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はじめに
「夫が帰ってくるまで子どもと2人きり。子育てって結構孤独なんですね。友人へのメールが唯一の息抜きかな」「子どもがこんなに泣いて寝ないなんて思ってもみなかったですね。ほかの赤ちゃんもそうなんでしょうか?」「妊娠中はとりあえず無事にお産することがゴールのように感じていました。でも,産んだ後が大変。自宅に戻ってからが本当のスタートでした」。
新生児訪問・乳児健診の際,「お子さんが生まれてからの生活はいかがですか?」という問いかけに対し,初産の母親からよく返ってくる言葉である。これらの言葉から,母親が身近で子育てを見たり学習する機会が少なく「我が子が初めて世話をする子ども」という状況がうかがえる。少子化現象と地域社会との関係の希薄化が相まっている現代の子育て事情1)を身近なこととして実感する瞬間である。
施設で助産師として勤務していた頃,地域との連携の大切さを考えながらも,対象が地域で生活している女性とその家族であることを生活体験として実感することは決して多くなかったように思う。筆者自身,地域で子育てを体験し,初めて見えてきたことが多々あったというのが正直な気持ちである。
助産師として地域で生活する母親のニーズにあった支援とは何か,そしてそのような支援を実践したいという我々の思いと,地域に根ざした「おやこのためのもうひとつの家」としておやこの広場を作ったびーのびーのの理念2)が合致し,「ひろば」の中での我々の活動がスタートした。
助産師が行なう地域主体の支援活動は多種多様であるが,おやこの広場を通して実践している「地域で子育て」する母親を主体として考えた企画・内容について,紹介していきたい。
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