研究・調査・報告
保育園年長児への性教育を行なって
桑原 明日子
1
,
原谷 律代
1
1高山赤十字病院産婦人科病棟
pp.640-643
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100786
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はじめに
岐阜県の北部に位置する飛騨は,四方を山々に囲まれた盆地で,豊かな自然に恵まれており,古い伝統や文化が今も息づく所である。
近年,少子化のため近所に同年代の子供がいないなどの問題を抱えているが,複合家族が多く祖父母や兄弟とともに暮らし,地域の人々との交流を深く持ちながら,飛騨の子供たちは自然のなかで,比較的伸び伸びと育っている。そのため,人や生き物の生や死を体験する機会も多く,生活のなかで命の大切さを知り,自分や他者を大切にすることや,自分が大切にされていることを,都会の子供たちよりも実感できているのではないかと思われる。
しかし,この穏やかな地域においても,望まない10代の妊娠や中絶の話をたびたび耳にすることがある。性交渉の低年齢化,若者の性感染症の増加が危惧され,性教育の必要性を強く感じる。
高山赤十字病院産婦人科病棟では平成3年より,学校PTAや教育委員会の依頼を受け,助産師が市内や郡部の小学校,中学校,高等学校に赴き性教育を行なっている。また,昨年から保育園の年長児にも性教育を行なうようになった。
今回,私たちは保育園での性教育を振り返り,児の成長発達段階や,園児たちとその母親の反応から,保育園年長児への性教育について検討したので報告する。
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