設置の構想が発表されました。

研究・調査・報告

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はじめに

 岐阜県の北部に位置する飛騨は,四方を山々に囲まれた盆地で,豊かな自然に恵まれており,古い伝統や文化が今も息づく所である。

 近年,少子化のため近所に同年代の子供がいないなどの問題を抱えているが,複合家族が多く祖父母や兄弟とともに暮らし,地域の人々との交流を深く持ちながら,飛騨の子供たちは自然のなかで,比較的伸び伸びと育っている。そのため,人や生き物の生や死を体験する機会も多く,生活のなかで命の大切さを知り,自分や他者を大切にすることや,自分が大切にされていることを,都会の子供たちよりも実感できているのではないかと思われる。

 しかし,この穏やかな地域においても,望まない10代の妊娠や中絶の話をたびたび耳にすることがある。性交渉の低年齢化,若者の性感染症の増加が危惧され,性教育の必要性を強く感じる。

 高山赤十字病院産婦人科病棟では平成3年より,学校PTAや教育委員会の依頼を受け,助産師が市内や郡部の小学校,中学校,高等学校に赴き性教育を行なっている。また,昨年から保育園の年長児にも性教育を行なうようになった。

 今回,私たちは保育園での性教育を振り返り,児の成長発達段階や,園児たちとその母親の反応から,保育園年長児への性教育について検討したので報告する。

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緒言

 近年の10代の性意識の活発化は,無謀とも思える性行動の変化を引き起こしている現状がある。このような情勢変化に鑑み,平成12年,厚生労働省は21世紀初頭(2010年まで)に取り組むべき主要な4つの課題を設定し,母子保健の国民運動計画として「健やか親子21」を提言した1)。その具体的方策の1つに思春期の保健対策の強化と健康教育の推進,特に10代の人工妊娠中絶および性感染症の減少を目指すことが目標として掲げられている。

 これらの影響を受けて,最近ますます医療関係者が行なう思春期の性教育への期待が高まっている。筆者らは中学・高校生に対する性教育を担当している者として効果的な対応を模索する中で,特に性感染症教育では,エイズ教育は,文部省が1992年より学校教育で実施を決定しているため徹底されているものの2),その他の性感染症は看護学生や大学生の調査3,4)から見てもほとんど徹底されていない実態があるとの認識をもった。

 そこで今回,性感染症を中心に,女子高校生を対象に性の考え方や性感染症の認識度を把握し,今後の性教育の方向性を考える一助とするためにアンケート調査を実施した。得られた結果をここに報告し,これからの性教育の参考に供したい。

基本情報

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助産雑誌
58巻7号 (2004年7月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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